決算の流れと試算表
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第三 1「試算表の作成」。
この科目の地図にあたるノートです。決算は手続きの順番が決まっていて、
どの論点が全体のどこにいるのかが分かっていないと、精算表も財務諸表も
「言われたとおりに埋める作業」になってしまいます。
0. どういう処理か
期中は、取引が起きるたびに仕訳して元帳に転記するだけです。
その状態のままでは、外に出せる報告書にはなっていません。
理由は 2 つあります。
- 記入を間違えているかもしれない(検算していない)
- 期中の記録には、期末にしか分からない事実が反映されていない
(まだ使っていない保険料、まだ受け取っていない利息、目減りした固定資産)
そこで期末に、次の順で整えます。これが決算です。
| 順 | 手続き | 何をするか | このパックのノート |
|---|---|---|---|
| 1 | 試算表の作成 | 転記が正しいか検算する | このノート |
| 2 | 決算整理 | 期末にしか分からない事実を反映する | 売上原価の算定 ほか |
| 3 | 精算表 | 1〜4 を 1 枚の表で下書きする | 精算表 |
| 4 | 決算整理後残高試算表 | 整理後の残高を確定する | 決算整理後残高試算表 |
| 5 | 損益振替 | 収益・費用を損益勘定に集める | 損益振替と繰越利益剰余金 |
| 6 | 帳簿の締切 | 帳簿を閉じ、次期へ繰り越す | 帳簿の締切 |
| 7 | 財務諸表の作成 | P/L と B/S を作る | 損益計算書と貸借対照表 |
精算表(3)は、2 と 4〜7 を 1 枚の紙で見通すための下書きです。
決算のどこか別の段階にある手続きではなく、全体の予行演習だと考えてください。
試算表には 3 種類あります。
| 種類 | 何を並べるか | 分かること |
|---|---|---|
| 合計試算表 | 各勘定の借方合計・貸方合計 | その期にいくら動いたか |
| 残高試算表 | 各勘定の残高だけ | いまいくら残っているか |
| 合計残高試算表 | 両方 | 上の 2 つを 1 枚で |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 残高試算表には、残高が残る側にだけ書く(資産・費用は借方、負債・資本・収益は貸方)
- 貸借が一致しても見つからない誤りがある
- 試算表の借方合計は総資産ではない(費用も入っている)
1. 決算の流れ
根拠: 出題区分表 三-1
決算とは何をする手続きか?
期中の記録を検算し、期末にしか分からない事実を反映して、報告書を作る手続き
期中は取引を記録するだけ。そのままでは
「正しいか確かめていない」「期末の実態が反映されていない」の 2 点で報告に使えない。
決算手続きを大きく 3 段階に分けると?
- 決算予備手続 … 試算表の作成、棚卸表の作成(+精算表)
- 決算本手続 … 決算整理仕訳、損益振替、帳簿の締切
- 財務諸表の作成 … 損益計算書・貸借対照表
「予備」は下書き、「本手続」で実際に帳簿を動かす。
精算表は、決算手続きのどの位置にある?
本手続の前に置く下書き
決算整理から財務諸表までを 1 枚の紙で予行演習するもの。
精算表を作らなくても決算はできる(実際、財務諸表を直接作る問題も出る)。
2. 試算表の種類
根拠: 出題区分表 三-1
合計試算表と残高試算表の違いは?
- 合計試算表 … 各勘定の借方合計と貸方合計をそのまま並べる
- 残高試算表 … 差引後の残高だけを並べる
合計試算表は「その期にいくら動いたか」、
残高試算表は「いまいくら残っているか」を示す。
現金勘定の借方合計 ¥900,000、貸方合計 ¥620,000。
合計試算表と残高試算表には、それぞれいくらと書く?
合計試算表と残高試算表には、それぞれいくらと書く?
- 合計試算表 … 借方 ¥900,000・貸方 ¥620,000(両方書く)
- 残高試算表 … 借方 ¥280,000(残る側だけ)
残高試算表では、片側にしか書かない。
残高試算表で、借方の列に並ぶのはどの要素?
資産と費用
負債・資本・収益は貸方の列。
残高が残る側 = 増加側なので、勘定記入法則からそのまま決まる。
貸倒引当金・減価償却累計額は、残高試算表のどちらの列?
貸方
資産のマイナスを表す評価勘定なので、貸方に残高が残る。
資産の仲間だから借方、としない。
残高試算表の借方合計は、会社の総資産を表している?
表していない
借方には費用も並んでいる。
総資産を知りたいなら、貸借対照表を作るまで待つ必要がある。
3. 貸借平均による検算
根拠: 出題区分表 三-1
試算表を作ると、なぜ記入の誤りが見つかる?
貸借平均の原理があるから
すべての仕訳で借方と貸方が一致しているので、
それを集計した試算表も一致するはず。
一致しなければ、どこかで転記や集計を間違えている。
試算表の貸借が一致しなかった。どういう誤りが疑われる?
- 転記の金額違い(片側だけ間違えた)
- 転記の片落ち(借方だけ書いて貸方を書き忘れた)
- 元帳の合計の計算違い
- 試算表への書き写し漏れ
差額が特定の数字(たとえば 2 で割り切れる)なら、
貸借を逆に転記した可能性を先に疑うと早い。
試算表の貸借が一致していても残っている可能性がある誤りを 4 つ挙げると?
- 取引をまるごと記入し忘れた
- 同じ仕訳を二重に転記した
- 借方と貸方をそっくり入れ替えて転記した
- 勘定科目を取り違えた(金額は正しい)
いずれも左右が同じだけずれるので、合計は合ってしまう。
試算表が保証するのは金額の釣り合いだけ。
試算表の借方合計と貸方合計は、必ず何と一致する?
仕訳帳の借方合計・貸方合計
同じ取引を勘定ごとに集め直しただけなので、総額は変わらない。
仕訳帳の合計と試算表の合計を突き合わせるのが、転記漏れを見つける確実な方法。
【試算表作成問題】月中の取引から月末の合計試算表を作るとき、
月初の残高はどう扱う?
月初の残高はどう扱う?
月初残高に、当月の取引額を足して合計を出す
問題では「月初の合計試算表」と「当月の取引」が別々に与えられる。
月初の借方合計 + 当月の借方発生額 = 月末の借方合計。
残高でなく合計を積み上げるところが、残高試算表を作るときとの違い。