損益計算書と貸借対照表
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第三 9「損益計算書と貸借対照表の作成(勘定式)」。
決算の出口です。第 3 問では精算表と並ぶ二大出題形式で、
近年はこちらのほうが多く出ています。
精算表との違いは、帳簿の勘定名を「報告用の名前」に直すところです。
金額の計算は精算表とまったく同じなので、読み替えの一覧を覚えれば追加の負担はありません。
0. どういう処理か
財務諸表は会社の外部(株主・銀行・取引先)に見せるものです。
帳簿の中でしか通じない名前や書き方は、そのままでは使えません。
読み替えが必要な勘定は次の 5 つだけです。
| 帳簿の勘定名 | 財務諸表の表示名 | どちらの表 |
|---|---|---|
| 売上 | 売上高 | 損益計算書 |
| 仕入 | 売上原価 | 損益計算書 |
| 繰越商品 | 商品 | 貸借対照表 |
| 前払◯◯・未収◯◯ | 前払費用・未収収益 | 貸借対照表 |
| 前受◯◯・未払◯◯ | 前受収益・未払費用 | 貸借対照表 |
書き方が変わるものが 2 つあります。
| 勘定 | 帳簿では | 貸借対照表では |
|---|---|---|
| 貸倒引当金 | 独立した貸方の勘定 | 売掛金から控除する形 |
| 減価償却累計額 | 独立した貸方の勘定 | 建物・備品から控除する形 |
そして金額が変わるものが 1 つだけあります。
- 繰越利益剰余金 … 決算整理後残高試算表の額(期首)に、当期純利益を足す
3 級で作るのは勘定式です。左右に分けて並べ、左右の合計を一致させます。
| 損益計算書 | 貸借対照表 | |
|---|---|---|
| 左(借方) | 費用・当期純利益 | 資産 |
| 右(貸方) | 収益 | 負債・純資産 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 繰越利益剰余金は当期純利益を加えた額(後 T/B の額をそのまま写さない)
- 貸倒引当金・減価償却累計額は控除形式
- 損益計算書は期間、貸借対照表は時点(表題の日付の書き方が違う)
1. 表題と形式
根拠: 出題区分表 三-9
損益計算書と貸借対照表の表題に書く日付は、どう違う?
- 損益計算書 …
自 ◯年4月1日 至 ◯年3月31日(期間) - 貸借対照表 …
◯年3月31日(時点)
損益計算書は 1 年間のもうけ、貸借対照表はある日の財産の状態を示すため。
勘定式の損益計算書は、左右に何を並べる?
- 左(借方) … 費用 + 当期純利益
- 右(貸方) … 収益
当期純利益を左に書き足して、左右の合計を一致させる。
勘定式の貸借対照表は、左右に何を並べる?
- 左(借方) … 資産
- 右(貸方) … 負債 + 純資産(資本)
資産 = 負債 + 資本 の等式がそのまま表の形になっている。
2. 名前の読み替え
根拠: 出題区分表 三-9
帳簿の「売上」「仕入」は、損益計算書ではどう表示する?
- 売上 → 売上高
- 仕入 → 売上原価
仕入勘定の残高は決算整理後に売上原価になっているので、
名前を実態に合わせる(→ 売上原価の算定)。
帳簿の「繰越商品」は、貸借対照表ではどう表示する?
商品
金額は期末商品棚卸高。
「繰越」は帳簿の中の呼び方なので、外に出すときは落とす。
前払保険料・未収利息は、貸借対照表ではどう表示する?
前払費用・未収収益
どちらも資産。
問題によっては勘定名のまま書かせることもあるので、答案の指示に従う。
前受地代・未払家賃は、貸借対照表ではどう表示する?
前受収益・未払費用
どちらも負債。
損益計算書に「雑損」「雑益」はどう表示する?
そのまま雑損(費用)・雑益(収益)
読み替えは不要。
現金過不足のように帳簿だけの勘定は、決算整理で消えているので出てこない。
3. 控除形式で示すもの
根拠: 出題区分表 三-9
貸倒引当金は、貸借対照表にどう表示する?
売掛金・受取手形から控除する形
| 資産の部 | ||
|---|---|---|
| 売掛金 | 800,000 | |
| 貸倒引当金 | △16,000 | 784,000 |
貸方に独立して並べるのではなく、対応する債権のすぐ下に置く。
減価償却累計額は、貸借対照表にどう表示する?
建物・備品などから控除する形
| 資産の部 | ||
|---|---|---|
| 備品 | 600,000 | |
| 減価償却累計額 | △200,000 | 400,000 |
取得原価がいくらだったかを残しつつ、実質の価値も示せる。
控除形式で示すとき、貸借対照表の借方合計にはどちらの金額が入る?
控除後の金額(上の例なら ¥400,000)
取得原価のほうを合計に入れると、資産が過大になり左右が合わなくなる。
4. 純資産の部
根拠: 出題区分表 三-9
貸借対照表の繰越利益剰余金は、決算整理後残高試算表の金額をそのまま写す?
写さない。当期純利益を足す
後 T/B の繰越利益剰余金は期首の額(→ 決算整理後残高試算表)。
損益振替でこれに当期純利益が加わったものが、貸借対照表に載る。
後 T/B の繰越利益剰余金 ¥300,000、当期純利益 ¥150,000。
貸借対照表の繰越利益剰余金は?
貸借対照表の繰越利益剰余金は?
¥450,000
300,000 + 150,000 = 450,000。
財務諸表作成問題で最も間違えやすい 1 行。
当期純損失だった場合、貸借対照表の繰越利益剰余金はどうなる?
期首の額から損失額を引く
損失は資本の減少なので、繰越利益剰余金が減る。
引いた結果がマイナスになることもある(その場合は △ を付けて表示)。
貸借対照表に当期純利益という行は出てくる?
勘定式の 3 級の答案では、繰越利益剰余金に含めて表示するのが基本
損益計算書には当期純利益が独立して出るが、
貸借対照表では繰越利益剰余金の一部として吸収される。
問題で行が用意されていればそれに従う。
5. 検算
根拠: 出題区分表 三-9
財務諸表を作り終えたあと、何を確かめる?
- 貸借対照表の左右の合計が一致するか
- 損益計算書の当期純利益と、貸借対照表で加算した額が同じか
1 が合わないときは、控除形式の金額か繰越利益剰余金を疑う。
貸借対照表の左右が一致しないとき、どこから疑う?
- 繰越利益剰余金に当期純利益を足したか
- 貸倒引当金・減価償却累計額を控除後の金額で合計したか
- 経過勘定の資産・負債の振り分け(前払は資産、前受は負債)
この 3 つで大半のずれが説明できる。