設立と増資
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第四 1「資本金」ア・イ。
3 級でもっとも仕訳が単純な論点です。第 1 問で出れば確実に取れる 3 点なので、
落とさないでください。
0. どういう処理か
株式会社は、株主からお金を集めて事業をする仕組みです。
株主は出したお金の限度でしか責任を負わず(有限責任)、その代わり
会社の所有者として利益の分配(配当)を受けます。
株主が出したお金は、会社にとって返す必要のないお金です。
借入金のように期限が来たら返すものではないので、負債ではなく資本(純資産)になります。
| 誰から | 返す義務 | 分類 | |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 株主 | 無い | 資本(純資産) |
| 借入金 | 銀行など | 有る | 負債 |
株式を発行する場面は 2 つあります。
| 場面 | いつ | 仕訳 |
|---|---|---|
| 設立 | 会社を作るとき | 同じ |
| 増資 | 事業拡大などで資本を増やすとき | 同じ |
どちらも仕訳はまったく同じです。「設立」「増資」という言葉に惑わされないでください。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 払込金額の全額を資本金にする(3 級では例外を扱わない)
- 設立も増資も仕訳は同じ
- 1 株あたりの金額 × 株数で計算する(総額が直接与えられないことが多い)
1. 設立
根拠: 出題区分表 四-1-ア
会社の設立にあたり、株式 100 株を 1 株 ¥50,000 で発行し、
全額の払い込みを受けて当座預金とした。仕訳は?
全額の払い込みを受けて当座預金とした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 5,000,000 | 資本金 5,000,000 |
100 株 × @50,000 = 5,000,000。
払込金額の全額を資本金とする。
なぜ株主から集めたお金は負債にならない?
返す義務が無いから
借入金は期限が来たら返す。株主の出資は返さない
(株主は株式を他人に売ることで換金する)。
返す義務が無いお金なので、負債ではなく資本になる。
株式の発行で受け取った金額は、資本金以外の勘定になることもある?
2 級以上ではある(資本準備金)。3 級では全額を資本金とする。
会社法では払込金額の 2 分の 1 まで資本金にしないことも認められているが、
3 級の出題範囲では原則どおり全額を資本金にする。
設立時の払込金が「別段預金」とされた、と書かれていたら?
3 級では扱わない。当座預金・普通預金として処理する。
問題文で指定された預金勘定をそのまま使えばよい。
2. 増資
根拠: 出題区分表 四-1-イ
増資とは何か?
設立後に、新たに株式を発行して資本金を増やすこと
事業の拡大や設備投資のために、追加で株主からお金を集める。
事業拡大のため、新たに株式 40 株を 1 株 ¥60,000 で発行し、
払込金を普通預金とした。仕訳は?
払込金を普通預金とした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 普通預金 2,400,000 | 資本金 2,400,000 |
40 株 × @60,000 = 2,400,000。
設立時とまったく同じ仕訳。
増資と、銀行からの借入は何が違う?
- 増資 … 資本が増える。返す義務は無いが、配当の対象が増える
- 借入 … 負債が増える。返す義務があり、利息を払う
どちらも現金は増えるが、貸方が資本か負債かで意味がまったく違う。
増資で受け取ったのが現金だった場合、仕訳はどう変わる?
借方が現金になるだけ
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金 ××× | 資本金 ××× |
貸方は常に資本金。借方は受け取った資産の種類で決まる。
3. 資本金勘定の性質
根拠: 出題区分表 四-1-ア
資本金勘定は、増えたとき借方・貸方のどちら?
貸方
資本は貸方が増加側(→ 勘定と仕訳)。
負債と同じ側にあるのは、どちらも資産の出どころを表すため。
資本金は、貸借対照表のどこに載る?
純資産の部(貸方)
3 級の純資産の部に載るのは
資本金・利益準備金・繰越利益剰余金の 3 つ。
資本金と繰越利益剰余金は、何が違う?
- 資本金 … 株主が出した元手
- 繰越利益剰余金 … 会社が稼いだ利益の蓄積
出どころが違うので混ぜない。
配当できるのは稼いだ利益のほう(→ 剰余金の配当)。
当期純利益が出たとき、資本金は増える?
増えない
利益は繰越利益剰余金へ振り替えられる(→ 損益振替と繰越利益剰余金)。
資本金が動くのは、株式を発行したときだけ。
株式会社の会計期間と決算日は、誰が決める?
会社自身(定款で定める)
3 月 31 日決算が多いが、決まりではない。
問題文の「会計期間は◯年4月1日から◯年3月31日まで」を必ず読んでから、
月割計算の月数を数える。