持続可能な社会と国際協力
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」B (2) ア (イ) の「地球的課題の解決には持続可能な社会の実現を目指した各国の取組や国際協力が必要であることなどについて理解すること」。
内容の取扱いは、国際連合における持続可能な開発のための取組を参考にし、経済活動との調和のとれた取組が重要であることに留意するよう求めています。
このノートでは条約や援助のしくみを、どの地域の、どんな課題に向けたものかと結びつけて押さえます。SDGs の採択の年・場所と目標の数は、2026-09-27 に国連広報センターの「2030アジェンダ」のページと突き合わせました。
0. 何を押さえるか
地球環境問題・資源・エネルギー問題・人口・食料問題・居住・都市問題 で見た課題は、どれも国境を越え、互いにつながっています。
だから一つの国の努力だけでは解決できず、各国の取組と国際協力の両方が要ります。
その合言葉が持続可能な開発、つまり環境を守ることと、貧しさから抜け出すための経済の発展を両立させることです。
| 取組 | 何に向けたものか | どこと結びつくか |
|---|---|---|
| 気候変動に関する取り決め | 地球温暖化 | 排出してきた先進国と、被害を受けやすい島国・途上国 |
| 砂漠化対処条約 | 砂漠化 | サヘルなどアフリカの乾燥地域 |
| ラムサール条約 | 湿地とそこにすむ水鳥 | 国境を越えて渡る鳥の中継地 |
| ODA・NGO | 途上国の貧困・保健・教育・インフラ | 援助を必要とする途上国の地域社会 |
| フェアトレード | 途上国の生産者の暮らし | コーヒー・カカオなど熱帯の輸出作物の産地 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 持続可能な開発は「開発をやめる」ことではない。将来の世代のことを損なわない形で、いまの世代の暮らしを良くすること
- 温暖化の取り決めでは、削減の義務を誰が負うかが争点になってきた。歴史的に多く排出してきた先進国と、これから発展したい途上国の立場が違う
- ODA は政府、NGO は民間。どちらも国際協力だが、担い手が違う
1. 持続可能な開発という考え方
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(イ)
環境問題が国際会議で取り上げられるようになると、「環境を守るために途上国は開発をあきらめるべきか」という対立が生まれました。
これを乗り越える考え方として示されたのが、持続可能な開発です。
「将来の世代が自らの必要を満たす能力を損なうことなく、現在の世代の必要を満たす開発」とされる考え方を何という?
持続可能な開発
国連の「環境と開発に関する世界委員会」が 1987 年の報告書で示した。環境の保全と経済の発展を対立させず、両立させようとする。
1992 年に、ブラジルのリオデジャネイロで開かれ、「持続可能な開発」を合言葉に各国の首脳が集まった国連の会議は?
国連環境開発会議(地球サミット)
気候変動枠組条約と生物多様性条約の署名が始まった。熱帯林を抱える途上国で開かれたこと自体が、環境と開発の両立という課題を象徴していた。
2015 年に国連で採択された、2030 年までに達成をめざす 17 の目標を何という?
持続可能な開発目標(SDGs)
「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」の中心で、貧困・飢餓・水・エネルギー・都市・気候変動など、地球的課題の多くを一つにまとめて扱っている。
2. 地域の課題に向けた国際的な取り決め
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(イ)
国際的な取り決めは、それぞれ特定の地域の特定の課題を背景に生まれています。条約の名前だけでなく、どこの何を守るためのものかを結びつけて覚えます。
地球温暖化をめぐる取り決めで、1997 年の京都議定書と 2015 年のパリ協定の大きな違いは?
京都議定書は先進国だけに削減義務を課したが、パリ協定は途上国を含むすべての国が削減目標を立てて取り組む
経済の発展で途上国の排出が増えたため、先進国だけの削減では足りなくなった。
温暖化をめぐる国際交渉で、ツバルなど太平洋の島国が、とくに強い対策を求めてきたのはなぜか?
自らはほとんど排出していないのに、海面上昇で国土が失われるおそれがあるから
原因をつくった地域と被害を受ける地域がずれている。国際協力が欠かせない理由の典型。
砂漠化対処条約の正式な名称で、とくに名指しされている地域はどこか?
アフリカ
正式には「深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処するための国際連合条約」。サヘルの深刻な干ばつが背景にある。
国境を越えて渡る水鳥の生息地として重要な湿地を守るため、1971 年にイランの都市で採択された条約は?
ラムサール条約
渡り鳥は複数の国の湿地を中継して移動するので、一国だけ守っても意味がない。日本でも釧路湿原などが登録されている。
フロンなどオゾン層を壊す物質の生産や使用を段階的に削減することを定めた、1987 年の取り決めは?
モントリオール議定書
原因物質がはっきりしていて代わりの物質もあったため、成果をあげた国際協力の例とされる。
3. 国際協力の担い手と、経済活動との調和
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(イ)
国際協力の担い手は、政府・国際機関・民間団体・企業、そして消費者一人ひとりまで広がっています。
途上国の人々が自分たちの力で暮らしを立て直せるようにすること、環境を守りながら収入を得られるようにすることが、持続可能な社会の実現につながります。
先進国の政府が、発展途上国の経済や社会の発展のために行う資金や技術の援助を何という?
政府開発援助(ODA)
日本では国際協力機構(JICA)が実施の中心を担い、技術者やボランティアを派遣する事業も行っている。
政府から独立した民間の立場で、医療・教育・災害支援などの国際協力を行う団体を何という?
NGO(非政府組織)
紛争地や災害地で医療を行う「国境なき医師団」などが知られる。政府の援助が届きにくい地域社会に直接入れる。
途上国の生産者から、コーヒーやカカオなどを適正な価格で継続的に買い取り、生産者の生活と自立を支えるしくみを何という?
フェアトレード
モノカルチャー経済の国では、輸出作物の国際価格が下がると生産者の生活が苦しくなる。消費者が買い物を通じて参加できる国際協力。
バングラデシュで始まった、貧しい人々に担保なしで少額のお金を貸して、小さな事業を始められるようにするしくみを何という?
マイクロクレジット
グラミン銀行が始めた。借り手の多くは農村の女性で、援助を受けるのでなく自ら稼いで貧困から抜け出す道を開いた。
自然環境や地域の文化を損なわないように観光し、その収入を保全や地域の暮らしに生かす観光のあり方を何という?
エコツーリズム
熱帯林や野生生物を守ることが、そのまま地域の収入になる。環境保全と経済活動との調和のとれた取組の例で、中央アメリカのコスタリカなどが知られる。
課題の現れ方は地域によって違う(地域性)ので、同じ取組がどこでも通用するわけではありません。
地域の自然と暮らしに合った方法を、各国の取組と国際協力の両方で進めることが、持続可能な社会の実現への道になります。