資源・エネルギー問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」B (2) ア (ア) の「世界各地で見られる……資源・エネルギー問題……などを基に,地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性などについて大観し理解すること」。
このノートは、資源がどこに偏って存在し、なぜそこで使える・使えないのかを押さえます。
産出量・埋蔵量の順位や発電の割合は毎年動くので、カードにしていません。教科書・地図帳と最新の統計で確かめてください。
0. 何を押さえるか
資源・エネルギー問題の根は、資源のある場所と、たくさん使う場所が一致しないことにあります。
化石燃料は限りがあるうえ燃やすと二酸化炭素を出し、再生可能エネルギーは尽きない代わりに、自然条件の合う場所でしか効率よく使えません。
| エネルギー | 分布の特徴 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 石油 | 西アジアのペルシア湾岸などに偏る | 輸送しやすく用途が広い | 埋蔵が偏り、価格や供給が国際情勢で揺れる |
| 石炭 | 世界に広く分布する | 埋蔵量が多く安い | 燃やしたときの二酸化炭素・大気汚染物質が多い |
| 天然ガス | 西アジア・ロシアなどに多い | 燃やしたときの二酸化炭素が石炭・石油より少ない | 海を越えるには液化などの設備が要る |
| 水力・風力・太陽光・地熱など | 自然条件の合う場所に限られる | 尽きず、発電時に二酸化炭素を出さない | 立地が限られる。太陽光・風力は天候で出力が変わる |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 石炭は石油より広い地域に分布し、石油は特定の地域に大きく偏っている。だから石油のほうが国際情勢の影響を受けやすい
- 再生可能エネルギーは「どこでも同じように使える」わけではない。地熱は火山、水力は降水と起伏、風力は安定した風という条件がある
- バイオ燃料は環境によいだけの話ではない。原料が作物なので、食料と取り合いになる
1. 化石燃料の偏在と資源ナショナリズム
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
かつて西アジアなどの油田は、欧米の大きな石油会社(国際石油資本、メジャー)が開発し、利益の多くを握っていました。
これに対して、産出国が自分たちの資源を自分たちで管理しようとしたのが資源ナショナリズムです。
原油の埋蔵がとくに集中している地域はどこか?
西アジアのペルシア湾岸
石油の多くは、古い時代の海や湖に積もった生物の遺骸が変化してでき、地層が曲がって油をためやすい場所に集まる。
発展途上の資源産出国が、自国の資源を自国で管理し、その利益を自国の発展に使おうとする動きを何という?
資源ナショナリズム
油田の国有化などの形をとった。先進国の石油会社に握られていた資源の主導権を、産出国が取り戻そうとした。
1960 年に、産油国が国際石油資本に対抗して結成した組織は?
石油輸出国機構(OPEC)
のちに原油の価格や生産量に大きな影響力を持つようになった。
1973 年、第 4 次中東戦争をきっかけに、産油国が原油の価格を大幅に引き上げて起きた世界的な混乱を何という?
第 1 次石油危機(オイルショック)
石油を輸入に頼る日本などの工業国は大きな打撃を受け、省エネルギーや石油以外のエネルギーへの切り替えを進めた。
2. 化石燃料と鉱産資源のいま
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
日本は石油・石炭・天然ガスの大部分を海外から輸入しています。資源の多くを輸入に頼る国にとって、
どこから、どの経路で運ぶか(輸入先の分散)は、資源の量そのものと同じくらい重要な課題です。
天然ガスを冷やして液体にし、専用の船で海上輸送する形を何という?
液化天然ガス(LNG)
大陸から離れた島国の日本は、パイプラインで天然ガスを輸入できないため、LNG として運び入れている。
地下深くの頁岩(けつがん)の層から、新しい掘削技術で取り出せるようになった天然ガスを何という?
シェールガス
アメリカ合衆国で生産が急増し、同国のエネルギーの輸入依存を大きく変えた(シェール革命)。
埋蔵量が少なかったり取り出しにくかったりする金属で、電子機器や電池に欠かせないものを総称して何という?
レアメタル(希少金属)
産出が一部の国に偏っているので、産出国の政策や紛争で供給が止まるおそれがある。
使用済みの携帯電話やパソコンなどに含まれる金属を、再び取り出して使える資源とみなす考え方を何という?
都市鉱山
資源の乏しい国でも、回収と再利用のしくみを整えれば資源を確保できる。
3. 再生可能エネルギーとその条件
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
再生可能エネルギーは、自然の条件がそろった場所でこそ効率よく使えます。どの国でどれが盛んかは、その国の地形と気候を見れば説明できます。
アイスランドやニュージーランドで地熱発電が盛んなのはなぜか?
プレートの境界にあって火山が多く、地下に高温の熱源があるから
同じく火山の多い日本も、地熱の資源が多い国とされる。
デンマークなど北西ヨーロッパの沿岸で風力発電が盛んなのはなぜか?
偏西風が年間を通して安定して強く吹くから
陸より風が強く安定し、周りに建物もない海の上に風車を建てる洋上風力も進んでいる。
水力発電に向いている自然条件は?
降水量が多く、川の流れに大きな落差(起伏)があること
偏西風で雨が多く氷河に削られた急な地形のノルウェーや、大河を持つカナダ・ブラジルが典型。
ブラジルでバイオエタノール(植物からつくる燃料)の主な原料となっている作物は?
さとうきび
アメリカ合衆国ではとうもろこしが主な原料。燃やしても、原料の植物が育つときに吸収した二酸化炭素を戻すだけとみなされる。
バイオ燃料の増産が、食料問題と結びつくのはなぜか?
燃料の原料に作物が回されて、食料用の作物が減ったり価格が上がったりするから
さらに、原料の畑を広げるために森林が切り開かれることもある。資源・食料・環境の課題相互の関連性の例。
資源・エネルギー問題を各地で見ると、資源を持つ地域と使う地域がずれ、そのずれが価格の変動や対立を生むという共通する傾向性があります。
化石燃料の大量消費が地球温暖化につながる点は 地球環境問題 で、解決に向けた国際的な取組は 持続可能な社会と国際協力 で扱います。