人口・食料問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」B (2) ア (ア) の「世界各地で見られる……人口・食料問題……などを基に,地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性などについて大観し理解すること」。
このノートは、人口の増え方・減り方と食料の足りる・足りないが、どの地域で、なぜそうなるのかを押さえます。
国ごとの人口や出生率、食料自給率の数字は毎年動くので、カードにしていません。
0. 何を押さえるか
人口問題は、発展途上国と先進国で向きが逆になります。途上国では人口の急増、先進国では少子高齢化と人口の減少が課題です。
食料も同じで、途上国の一部では飢えや栄養不足が続く一方、先進国では食べ物が余って捨てられています。
地域ごとに違って見えても、経済の発展の段階と結びついて起きるという共通する傾向性があります。
| 人口転換の段階 | 出生率 | 死亡率 | 人口ピラミッドの形 | 見られる地域 |
|---|---|---|---|---|
| 多産多死 | 高い | 高い | 富士山型(すそ野が広い) | 近代以前の社会 |
| 多産少死 | 高い | 下がる | 富士山型 | 多くの発展途上国(人口爆発) |
| 少産少死 | 低い | 低い | つりがね型 | 先進国 |
| さらに出生率が下がる | ごく低い | 高齢化で上がる | つぼ型 | 日本など(人口減少) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 人口爆発は「多産少死」の段階で起きる。医療・衛生の改善で先に死亡率が下がり、出生率が高いまま残るから
- つりがね型は人口が安定、つぼ型は人口が減っていく形。つぼ型は子どもの層が親の層より細い
- 飢餓は世界全体の食料が足りないから起きるのではない。食料は地域的に偏っていて、買えない・届かない地域で起きる
1. 人口転換と人口ピラミッド
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
人口の増え方は、出生率と死亡率の組み合わせで決まります。社会が豊かになるにつれて、この組み合わせが順に移り変わることを人口転換といいます。
社会の発展にともなって、人口の動きが多産多死から多産少死を経て少産少死へと移り変わることを何という?
人口転換
先進国はこの移り変わりを長い時間をかけて経験したが、多くの途上国では短い期間で急に進んだ。
第二次世界大戦後、アジア・アフリカ・ラテンアメリカで人口が急増した「人口爆発」は、なぜ起きたか?
医療や衛生の改善で死亡率が大きく下がったのに、出生率は高いままだったから
とくに乳幼児の死亡率が下がったことが大きい。
出生率が高く、年齢の低い層ほど人数が多い、すそ野の広い人口ピラミッドの型は?
富士山型(ピラミッド型)
多産多死・多産少死の段階の社会に見られ、多くの発展途上国がこの型になる。
子どもの層が少なく、親の層より細くなっている、人口が減っていく社会の人口ピラミッドの型は?
つぼ型
出生率が低く、出生数が死亡数を下回る状態。日本などに見られる。
2. 発展途上国と先進国の人口問題
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
同じ「人口問題」でも、途上国と先進国では課題の中身が逆です。それぞれ、なぜそうなるかを社会のしくみから説明できるようにします。
発展途上国の農村で、子どもを多く産む傾向が続きやすいのはなぜか?
子どもが農作業などの働き手になり、親の老後の支えにもなるから
乳幼児の死亡率が高かった時代の考え方が残っていることや、家族計画の普及の遅れも理由になる。
中国が人口の急増を抑えるため、1979 年ごろから 2015 年まで続けた、一組の夫婦の子どもを原則 1 人に制限する政策は?
一人っ子政策
人口の増加は抑えられた一方、急速な高齢化や、男女の人数のかたよりなどの問題が生じた。
先進国で少子高齢化が進むと、社会にどのような課題が生じるか?
働く世代が減って労働力が不足し、年金・医療などの社会保障を支える負担が重くなる
労働力不足を補うために、外国から労働者を受け入れる国も多い。
3. 食料の偏在と飢餓
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
世界全体では、すべての人に行き渡るだけの穀物が生産されているとされます。それでも飢えがなくならないのは、食料が偏って分布しているからです。
栄養不足の人の割合や人数は、FAO(国連食糧農業機関)などが毎年報告しています。数字は年ごとに変わるので、最新の報告で確かめてください。
栄養不足の人がとくに多い地域はどこか?
サハラ以南のアフリカと南アジア
人口の増加に生産が追いつかないこと、干ばつ、紛争、貧しくて食料を買えないことが重なって起きる。
1960 年代から、高収量品種の導入と灌漑・化学肥料の使用によって、アジアの穀物の生産を大きく増やした取組を何という?
緑の革命
インドや東南アジアで米・小麦が増産された。一方で、灌漑や肥料を買う資金のある農家とない農家の格差が広がった。
発展途上国が、輸出向けの少数の農産物や鉱産資源に経済を頼っている状態を何という?
モノカルチャー経済
植民地時代のプランテーションの名残であることが多い。輸出品の国際価格が下がると収入が大きく減り、自給用の食料の生産も後回しになりやすい。
先進国で、まだ食べられるのに捨てられている食品のことを何という?
食品ロス
途上国の飢えと先進国の食べ残しが同時にある。これが食料の偏在である。
食料を輸入する国が、その食料を自国で生産したとしたら必要だったと考えられる水の量を何という?
仮想水(バーチャルウォーター)
食料を多く輸入する日本は、形を変えて大量の水を輸入していることになる。食料問題と水資源の問題がつながる見方。
人口の急増は食料だけでなく、都市への人口集中(居住・都市問題)や土地の使いすぎによる環境の悪化(地球環境問題)も同時に引き起こします。
人口・食料問題は、ほかの地球的課題の出発点になることが多いのです。