地球環境問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」B (2) ア (ア) の「世界各地で見られる地球環境問題……などを基に,地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性などについて大観し理解すること」。
このノートは地球温暖化・酸性雨・砂漠化・熱帯林の減少・オゾン層の破壊を、どの地域で起きやすいか、なぜそこで起きるかの見方で押さえます。
条約の名前や国際的な取り決めは 持続可能な社会と国際協力 にまとめてあります。
0. 何を押さえるか
地球的課題とは、一つの国や地域の中だけでは解決できず、地球規模で取り組む必要のある課題のことです。
地球環境問題は、原因をつくる場所と被害を受ける場所がずれることが多く、そこに国境を越えた協力が要る理由があります。
| 問題 | 主な原因 | 被害が出やすい地域 | なぜそこか |
|---|---|---|---|
| 地球温暖化 | 化石燃料の燃焼などによる温室効果ガスの増加 | 低平な島国・大河のデルタ、高緯度の永久凍土地帯 | 海面上昇で水没・浸水しやすい。気温上昇で凍土が解ける |
| 酸性雨 | 工場・自動車が出す硫黄酸化物・窒素酸化物 | 工業地域の風下 | 汚染物質が風で運ばれ、国境を越えて降る |
| 砂漠化 | 干ばつ+過放牧・過耕作・薪の採りすぎ | 砂漠の周辺の半乾燥地域(サヘルなど) | もともと降水が少なく不安定で、植生が回復しにくい |
| 熱帯林の減少 | 農地・牧場・農園の開発、木材の輸出 | アマゾン、東南アジア、中部アフリカ | 開発の余地が大きい一方、土がやせていて森が戻りにくい |
| オゾン層の破壊 | フロンなど | 南極上空(オゾンホール) | 極域の低温の成層圏でオゾンを壊す反応が進みやすい |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 酸性雨の被害地は、排出した場所とは限らない。偏西風の風下にあたる地域に被害が出る
- 砂漠化は自然の干ばつだけで起きるのではない。人口の増加にともなう過放牧・過耕作・薪の採りすぎという人間の活動が重なって進む
- オゾン層の破壊と地球温暖化は別の問題。前者は紫外線が増える問題、後者は気温が上がる問題で、原因物質の中心も違う
1. 地球温暖化
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
温暖化の影響は地球全体に及びますが、とくに被害を受けやすいのは、標高が低く逃げ場の少ない地域です。
排出してきたのは主に工業化の進んだ国、被害を強く受けるのは低平な島国や発展途上国、というずれが、国際的な取り決めの難しさにつながっています。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスのうち、化石燃料の燃焼によって最も多く出るものは?
二酸化炭素
ほかにメタン(家畜・水田など)やフロン類も温室効果ガスにあたる。
ツバルなど太平洋のサンゴ礁の島国が、地球温暖化の被害をとくに受けやすいのはなぜか?
国土の標高が低く、海面上昇で浸水・水没や高潮の被害を受けやすいから
同じ理由で、バングラデシュのガンジス川・ブラマプトラ川のデルタのような低平な河口部も被害を受けやすい。
シベリアやアラスカなど高緯度の地域で、温暖化によって地中の凍った層が解けると何が起きるか?
永久凍土が解けて地盤が沈み、建物や道路が傾く。凍土に閉じ込められていたメタンなどが出て温暖化をさらに進める
影響が次の原因になって問題が強まっていく例である。
2. 酸性雨とオゾン層の破壊
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
大気の汚染は、風に乗って国境を越えます。原因と被害を地図の上で結ぶと、風の向きが見えてきます。
酸性雨の主な原因となる物質は?
硫黄酸化物と窒素酸化物
石炭・石油の燃焼で工場や自動車から出て、大気中で硫酸や硝酸になり、雨に溶けて降る。
ヨーロッパで、工業地域から離れた北欧の湖や森林にまで酸性雨の被害が広がったのはなぜか?
偏西風によって、西側の工業地域から出た汚染物質が風下の地域へ運ばれたから
湖の魚が死ぬ、森林が枯れるなどの被害が出た。越境する汚染なので、一国の対策だけでは防げない。
フロンによるオゾン層の破壊で、オゾンが極端に少なくなる「オゾンホール」が目立って観測されるのはどこの上空か?
南極の上空
オゾン層が薄くなると、地上に届く有害な紫外線が増え、皮膚がんや白内障の原因になる。
3. 砂漠化
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
砂漠化は、砂漠そのものが広がるというより、砂漠の周りの半乾燥地域の土地が劣化して、植物が育たなくなることです。
雨の少ない年が続くと植生が弱り、そこに人間の使い方の無理が重なると、土地は元に戻らなくなります。
サハラ砂漠の南縁に帯状に広がり、砂漠化が深刻な半乾燥地域を何という?
サヘル
ステップ気候にあたり、降水量が少ないうえに年ごとの変動が大きい。
砂漠化を進める人間の活動の代表的なものを 3 つ挙げると?
過放牧・過耕作・薪炭材の過剰な伐採
人口が増えると、家畜・畑・燃料の需要が増え、植生が回復する前に使い尽くされる。人口問題と環境問題がつながる例。
中央アジアで、綿花栽培のための大規模な灌漑で流れ込む川の水が減り、湖面が大きく縮小した湖は?
アラル海
乾燥地で灌漑を続けると、蒸発にともなって地表に塩分がたまる塩害(塩類集積)も起き、農地が使えなくなる。
4. 熱帯林の減少と課題どうしのつながり
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(2)-ア-(ア)
熱帯林が減っている地域は主に熱帯雨林気候の地域ですが、切り開かれる理由は地域ごとに違います。
これが課題の地域性で、同じ「熱帯林の減少」でも、どこで・誰のために切っているかを見なければ対策は立ちません。
インドネシアやマレーシアで熱帯林が切り開かれて広がった、植物油をとる作物の大農園は?
油ヤシ(アブラヤシ)の農園
とれるパーム油は食品や洗剤の原料として輸出される。先進国の消費が熱帯の森林の減少につながっている。
熱帯林が、一度切り開かれると元に戻りにくいのはなぜか?
土壌がやせているから(高温多雨で落ち葉がすぐ分解され、養分が雨で流されやすい)
熱帯の赤い土(ラトソル)は養分に乏しく、養分の多くは土ではなく森の植物そのものが蓄えている。
熱帯林の減少が、地球温暖化を進めることにもつながるのはなぜか?
二酸化炭素を吸収する森林が減り、伐採や焼き払いで二酸化炭素が出るから
同時に、多くの生物のすみかが失われる(生物多様性の減少)。一つの課題がほかの課題を強める、課題相互の関連性の典型。
焼畑は本来、森林を大きく損なわない農業だったが、近年は熱帯林の減少の一因となっている。なぜか?
人口の増加で休閑期間が短くなり、森が回復する前に再び焼かれるようになったから
焼いた後の畑を長く休ませれば森は戻る。休ませる時間が足りないと、土地がやせて草地や荒れ地になる。
各地の地球環境問題を並べると、共通する傾向性が見えてきます。
原因の多くは、化石燃料の大量消費や人口の増加にともなう土地の使いすぎという人間の活動で、被害は自然の条件が厳しい地域や貧しい地域に重く出ます。
人口の増えかたは 人口・食料問題、化石燃料の使いかたは 資源・エネルギー問題 で扱います。