有形固定資産の取得と売却
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第二 10「有形固定資産」ア・イ。
0. どういう処理か
建物・備品・車両運搬具・土地のように、長く使うために持つ形のある資産です。
商品と違い、売るために持っているのではありません。
3 級で問われるのは 2 か所です。
① いくらで資産に計上するか(取得原価)
買った値段だけでなく、使える状態にするまでにかかった費用(付随費用)を含めます。
商品の引取運賃を仕入に含めるのと同じ理屈です。
| 含めるもの(付随費用) | 含めないもの |
|---|---|
| 引取運賃・据付費・試運転費 | 使い始めた後の修繕費 |
| 購入手数料・登記費用 | 毎年の固定資産税 |
| 整地費用(土地) | 保険料 |
② 売ったときにいくら儲かった(損した)か
固定資産は使うほど価値が減るので、帳簿上の価額(帳簿価額)は取得原価より下がっています。
売却額と帳簿価額の差が、固定資産売却益または固定資産売却損です。
帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額
売却額 − 帳簿価額 = +なら売却益 / −なら売却損
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 付随費用は取得原価に含める(費用にしない)
- 売却の判定は取得原価ではなく帳簿価額との比較
- 売却時には減価償却累計額も必ず減らす(資産を手放すので累計額も消える)
1. 取得原価
根拠: 出題区分表 二-10-ア
「その資産を使える状態にするまで」にかかった支出は、すべて資産の値段の一部と考えます。
それらが無ければ使えなかったのだから、資産の価値に含まれているという理屈です。
備品 ¥300,000 を購入し、引取運賃 ¥5,000 と据付費 ¥10,000 を現金で支払った
(備品代金は月末払い)。仕訳は?
(備品代金は月末払い)。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 備品 315,000 | 未払金 300,000 |
| 現金 15,000 |
付随費用を取得原価に含めるので備品は ¥315,000。
備品代金は商品以外の購入なので未払金(買掛金ではない)。
有形固定資産の取得原価に含める付随費用の例を 3 つ挙げると?
引取運賃・据付費・試運転費(ほかに購入手数料、登記費用、整地費用など)
「使える状態にするまで」にかかったものが基準。
建物の取得後にかかった、通常の修繕のための支出はどう処理する?
修繕費(費用)
取得後の維持のための支出は取得原価に含めない。
「使える状態にするまで」が終わっているため。
土地を購入し、整地費用を支払った。整地費用の処理は?
土地の取得原価に含める
整地しなければ使えないので付随費用。
土地は減価償却しないが、取得原価の考え方は他の固定資産と同じ。
有形固定資産のうち、減価償却しないものは?
土地
時の経過で価値が減るという前提が成り立たないため。
建物・備品・車両運搬具は減価償却する。
固定資産を購入したときの代金の未払分に使う勘定は?
未払金
商品以外の購入なので買掛金ではない(→ 売掛金と買掛金)。
2. 売却
根拠: 出題区分表 二-10-イ
売った額と、帳簿に残っている価額を比べます。
取得原価と比べるのではありません——すでに使ったぶんは費用にしてあるからです。
帳簿価額はどう計算する?
取得原価 − 減価償却累計額
間接法で記帳している場合、取得原価は減らさず累計額を別に積み上げているので、
差し引いた額が現在の帳簿上の価値になる。
取得原価 ¥500,000、減価償却累計額 ¥300,000 の備品を ¥250,000 で売却し、
代金は現金で受け取った。仕訳は?
代金は現金で受け取った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却累計額 300,000 | 備品 500,000 |
| 現金 250,000 | 固定資産売却益 50,000 |
帳簿価額 ¥200,000 に対し ¥250,000 で売れたので ¥50,000 の益。
取得原価と累計額の両方を消すのを忘れないこと。
取得原価 ¥500,000、減価償却累計額 ¥300,000 の備品を ¥150,000 で売却した(代金は月末受取)。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却累計額 300,000 | 備品 500,000 |
| 未収入金 150,000 | |
| 固定資産売却損 50,000 |
帳簿価額 ¥200,000 を下回ったので ¥50,000 の損。
代金は商品以外の売却なので未収入金。
固定資産を売却したとき、減価償却累計額を減らすのはなぜ?
その資産を手放すので、対応する累計額も帳簿から消す必要があるため
累計額は特定の資産に紐づいた控除項目。
資産だけ消して累計額を残すと、存在しない資産の累計額が帳簿に残ってしまう。
期中に固定資産を売却した場合、当期の減価償却はどうする?
期首から売却日までの月数分を月割りで計上してから売却の処理をする
使っていた期間の価値の減少を無視できないため。
その減価償却費を反映した後の帳簿価額と、売却額を比べる。
固定資産売却益・売却損は、損益計算書のどこに出る?
売却益は収益、売却損は費用
商品の売買ではないので売上・仕入とは関係しない。