減価償却と除却・廃棄
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第二 10「有形固定資産」ウ・オ・ク。
2027 年度から、除却・廃棄と定率法が 2 級より降りてきました。
2026 年度までの教材には入っていないので、ここは重点的にやってください。
なお区分表では定率法に ※ が付いており、基礎的な仕組みの理解までが範囲です。
0. どういう処理か
建物や備品は、買った年に全額を費用にしません。何年も使って売上に貢献するのだから、
その期間にわたって少しずつ費用にするのが実態に合います。これが減価償却です。
3 級で扱う計算方法は 2 つです。
| 方法 | 毎期の償却額 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定額法 | (取得原価 − 残存価額) ÷ 耐用年数 | 毎期同額 |
| 定率法 | 期首帳簿価額 × 償却率 | 最初が大きく、だんだん小さくなる |
定率法が「初めに多く」なるのは、期首帳簿価額(=まだ費用にしていない残り)に率を掛けるからです。
取得原価に掛けるのではありません。ここが定額法との最大の違いです。
記帳は間接法を使います。固定資産の帳簿価額を直接減らさず、
減価償却累計額という控除項目を別に積み上げます。取得原価がいくらだったかを残せるためです。
もう 1 つが除却と廃棄です。使わなくなった固定資産を帳簿から外す処理で、
まだ売れる価値があるかどうかで分かれます。
| 何をしたか | 出てくる勘定 | |
|---|---|---|
| 除却 | 使用をやめた。売却・スクラップとしての価値は残る | 貯蔵品(資産)+ 固定資産除却損 |
| 廃棄 | 捨てた。何も残らない | 固定資産廃棄損のみ |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 定率法は期首帳簿価額に掛ける(取得原価ではない)
- 期中取得なら月割り(年額 × 使用月数 ÷ 12)
- 除却は貯蔵品が出る、廃棄は出ない
1. 定額法
根拠: 出題区分表 二-10-オ
毎期同じ額を費用にします。計算が単純で、価値の減り方が一定と考える資産に向きます。
定額法の減価償却費はどう計算する?
(取得原価 − 残存価額) ÷ 耐用年数
残存価額が「ゼロ」と指示されていれば、取得原価 ÷ 耐用年数。
取得原価 ¥600,000、残存価額ゼロ、耐用年数 6 年の備品。1 年分の減価償却費は?
¥100,000
600,000 ÷ 6 = 100,000。毎期同額になる。
【定額法・間接法】上の備品について決算日に減価償却を行う。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却費 100,000 | 減価償却累計額 100,000 |
間接法なので備品勘定は減らさない。 累計額を積み上げる。
間接法で記帳するのはなぜ?
取得原価をいくらだったか帳簿に残せるから
直接法(備品を直接減らす)では、いくらで買ったものか分からなくなる。
貸借対照表では 備品 600,000 / 減価償却累計額 △100,000 と両方を示せる。
当期の 10 月 1 日に取得した備品(年間の減価償却費 ¥120,000)。
決算日が 3 月 31 日のとき、当期の減価償却費は?
決算日が 3 月 31 日のとき、当期の減価償却費は?
¥60,000
120,000 × 6 か月 ÷ 12 = 60,000。
期中取得は月割り。 使っていない期間まで費用にはしない。
2. 定率法
根拠: 出題区分表 二-10-オ
期首の帳簿価額(まだ費用にしていない残り)に一定の率を掛けます。
新しいうちは価値の減り方が大きい、という実感に合わせた方法です。
定率法の減価償却費はどう計算する?
期首帳簿価額 × 償却率
期首帳簿価額 = 取得原価 − 期首時点の減価償却累計額。
取得原価に掛けるのではないところが定額法との決定的な違い。
【定率法】取得原価 ¥500,000、償却率 20%。1 年目の減価償却費は?
¥100,000
1 年目は累計額が 0 なので、期首帳簿価額 = 取得原価 = ¥500,000。
500,000 × 20% = 100,000。
【定率法】上の続き。2 年目の減価償却費は?
¥80,000
期首帳簿価額 = 500,000 − 100,000(1 年目の累計額) = 400,000
400,000 × 20% = 80,000。毎年小さくなっていく。
【定率法】さらに続けて 3 年目の減価償却費は?
¥64,000
期首帳簿価額 = 500,000 − 180,000 = 320,000
320,000 × 20% = 64,000。
定率法で減価償却費が年々小さくなるのはなぜ?
掛ける相手(期首帳簿価額)が毎年小さくなるから
率は一定でも、まだ費用にしていない残りが減っていくので、
掛け算の結果も減る。
定率法が 3 級の範囲になったのはいつから?また、どこまで問われる?
2027 年度から。基礎的な仕組みの理解まで。
出題区分表で ※ が付いており、注 4 の定義では
「本来的には上級に属するが、当該下級においても簡易な内容のものを出題する趣旨」。
200% 定率法や保証率などの細かい論点は 3 級では扱わない。
3. 除却と廃棄
根拠: 出題区分表 二-10-ウ
使わなくなった固定資産を帳簿から外す処理です。2027 年度から 3 級の範囲になりました。
売却(→ 有形固定資産の取得と売却)と違い、代金を受け取りません。
除却と廃棄の違いは?
- 除却 … 使用をやめる。スクラップなどとしての価値が残る
- 廃棄 … 捨てる。何も残らない
除却では残った価値を貯蔵品(資産)として計上する。廃棄では計上しない。
取得原価 ¥400,000、減価償却累計額 ¥350,000 の備品を除却した。
処分価値は ¥20,000 と見積もられる。仕訳は?
処分価値は ¥20,000 と見積もられる。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却累計額 350,000 | 備品 400,000 |
| 貯蔵品 20,000 | |
| 固定資産除却損 30,000 |
帳簿価額 ¥50,000 − 処分価値 ¥20,000 = ¥30,000 が除却損。
残った価値は貯蔵品(資産)として持つ。
取得原価 ¥400,000、減価償却累計額 ¥350,000 の備品を廃棄した
(廃棄費用は考慮しない)。仕訳は?
(廃棄費用は考慮しない)。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却累計額 350,000 | 備品 400,000 |
| 固定資産廃棄損 50,000 |
何も残らないので、帳簿価額の全額が廃棄損になる。貯蔵品は出てこない。
除却・廃棄でも、期中なら当期の減価償却は必要?
必要。期首から除却・廃棄の日までを月割りで計上する
売却と同じ扱い。使っていた期間の価値の減少を無視できない。
除却したときに計上する「貯蔵品」は、どの区分の勘定?
資産
まだ売却などで換金できる価値が残っているため。
実際に売却したときに、貯蔵品を取り崩す。
4. 固定資産台帳
根拠: 出題区分表 二-10-ク
固定資産を 1 件ずつ管理する補助簿です。
総勘定元帳の備品勘定には合計しか残らないので、どの資産をいつ買い、
いくら償却したかを別に持ちます。
固定資産台帳に記録される主な項目は?
取得年月日・取得原価・耐用年数・当期の減価償却費・減価償却累計額・期末帳簿価額
1 件ごとに管理するので、資産を個別に売却・除却するときの計算根拠になる。
固定資産台帳の期末帳簿価額の合計は、何と一致する?
総勘定元帳の(固定資産勘定 − 減価償却累計額)
補助簿と主要簿の突合。一致しなければどこかに記入漏れがある。