経済主体と企業
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」A (1) ア (イ) の「経済主体と経済循環」。内容の取扱いは、金融の働きを扱う際に企業経営に関する金融の役割にも触れるよう求めているので、
企業が資金をどう集めるか(自己資本と他人資本)もここで扱います。
家計・企業・政府の 3 つの経済主体の名前は公共でも扱うので、ここではお金と財がどちら向きに流れるか、家計の所得の中身、株式会社のしくみと会社の種類まで進みます。
株主の責任は 2026-09-27 に e-Gov 法令検索の会社法 104 条と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
経済は、家計・企業・政府の 3 つの経済主体が、財・サービスとお金をやりとりしてぐるぐる回っています(経済循環)。
| 経済主体 | 市場に出すもの | 受け取るもの |
|---|---|---|
| 家計 | 労働・土地・資本(生産要素) | 賃金・地代・利子や配当 |
| 企業 | 財・サービス | 売上(代金) |
| 政府 | 公共サービス・社会保障の給付 | 租税・社会保険料 |
お金の流れと、財・サービスや労働の流れは、いつも逆向きになります(家計が労働を企業に出すと、賃金は企業から家計へ流れる)。
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 可処分所得は所得から税と社会保険料を引いた残り。それを消費と貯蓄に分ける
- 株主の責任は出資額(株式の引受価額)まで(有限責任)。会社の借金を株主が自分の財産で払う必要はない
- 自己資本は返さなくてよいお金(株式発行・内部留保)、他人資本は返すお金(借入金・社債)。社債は株式と同じく直接金融だが、他人資本
1. 経済主体と経済循環
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
家計は生産要素を提供して所得を得て、それで消費します。企業は生産要素を買って生産し、売上から賃金や利子を払います。
政府は税を集めて公共サービスを提供し、所得を再分配します。この 3 者の間の流れ全体が「経済主体と経済循環」です。
家計が企業に労働を提供したとき、その対価として家計に入るお金を何という? また、そのお金の流れは、労働の流れと同じ向きか逆向きか?
賃金。労働は家計から企業へ、賃金は企業から家計へと、逆向きに流れる
生産要素(労働・土地・資本)の対価は、それぞれ賃金・地代・利子(配当)。
家計の所得から、税金と社会保険料を差し引いた残りを何という?
可処分所得
家計が自由に使える所得で、これが消費と貯蓄に分かれる。可処分所得のうち消費に回る割合が消費性向、貯蓄に回る割合が貯蓄率。
家計の消費支出に占める食料費の割合を何という。一般に所得が高い家計ほど、この割合はどうなるか?
エンゲル係数。所得が高いほど低くなる傾向がある
食料は必需品で、所得が増えても食料費はそれほど増えないため。
2. 株式会社のしくみ
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
株式会社は、多くの人から少しずつ資金を集めて大きな事業を行うための仕組みです。
出資した人(株主)が負うのは出資した額までの責任なので、安心して出資でき、株式は売り買いもできます。
会社法が定める株主の責任の範囲は?
その有する株式の引受価額を限度とする(会社法 104 条、有限責任)
会社が倒産しても、株主は出資した分を失うだけで、それ以上に会社の借金を払う必要はない。
株式会社で、会社の基本的な事項を決める最高の意思決定機関は何か。そこでの議決権は原則としてどう割り当てられるか?
株主総会。1 株につき 1 個(1 人 1 票ではない)
多くの株を持つ株主ほど強い発言力を持つ。株主総会で選ばれた取締役が、取締役会などで日常の経営を担う。
大きな株式会社で、株式が多数の株主に分散し、会社を所有する株主と、実際に経営する経営者とが別の人になることを何という?
所有と経営の分離
経営者が株主の利益に沿って経営しているかを見張る仕組みが要る。これがコーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題。
2005 年制定の会社法で、新たに設立できなくなった会社の形態と、新たに設けられた会社の形態は?
新設できなくなったのは有限会社、新たに設けられたのは合同会社
会社法で認められる会社は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の 4 種類。合同会社は、出資者全員が有限責任で、内部のルールを自由に決められる。
3. 企業経営と資金
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
企業経営には、設備投資や研究開発のための資金が要ります。どこから資金を集めるかで、返す義務があるかどうかと、誰が発言力を持つかが変わります。
銀行や株式市場の仕組みは 金融のしくみと日本銀行 で扱います。
企業の資金のうち、株式の発行で集めた資金や、利益のうち配当せずに社内に蓄えた内部留保のように、返済の必要がないものを何という?
自己資本
これに対して、銀行からの借入金や社債のように、返済しなければならない資金は他人資本。
企業が資金を集めるために発行する債券で、株式と違い、期限がくれば元本を返し、利息を払わなければならないものを何という?
社債
株式と同じく出し手から直接資金を集める直接金融だが、返す義務があるので他人資本になる。社債を持つ人は経営に口を出す権利(議決権)を持たない。
企業が利益を追求するだけでなく、環境への配慮、法令の遵守(コンプライアンス)、地域社会への貢献など、社会の一員として果たすべきとされる責任を何という?
企業の社会的責任(CSR)
企業の芸術・文化への支援をメセナ、慈善活動への寄付などをフィランソロピーという。
企業の合併や買収をまとめて何という。また、複数の国に子会社や工場を持ち、国境を越えて生産・販売を行う企業を何という?
M&A(合併・買収)。多国籍企業
M&A は、自前で育てるより早く新しい事業や市場に入る手段として使われる。