国際社会の変遷と国際法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」B (1) ア (ア) の「国際社会の変遷,人権,国家主権,領土(領海,領空を含む。)などに関する国際法の意義」のうち、
国際社会の変遷と、国際法がどうつくられ、どう守らせるのか(国際法の意義)、そして国際的な人権の保障を扱います。
主権と領土・海の範囲は 国家主権と領土、国際機構は 国際連合と国際機構 で扱います。
0. 何を押さえるか
国際社会には、国家の上に立つ統一的な立法機関・行政機関・強制機関がありません。国家どうしの合意と慣行からなる国際法が、
それでも秩序を与えます。国際社会は、主権国家どうしの関係から出発し、20 世紀には国際機構が、冷戦後には NGO や個人も担い手として加わってきました。
| 時期 | 国際社会の姿 |
|---|---|
| 17 世紀 | ウェストファリア条約(1648 年)で主権国家体制が成り立つ |
| 19 世紀 | 列強の勢力均衡。国際法はヨーロッパの国どうしの法として発達 |
| 20 世紀前半 | 2 度の世界大戦。国際連盟(1920 年)、国際連合(1945 年)による集団安全保障 |
| 冷戦期 | 米ソの東西対立。多くの植民地が独立し、国家の数が大きく増える |
| 冷戦後 | 地域紛争・テロの増加。NGO・多国籍企業などの国家以外の主体が影響力を持つ |
| 条約 | 国際慣習法 | |
|---|---|---|
| でき方 | 国家間の文書による合意 | 国家の慣行が法として認められる |
| 拘束する相手 | 原則として結んだ国だけ | すべての国 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 世界人権宣言は法的拘束力を持たない、国際人権規約は条約として締約国を拘束する
- 国際司法裁判所は国家どうしの争いを、国際刑事裁判所は個人の重大な犯罪を裁く
- 国際司法裁判所の裁判は当事国の同意がなければ始まらない。例外は、あらかじめ義務的管轄を受け入れる宣言(選択条項受諾宣言)をした国どうし
1. 主権国家体制の成立と国際法
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
三十年戦争を終わらせ、主権を持つ国家どうしが対等に並ぶ国際社会(主権国家体制)の出発点とされる 1648 年の条約は?
ウェストファリア条約
ここから、国家の上に立つ権威を認めない国際社会の形が成り立ったとされる。
三十年戦争のさなかに『戦争と平和の法』を著し、「国際法の父」と呼ばれるのは?
グロティウス(オランダ)
自然法の立場から、国家どうしの関係や戦争にも守るべき法があると説いた。
国際法のうち、条約と国際慣習法の違いを「拘束する相手」で言うと?
条約は原則として締結した国だけを、国際慣習法はすべての国を拘束する
公海自由の原則や外交官の特権は、国際慣習法として成り立ったのちに条約にもまとめられた。
国際法を、平時の関係を定めるものと、戦争・武力紛争のときの決まりを定めるものに分けたとき、後者を何という?
戦時国際法(武力紛争法・国際人道法)
捕虜や傷病者、文民の保護を定めたジュネーブ諸条約などが代表。
日本で条約を締結するのはだれで、その際に何が必要か(憲法 73 条 3 号)?
内閣が締結し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経る
国会が承認し内閣が批准すると、条約は国内でも効力を持つ。
2. 国際法を守らせるしくみ
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
国際社会には統一的な強制機関がないので、国際法の実効性は、国家の合意に基づく裁判や国際機構の働きに頼ることになります。
国際司法裁判所で、紛争の当事国が同意しなくても裁判が始められるのは、どういう場合か?
両方の国が、あらかじめ義務的管轄を受け入れる宣言(選択条項受諾宣言)をしている場合
そうでなければ、一方の国が訴えても相手国が同意しない限り裁判は始まらない。
国際司法裁判所が、国際連合の総会や安全保障理事会などの求めに応じて、法律問題について示す意見を何という?
勧告的意見
判決と違い、法的な拘束力は持たない。
集団殺害(ジェノサイド)や人道に対する犯罪などを犯した個人を裁く、ローマ規程に基づき 2002 年に設立された常設の裁判所は?
国際刑事裁判所(ICC)
オランダのハーグに置かれる。国連の機関ではなく、日本は 2007 年に加盟した。
3. 人権の国際的な保障
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
第二次世界大戦中の人権の大規模な侵害への反省から、人権は一つの国の中だけの問題ではなく、国際社会が保障すべきものと考えられるようになりました。
| 条約 | 採択 | 日本の締結 |
|---|---|---|
| 人種差別撤廃条約 | 1965 年 | 1995 年 |
| 国際人権規約 | 1966 年 | 1979 年 |
| 女子差別撤廃条約 | 1979 年 | 1985 年 |
| 子どもの権利条約 | 1989 年 | 1994 年 |
| 障害者権利条約 | 2006 年 | 2014 年 |
1948 年に国連総会で採択された、人権の共通の基準を示す宣言は何で、法的拘束力はあるか?
世界人権宣言。法的拘束力はない
その内容を条約にして締約国を拘束するようにしたのが、1966 年の国際人権規約。
国際人権規約の A 規約と B 規約は、それぞれどんな権利を定めている?
A 規約=社会権(経済的・社会的及び文化的権利)、B 規約=自由権(市民的及び政治的権利)
日本は 1979 年に批准した。B 規約の選択議定書が定める、個人が規約委員会に直接救済を申し立てる個人通報制度は、日本は受け入れていない。
日本が女子差別撤廃条約を批准するため、1985 年に制定した法律は?
男女雇用機会均等法
あわせて国籍法が改正され、子の国籍が父系血統主義から父母両系血統主義に改められた。
子どもを保護の対象としてだけでなく、意見を表明する権利などを持つ権利の主体と位置づけた、1989 年採択の条約は?
子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)
日本は 1994 年に批准した。