防災と安全・安心な社会
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」A (2) アが探究の課題として挙げる「防災と安全・安心な社会の実現」。
ここでは、災害に備え・対応し・立ち直るための法律の骨格と、国・地方・住民の役割の分け方をカードにしています。
災害対策の法律は 2026-09-27 に e-Gov の災害対策基本法(1 条・2 条の 2・60 条・地区防災計画と避難行動要支援者名簿の規定)、災害救助法、
被災者生活再建支援法 1 条、国土強靱化基本法と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
日本は地震・津波・台風・豪雨・火山の災害が多い国です。防災とは、災害を未然に防ぎ、起きたときに被害の拡大を防ぎ、復旧を図ることです(災害対策基本法 2 条)。
大きな災害のたびに、その教訓から法律が作られ、改められてきました。
| 災害 | 年 | きっかけになった主なしくみ |
|---|---|---|
| 伊勢湾台風 | 1959 | 災害対策基本法(1961 年) |
| 阪神・淡路大震災 | 1995 | 被災者生活再建支援法(1998 年)、災害ボランティアの広がり |
| 東日本大震災 | 2011 | 復興庁(2012 年)、国土強靱化基本法(2013 年)、災害対策基本法の改正 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 災害救助法は発災直後の応急の救助(避難所・仮設住宅・食料)、被災者生活再建支援法は住宅が壊れた世帯の生活再建に支援金を出す
- 防災基本計画は国(中央防災会議)が作る、地域防災計画は都道府県・市町村が作る、地区防災計画は住民などが提案できる
- 自助は自分と家族で備える、共助は地域の住民どうしで助け合う(自主防災組織)、公助は国や地方公共団体が行う
いまの動き(時点付き。カードの答えにはしていない):
- 内閣府の防災担当を格上げする防災庁設置法(令和 8 年法律第 61 号)が 2026 年に成立し、防災庁の設置が予定されています(2026 年 9 月時点)。
- 東日本大震災からの復興の財源として、2013 年から所得税に復興特別所得税が上乗せされています。
1. 災害対策の法律の骨格
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
1959 年の伊勢湾台風の大きな被害をきっかけに、1961 年に制定された、日本の災害対策の基本を定める法律は?
災害対策基本法
それまで災害ごとにばらばらだった対策を、防災計画の作成・予防・応急対策・復旧まで一つの体系にまとめた。
災害対策基本法で、国の防災基本計画を作成するのはどの機関か。その長は誰か?
中央防災会議。会長は内閣総理大臣
都道府県と市町村はそれぞれの防災会議で地域防災計画を作る。
災害が発生した直後に、避難所の設置、仮設住宅の供与、食料や飲料水の提供などの応急的な救助を行うことを定めた、1947 年に制定された法律は?
災害救助法
救助は都道府県が行い、費用の一部を国が負担する。
阪神・淡路大震災をきっかけに 1998 年に制定され、自然災害で住宅に大きな被害を受けた世帯に支援金を支給する法律は?
被災者生活再建支援法
都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を使い、国も補助する。個人の財産の再建に公費を出すことの是非が議論になったうえでできた。
2. 避難と地域の防災
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
災害のおそれがあるとき、住民に避難のための立退きを指示する権限は、災害対策基本法でだれに与えられているか?
市町村長
住民にいちばん近い行政が判断する。2021 年の改正で、それまでの「避難勧告」を廃止して「避難指示」に一本化した。
高齢者や障害のある人など、災害のときに自力で避難することが難しい人の名簿を作ることを、災害対策基本法はだれに義務づけているか?
市町村長
東日本大震災で高齢者や障害のある人の死亡率が高かったことから 2013 年に義務化された。2021 年には一人一人の個別避難計画を作ることが努力義務になった。
住民の隣保協同の精神に基づいて、地域の住民が自発的につくる防災のための組織を何という?
自主防災組織
災害対策基本法の基本理念は、国や地方の役割分担と並んで、住民一人一人の防災活動と自主防災組織などの活動を促すことを掲げる。
地区の住民や事業者が、自分たちの地区の防災活動について計画をまとめ、市町村の地域防災計画に定めるよう提案できる計画を何という?
地区防災計画
2013 年の災害対策基本法の改正でできた。行政が作る計画に、住民の側からの防災の取組を組み込むしくみ。
災害が起きたときに予想される浸水の範囲や土砂災害の危険のある場所、避難場所などを地図に示したものを何という?
ハザードマップ
市町村が作って公表する。自分の住む場所の危険を事前に知ることが、自助の出発点になる。
3. 被害を減らし、復興する
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
災害の発生を完全に防ぐことはできないという前提に立ち、被害をできるだけ小さくすることをめざす考え方を何という?
減災
東日本大震災のあと、防潮堤のようなハードの対策だけでなく、避難などのソフトの対策を組み合わせる考え方として重視された。
大規模な自然災害が起きても、人命を守り、経済や社会が致命的な被害を受けず、すばやく回復できる国づくりを進めるために 2013 年に制定された法律は?
国土強靱化基本法
正式名は「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」。
東日本大震災からの復興に関する行政事務を、各省庁の上に立って進めるために 2012 年に内閣に設けられた機関は?
復興庁
期限つきの組織として設けられ、その後設置期間が延長されている。
阪神・淡路大震災のときに多くの人が被災地で救援活動に加わったことから、1995 年は何と呼ばれるようになったか?
ボランティア元年
その後、1998 年に特定非営利活動促進法(NPO 法)が制定され、市民の活動が法人として活動しやすくなった。