国家主権と領土
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」B (1) ア (ア) の「国家主権,領土(領海,領空を含む。)などに関する国際法の意義」。内容の取扱いは、
我が国が固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していること、
尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことを扱うよう求めています。
海の範囲は 2026-09-27 に e-Gov の「領海及び接続水域に関する法律」「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」と、
領土の経緯と政府の立場は内閣官房 領土・主権対策企画調整室の「国際社会の法と秩序を尊重する日本の対応」と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
国家主権は、国家が他国から干渉されずに自国のことを決め(対外的な独立)、自国の領域の人と物を治める(対内的な最高性)力です。
領域は領土・領海・領空からなり、その外側の海には、主権ではなく資源などに限った権利(主権的権利)だけが及ぶ水域があります。
| 海域 | 範囲(基線から) | 沿岸国の権利 |
|---|---|---|
| 領海 | 12 海里まで | 主権(外国船には無害通航権) |
| 接続水域 | 24 海里まで(領海を除く) | 通関・財政・出入国管理・衛生の規制 |
| 排他的経済水域 | 200 海里まで(領海を除く) | 天然資源の探査・開発などの主権的権利 |
| 大陸棚 | 原則 200 海里まで(地形により延長あり) | 海底とその下の資源の主権的権利 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 排他的経済水域と大陸棚は領域ではない。外国の船の航行や航空機の上空飛行は自由
- 無害通航権は領海にはあるが、領空にはない
- 竹島・北方領土は「残されている問題」を平和的な手段で解決する、尖閣諸島は「解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」。扱いが違う
1. 主権という言葉
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
「主権」という言葉は、場面によって 3 つの意味で使われます。国際政治で問題になるのは、主に対外的な独立の意味です。
「主権」という言葉の 3 つの意味は?
① 国家権力そのもの(統治権) ② 国家権力の最高独立性 ③ 国の政治のあり方を最終的に決める力
「国民主権」の主権は ③、「主権国家」の主権は主に ② の意味。
主権国家どうしの関係を支える、国の大小にかかわらず対等とする原則と、他国の国内の問題に干渉しない原則を、それぞれ何という?
主権平等の原則・内政不干渉の原則
国連憲章 2 条も、加盟国の主権平等と、国内管轄事項への不干渉を定めている。
2. 領海・領空と海の区分
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
海の範囲は、国連海洋法条約(1982 年採択、1994 年発効。日本は 1996 年に締結)を受けて、日本では国内法で定めています。
距離は、低潮線などで引かれる基線から測ります。
日本の領海は、どこから何海里までの海域か?
基線から 12 海里まで(領海及び接続水域に関する法律 1 条)
基線は低潮線・直線基線などで、内側の瀬戸内海などは内水として領土と同じく扱う。
領海の外側、基線から 24 海里までの水域で、沿岸国が通関・出入国管理・衛生などの規制を行える水域を何という?
接続水域
領海と違い主権は及ばず、限られた目的の規制だけが認められる。
沿岸国が、基線から 200 海里まで(領海を除く)の水域で持つ天然資源の探査・開発などの権利は「主権」か?
主権ではなく、資源などに限った「主権的権利」
排他的経済水域及び大陸棚に関する法律 1 条も、国連海洋法条約が定める「主権的権利その他の権利を行使する水域」として排他的経済水域を設けている。
海底とその下の天然資源について沿岸国が主権的権利を持ち、地形によっては 200 海里を超えて延ばせる区域を何という?
大陸棚
延長するには、国連海洋法条約に基づく大陸棚限界委員会の勧告を受ける必要がある。
外国の航空機は、沿岸国の許可なく、その国の領空を通過できるか?
できない。領空には無害通航にあたる権利がない
領空は領土と領海の上空に限られ、排他的経済水域の上空は領空ではない。
3. 北方領土・竹島・尖閣諸島
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(1)-ア-(ア)
政府の基本的立場は次のとおりです(内閣官房 領土・主権対策企画調整室)。
| 地域 | 所属 | 政府の立場と経緯 |
|---|---|---|
| 北方領土(択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島) | 北海道 | 一度も外国の領土となったことがない日本固有の領土。ロシアによる不法占拠が続いている |
| 竹島 | 島根県 | 歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土。韓国が不法に占拠している |
| 尖閣諸島 | 沖縄県 | 歴史的にも国際法上も日本固有の領土で、現に有効に支配している |
1855 年に日本とロシアの間で結ばれ、択捉島とウルップ島の間を国境と定めた条約は?
日魯通好条約
これにより択捉島以南の北方四島は日本の領土と平和裡に確定した。政府は、北方領土は一度も外国の領土となったことがない日本固有の領土としている。
1956 年、日本とソ連の国交を回復させた文書と、そこで歯舞群島・色丹島について定められたことは?
日ソ共同宣言。平和条約の締結後に、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す
平和条約はまだ結ばれていない。政府は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する方針をとっている。
竹島が閣議決定によって島根県に編入されたのは何年か?
1905 年
1952 年、韓国大統領がいわゆる「李承晩ライン」を引き(海洋主権宣言)、その内側に竹島を取り込んだ。政府は、韓国が竹島を不法に占拠しているとしている。
竹島の問題について、日本が 1954 年以降、韓国に提案してきた平和的な解決の手段は?
国際司法裁判所への付託
韓国は応じておらず、国際司法裁判所は当事国の同意がなければ裁判を始められない。
竹島と北方領土に関し残されている問題の解決に向けて、日本がとっている方針は?
武力によらず、平和的な手段によって解決するよう努力する
北方領土はロシアとの外交交渉で平和条約を結んで、竹島は国際法に則り冷静かつ平和的に解決をめざす。
尖閣諸島について、1895 年に日本政府が閣議決定したことと、現在の政府の立場は?
沖縄県の所轄とすることを閣議決定した。日本固有の領土で現に有効に支配しており、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない
竹島・北方領土のように「残されている問題」を解決する、という扱いではない。