エルニーニョ現象
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学基礎」の内容 (2) ア (イ) ㋐「地球環境の科学」。
内容の取扱いは、エルニーニョ現象にも触れることを求めている。
0. どういう論点か
これは大気と海洋が互いに影響し合うことの代表例です(→ 海水の運動 の最後)。
起点は 1 つ——貿易風が弱まること。そこから全部が順に出てきます。
| ふだん | エルニーニョのとき | |
|---|---|---|
| 貿易風(東風) | 強い | 弱い |
| 暖かい海水 | 西(インドネシア側)に寄る | 東へ広がる |
| ペルー沖の湧昇 | 起きている(冷たい・魚が多い) | 弱まる(暖かい・不漁) |
| 積乱雲・雨 | 西太平洋で多い | 中央〜東太平洋へ移る |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 起点は「風」で、海が先ではない(弱まった風が、海の流れと湧昇を変える)
- ラニーニャは逆向き(貿易風が強まり、西側がいっそう暖かくなる)
- 離れた地域の天候まで変わる(太平洋だけの話ではない)
1. ふだんの太平洋
根拠: 学習指導要領 地基-(2)-ア-(イ)-㋐
赤道付近の太平洋で、ふだん吹いている風は?
貿易風(東寄りの風)
暖かい表層の海水を西へ吹き寄せている。
貿易風によって、太平洋の海面水温はどうなっている?
西側(インドネシア付近)が高く、東側(南米沖)が低い
暖かい水が西に吹き寄せられている。
ペルー沖の海面水温が低いのはなぜ?
表層の水が沖へ流され、深層の冷たい水が上がってくるから(湧昇)
栄養塩も一緒に上がるので、好漁場になっている。
ふだん、積乱雲や雨が多いのは太平洋のどちら側?
西側(インドネシア付近)
海面水温が高く、上昇気流が起きやすいため。
2. エルニーニョとラニーニャ
根拠: 学習指導要領 地基-(2)-ア-(イ)-㋐
エルニーニョ現象とは、どんな現象?
太平洋赤道域の東側(南米沖)で、海面水温が平年より高い状態が続く現象
数年に一度起こり、1 年ほど続く。
エルニーニョ現象のきっかけになるのは?
貿易風が弱まること
西に吹き寄せられていた暖かい海水が、東へ広がる。
エルニーニョのとき、ペルー沖の湧昇はどうなる?
弱まる
冷たい水と栄養塩が上がってこなくなり、漁獲量が減る。
エルニーニョのとき、積乱雲がさかんな場所はどう変わる?
西太平洋から、中央〜東太平洋へ移る
雨の多い場所が動くので、各地の天候が変わる。
エルニーニョと逆に、東側の海面水温が平年より低くなる現象を何という?
ラニーニャ現象
貿易風が強まり、西側がいっそう暖かくなる。
エルニーニョ/ラニーニャは、何年おきくらいに起こる?
数年に一度(不規則)
周期は一定していない。
3. 遠くまで効く
根拠: 学習指導要領 地基-(2)-ア-(イ)-㋐
太平洋の東の海が暖かいだけで、なぜ日本の夏が変わるのか——
雨の降る場所が動くと、そこで生じた大気の波が上空を伝わって、離れた地域の気圧配置まで変える
からです。大気と海洋が 1 つの系であることの、いちばん分かりやすい例になります。
エルニーニョの影響が、遠く離れた地域の天候にまで及ぶのはなぜ?
雨(積乱雲)の位置が変わると、その影響が大気の流れを通じて遠くまで伝わるから
これを遠隔影響(テレコネクション)という。
エルニーニョの年、日本の夏と冬はどうなりやすい?
冷夏・暖冬になりやすい
太平洋高気圧の張り出しが弱まる傾向による。
ラニーニャの年、日本の夏と冬はどうなりやすい?
猛暑・寒冬になりやすい
エルニーニョと逆の傾向になる。
エルニーニョは世界の各地にどんな影響を与える?
ある地域では干ばつ、別の地域では大雨というように、地域ごとに違う形で現れる
農業や漁業に大きな影響が出る。
エルニーニョ現象は、地球温暖化と同じ問題?
別。エルニーニョは数年周期で繰り返される自然の変動で、温暖化は長期的な傾向
ただし、互いに影響し合う可能性は研究されている。
エルニーニョ現象が「大気と海洋の相互作用」の例といえるのはなぜ?
風の変化が海面水温を変え、その海面水温がまた風と雨を変えるから
どちらか一方が原因とは言い切れない関係になっている。