海水の運動
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学基礎」の内容 (1) ア (ウ) ㋑「大気と海水の運動」。
海洋の層構造 で分けた表層と深層は、動く仕組みがそれぞれ違う。ここが最大の分かれ目。
0. どういう論点か
海の流れは 2 種類あり、動かしているものが別です。ここを一緒にすると、
「なぜ深層の流れは何百年もかかるのか」が説明できなくなります。
| 動かすもの | 速さ | 深さ | |
|---|---|---|---|
| 表層の循環(海流) | 風(大気大循環) | 速い(1 日で数十 km) | 数百 m まで |
| 深層循環(熱塩循環) | 密度の差(水温と塩分) | 非常に遅い(一巡に約 1000〜2000 年) | 海底近くまで |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 表層の海流を動かすのは風(地球の自転が直接押しているのではない)
- 深層循環を動かすのは密度(風は届かない)
- 沈み込みが起きるのは高緯度の限られた海(どこでも沈むわけではない)
1. 風がつくる表層の流れ
根拠: 学習指導要領 地基-(1)-ア-(ウ)-㋑
海洋の表層で、一定の向きに流れる海水の流れを何という?
海流
大気大循環の風に引きずられて生じる。
海流の向きが、貿易風や偏西風の向きと対応しているのはなぜ?
表層の海水は、吹き続ける風に引きずられて動くから
風の分布がそのまま流れの分布になる。
大洋の表層にできる、大きな循環を何という? 北半球ではどちら回り?
環流(亜熱帯環流)。北半球では時計回り
南半球では反時計回りになる。
低緯度から高緯度へ向かう海流を何といい、代表例は?
暖流。日本付近では黒潮(日本海流)
熱を高緯度へ運ぶ役割をもつ。
高緯度から低緯度へ向かう海流を何といい、日本付近の代表例は?
寒流。親潮(千島海流)
栄養塩に富み、好漁場をつくる。
黒潮と親潮がぶつかる海域が好漁場になるのはなぜ?
性質の違う水が混ざり、栄養塩とプランクトンが豊富になるから
潮目(潮境)と呼ばれる。
海流は、気候にどんな影響を与える?
暖流の流れる沿岸は緯度のわりに暖かく、寒流の沿岸は冷たくなる
大気へ熱を渡す・奪うため。
2. 深層の流れ
根拠: 学習指導要領 地基-(1)-ア-(ウ)-㋑
深層の水は、高緯度の限られた海で沈み込んだものです。そこから海底近くをゆっくり進み、
数百年から千年以上かけて世界中を巡って戻ってきます。
時間の桁が表層とまったく違うことが、気候を考えるときに効いてきます。
深層を巡る、地球規模の海水の流れを何という?
深層循環(熱塩循環)
水温と塩分の差による密度の違いが動かしている。
深層循環の原動力は?
海水の密度の差(冷たく塩分の高い水は重く、沈む)
風ではなく、重さの違いで動く。
深層の水が沈み込んでいるのは、主にどこ?
北大西洋のグリーンランド沖と、南極の周辺
冷やされ、結氷で塩分が高まって重くなる。
海が凍ると、残った海水の塩分はどうなる?
高くなる
氷になるとき塩分が排出されるため、まわりの水は重くなって沈む。
深層循環が一巡するのに、どのくらいかかると考えられている?
およそ 1000〜2000 年
表層の海流とは時間の桁が違う。
深層の水が表層へ戻る動きを何という?
湧昇(ゆうしょう)
低緯度や、風で表層の水が押しやられる海域で起きる。
湧昇のある海域が好漁場になるのはなぜ?
深層の栄養塩が光の届く表層へ運ばれ、プランクトンが増えるから
ペルー沖が代表例。
3. 大気と海洋はつながっている
根拠: 学習指導要領 地基-(1)-ア-(ウ)-㋑
風が海流をつくり、海流が大気を暖め、その大気がまた風を変えます。
片方だけを見ても答えが出ない——これが次の単元(地球の環境)で扱う変動の土台になります。
大気と海洋は、どのように関わり合っている?
風が海流を起こし、海が大気に熱と水蒸気を渡して、天気や気候を変える
一方通行ではなく、互いに影響し合っている。
深層循環が弱まると、気候にどんな影響が考えられる?
高緯度へ運ばれる熱が減り、その地域が寒冷化する可能性がある
温暖化で淡水が増え、沈み込みが弱まることが心配されている。
海洋が「気候の記憶装置」といわれるのはなぜ?
熱をためこみ、ゆっくりとしか変化しないから
大気の変化より遅れて効いてくる。
海面水温が変わると、大気にどう効く?
蒸発量と上昇流が変わり、雲や降水の分布が変わる
離れた地域の天候にまで影響することがある。