財政と租税
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 公共 B ア (ウ) の「財政及び租税の役割」。内容の取扱いは、これを少子高齢社会の社会保障と関連させ、国際比較の観点から我が国の財政の現状を踏まえて、財政の持続可能性と関連付けて扱うよう求めています。
0. 何を押さえるか
財政とは、国や地方公共団体が税などでお金を集め、それを使って公共サービスを提供する経済活動です。
市場だけではうまくいかないところ(市場の失敗と政府の役割)を、財政が 3 つの働きで補います。
| 財政の機能 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 資源配分機能 | 市場では供給されにくい公共財・公共サービスを提供する | 道路・警察・教育 |
| 所得再分配機能 | 所得の多い人から少ない人へ所得を移す | 累進課税・社会保障 |
| 経済の安定化機能 | 景気の波をならす | 自動安定化装置・裁量的な財政政策 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 直接税は納める人と負担する人が同じ(所得税・法人税)、間接税は異なる(消費税・酒税)
- 累進課税は所得が多いほど税率が上がる。消費税は所得の少ない人ほど負担の割合が重くなる逆進性を持つ
- 建設国債は財政法 4 条が認める。特例国債(赤字国債)は財政法では認められず、毎年度の特例法で発行する
税率と国債の現状(時点付き。カードの答えにはしていない):
- 消費税の税率は 2019 年 10 月から 10%(飲食料品などに 8% の軽減税率)。所得税は 5% から 45% までの 7 段階の累進税率(国税庁、2026 年 4 月 1 日現在)。
- 普通国債の残高は、令和 8(2026)年度末に 1,145 兆円に上る見込み(財務省)。
- 一般政府の債務残高の対 GDP 比は、2024 年で日本が 214.5% と、比べられた 172 か国・地域の中で最も高い(財務省。出所は IMF「World Economic Outlook」2026 年 4 月)。
1. 財政の 3 つの機能
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
財政の 3 つの機能とは?
資源配分機能・所得再分配機能・経済の安定化機能
市場に任せたままでは足りない公共財の供給、所得の格差の縮小、景気の波をならすことを受け持つ。
累進課税の所得税や社会保障の給付によって、所得の多い人から少ない人へ所得を移す財政の機能を何という?
所得再分配機能
市場で決まった所得の格差を、財政が縮める働き。
景気がよいときは税収が自然に増え、失業給付が減って景気の過熱を抑え、不況のときはその逆になる、財政にもともと組み込まれたしくみを何という?
ビルト・イン・スタビライザー(自動安定化装置)
累進課税と社会保障(失業給付など)が、政府が何も決めなくても自動的に働く。
政府が景気に応じて、公共投資の増減や減税・増税を意図的に行う政策を何という?
フィスカル・ポリシー(裁量的財政政策)
不況のときは公共投資の拡大や減税、景気過熱のときは公共投資の削減や増税を行う。
2. 租税のしくみ
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
税を納める人と、実際に負担する人が同じ税を何というか。国税の例を 2 つ挙げると?
直接税。所得税・法人税
ほかに相続税など。税を納める人と負担する人が違う税は間接税。
税を納める人と、実際に負担する人が異なる税を何というか。例を 2 つ挙げると?
間接税。消費税・酒税
消費税は、買い物をした消費者が負担し、店(事業者)がまとめて納める。
所得が多い人ほど、高い税率がかけられるしくみを何という?
累進課税(制度)
所得税で採られている。所得の多い人ほど多く負担するという「垂直的公平」に合う。
消費税について言われる「逆進性」とは?
所得の少ない人ほど、所得に占める税負担の割合が高くなる性質
所得の少ない人は所得の多くを消費に回すため。軽減税率はこれを和らげるための工夫の一つ。
租税の公平について、「所得の多い人ほど多く負担する」ことを何の公平といい、「同じ所得の人は同じ負担をする」ことを何の公平というか?
前者が垂直的公平、後者が水平的公平
累進課税は垂直的公平に、消費税のように誰にも同じ税率がかかる税は水平的公平に合うとされる。
3. 国債と財政の持続可能性
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
税収で足りない歳出は、国の借金である国債でまかないます。国債は将来の税で返すので、残高が積み上がると、将来の世代に負担を回すことになり、
また国債の返済や利払い(国債費)が予算の中で大きくなって、ほかの政策に使えるお金が減っていきます(財政の硬直化)。
いまの制度を将来まで続けられるかどうかが、財政の持続可能性の問題です。どのように立て直すか(増税か歳出の削減か、その組み合わせと時期)は、立場によって考えが分かれます。
財政法 4 条がただし書きで発行を認めている、公共事業などの財源にあてる国債を何という?
建設国債
道路や橋のように将来の世代も使う資産をつくる費用なので、借金でまかなうことが認められている。
一般会計の歳入不足を補うために、財政法では認められていないが、特別の法律を毎年度つくって発行する国債を何という?
特例国債(赤字国債)
1965 年度の補正予算で初めて発行され、1975 年度からはほぼ毎年度発行されている。
国債を日本銀行に直接引き受けさせることを原則として禁じ、国債は市中で消化することを求めている法律の条文は?
財政法 5 条(市中消化の原則)
中央銀行が政府の借金を直接引き受けると、通貨が際限なく増えて激しいインフレを招くおそれがあるため。
国債の発行による収入などを除いた歳入と、国債の元利払いを除いた歳出とのつりあいを何という?
プライマリーバランス(基礎的財政収支)
これが赤字だと、新しい借金なしには今の政策の費用をまかなえていないことになる。財政の持続可能性をはかる目安の一つ。