金融の働き
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 公共 B ア (ウ) の「金融の働き」。内容の取扱いは、金融とは経済主体間の資金の融通であることを理解したうえで、金融を通した経済活動の活性化にも触れるよう求めています。
0. 何を押さえるか
お金が余っている人(貯蓄する家計など)と、お金が足りない人(設備投資をしたい企業など)がいます。
その間でお金を貸し借りして回すのが金融です。回し方には 2 通りあり、どちらを通るかで「誰がリスクを負うか」が変わります。
| 直接金融 | 間接金融 | |
|---|---|---|
| お金の流れ | 資金の出し手 → 株式・社債 → 企業 | 預金者 → 銀行 → 企業(貸出) |
| 誰が貸し先を選ぶか | 資金の出し手自身 | 銀行 |
| 貸し倒れのリスクを負うのは | 資金の出し手(株主・社債の持ち主) | 銀行 |
日本の中央銀行である日本銀行は、金利に働きかけて景気と物価を安定させます(金融政策)。取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 株式と社債はどちらも直接金融(証券会社を通しても、選んで出すのは出し手自身)
- 景気が悪いときは金融緩和(金利を下げる・資金を増やす)、景気が過熱しているときは金融引締め
- 日本銀行の目的は物価の安定(日本銀行法 2 条)。政府の財政赤字を埋めるための機関ではない
いまの政策金利: 日本銀行は 2024 年 3 月にマイナス金利政策を解除し、その後段階的に引き上げて、2026 年 9 月の金融政策決定会合で短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の誘導目標を「1.25% 程度」に引き上げました(日本銀行)。
水準は会合ごとに変わりうるので、カードの答えにはしていません。
1. 金融とは何か
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
金融とは何か、学習指導要領の言い方で答えると?
経済主体間の資金の融通
余っている資金を、必要としている経済主体へ回すこと。これによって企業の投資や家計の住宅購入などが可能になり、経済活動が活発になる。
企業が株式や社債を発行して、資金の出し手から直接に資金を集めるしくみを何という?
直接金融
貸し倒れや値下がりのリスクは、資金の出し手(株主・社債の持ち主)が負う。
預金者から集めたお金を銀行が企業などに貸し出すしくみを何という?
間接金融
どこに貸すかを銀行が判断し、貸し倒れのリスクも銀行が負う。日本では長く、この形が企業の資金調達の中心だった。
お金を借りた人が、借りた額(元本)に加えて支払う対価の、元本に対する割合を何という?
金利(利子率)
金利は資金の「価格」にあたり、資金の需要と供給で動く。金利が下がると借りやすくなり、投資や消費が増えやすい。
銀行が預金の一部を手元に残して残りを貸し出し、その貸出がまた預金になることをくり返して、最初の預金の何倍もの預金が生まれるしくみを何という?
信用創造
銀行が「お金を仲立ちする」だけでなく、社会に出回る預金通貨を増やす働きを持つことを示す。
2. 日本銀行の役割
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
日本銀行が持つ 3 つの役割とは?
発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行
日本銀行券(紙幣)を発行し、民間の金融機関と預金・貸出の取引をし、国のお金(国庫金)の出し入れを扱う。
日本銀行法 2 条が定める、日本銀行の通貨及び金融の調節の理念は?
物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること
日本銀行は 2013 年から、消費者物価の前年比上昇率 2% を「物価安定の目標」としている。
いまの日本で、紙幣(日本銀行券)の発行量は金の保有量に縛られない。この通貨制度を何という?
管理通貨制度
金と交換できる紙幣を発行する金本位制に対し、中央銀行が経済の状況を見て通貨の量を調節する。
3. 金融政策
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(ウ)
日本銀行が、金融機関との間で国債などを売り買いして市場に出回る資金の量を調節し、金利に働きかけることを何という?
公開市場操作(オペレーション)
いまの金融政策の中心的な手段。
不況のとき、日本銀行は公開市場操作で国債を「買う」か「売る」か。それによって金利はどうなるか?
国債を買う(買いオペ)。市場に資金が増えて金利が下がる
金利が下がると企業は借りて投資しやすくなる。景気が過熱したときは逆に売りオペで資金を吸収し、金利を上げる。
日本銀行が金融市場調節の目標にしている短期金利は?
無担保コールレート(オーバーナイト物)
金融機関どうしが担保なしで翌日まで資金を貸し借りするときの金利。
2016 年に日本銀行が導入し、2024 年 3 月に解除した、金融機関が日本銀行に預ける当座預金の一部にマイナスの金利をかける政策を何という?
マイナス金利政策
長く続いたデフレから抜け出すための大規模な金融緩和の一つだった。
金融機関が破綻したとき、預金者を守るために、預金を一定額まで保護する制度を何という?
預金保険制度
普通預金などは元本 1,000 万円とその利息までが保護される。それを超える部分は払い戻されないことがある(ペイオフ)。