国家主権と領土
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「公共」B ア (イ) の「国家主権,領土(領海,領空を含む。)」。内容の取扱いは、この 2 つを関連させ、
さらに国際法と関連させて扱うよう求めています。
海の範囲は 2026-09-26 に e-Gov の「領海及び接続水域に関する法律」「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」と、
領土についての政府の立場は内閣官房 領土・主権対策企画調整室の「日本政府の基本的立場」と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
国家は領域・国民・主権の 3 つの要素(国家の三要素)からなります。国家主権とは、その国が他国から支配や干渉を受けずに
自国のことを決める権利(対外的な独立)と、領域内の人と物を統治する最高の権力(対内的な最高性)のことです。
主権の及ぶ範囲が領域で、領土・領海・領空からなります。
| 海域 | 基線からの範囲 | 沿岸国の権利 |
|---|---|---|
| 内水 | 基線の内側(湾・瀬戸内海など) | 領土と同じく主権が及ぶ |
| 領海 | 12 海里まで | 主権が及ぶ(外国船には無害通航権がある) |
| 接続水域 | 24 海里まで(領海を除く) | 通関・出入国管理・衛生などの規制 |
| 排他的経済水域 | 200 海里まで(領海を除く) | 資源の探査・開発などの主権的権利(主権そのものではない) |
| 公海 | それより外 | どの国も自由に使える(公海自由の原則) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 排他的経済水域は領域ではない。資源の権利は沿岸国にあるが、外国の船の航行や航空機の上空飛行は自由
- 領空は領土と領海の上空だけ。排他的経済水域の上空は領空ではなく、宇宙空間も含まない
- 竹島・北方領土は「残されている問題」を平和的手段で解決する、尖閣諸島は「解決すべき領有権の問題は存在しない」。扱いが違う
1. 主権国家と国際社会
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
近代の国際社会は、主権を持つ国家どうしが対等に並ぶ主権国家体制として成り立ってきました。
その起点とされるのが、三十年戦争を終わらせた 1648 年のウェストファリア条約です。
国際社会には国家の上に立つ統一的な政府がないので、国家どうしの関係は国際法によって秩序づけられます(→ 国際法と国際連合)。
国家を成り立たせる 3 つの要素(国家の三要素)は?
領域・国民・主権
このうち領域は、領土・領海・領空からなる。
国家主権のうち「対外的な独立」とはどういうことか?
他国から支配や干渉を受けず、自国のことを自ら決められること
国の大小や国力にかかわらず、主権国家はたがいに対等とされる(主権平等)。他国の国内問題に口を出さないことを内政不干渉という。
主権国家どうしが対等に並ぶ国際社会のしくみの起点とされる、1648 年の条約は?
ウェストファリア条約
三十年戦争の講和条約。ここから主権国家体制が成り立ったとされる。
2. 領土・領海・領空
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
海の範囲は、国際法である国連海洋法条約(1982 年採択、1994 年発効。日本は 1996 年に締結)に基づき、日本では国内法で定められています。
日本は多くの島からなるため、国土面積に比べて排他的経済水域がとても広い国です。
日本の領海は、基線から何海里までか?
12 海里(領海及び接続水域に関する法律 1 条)
1 海里は 1852 m。領海には、領土と同じように国の主権が及ぶ。
基線から 200 海里までの海域(領海を除く)で、沿岸国が水産資源や海底資源の探査・開発などの権利を持つ水域を何という?
排他的経済水域(EEZ)
根拠は国連海洋法条約と、日本の「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」。領域ではないので、他国の船も航行できる。
外国の船が、沿岸国の平和・秩序・安全を害さない限り、その国の領海を通航できる権利を何という?
無害通航権
領海には主権が及ぶが、船の通航はこの範囲で認められる。領空には無害通航にあたる権利はなく、外国の航空機は許可なく入れない。
領空とは、どの範囲の上空か?
領土と領海の上空(大気圏内)
排他的経済水域の上空や公海の上空は領空ではない。宇宙空間はどの国も領有できない(宇宙条約)。
どの国の領海・排他的経済水域にも含まれない海を、すべての国が自由に航行・漁業・調査などに使えるという原則を何という?
公海自由の原則
国際慣習法として成り立ち、国連海洋法条約にも定められている。
3. 日本の領土をめぐって
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
学習指導要領は、我が国が、固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることと、
尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことを取り上げるよう求めています。
政府の基本的立場は次のとおりです(内閣官房 領土・主権対策企画調整室)。
| 地域 | 所属 | 政府の立場 |
|---|---|---|
| 北方領土(択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島) | 北海道 | 日本固有の領土。ロシアによる不法占拠が続いている。平和条約を結んで解決をめざす |
| 竹島 | 島根県 | 日本固有の領土。韓国による不法占拠。1954 年以降、国際司法裁判所への付託を提案してきた |
| 尖閣諸島 | 沖縄県 | 日本固有の領土で、現に有効に支配している。解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しない |
北方領土を構成する 4 つの島は?
択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島
北海道に属する日本固有の領土。現在もロシアによる不法占拠が続いている。
島根県に属する日本固有の領土で、韓国が不法に占拠している島は?
竹島
日本は 1954 年以降、国際司法裁判所への付託を韓国に提案してきたが、韓国は応じていない。国際司法裁判所は当事国の同意がなければ裁判を始められない。
竹島と北方領土に関し残されている問題について、日本はどのように解決しようとしているか?
平和的な手段によって解決するよう努力している
武力によらず、外交交渉や国際法に基づいて解決をめざす。北方領土についてはロシアと平和条約を結んで解決する方針。
沖縄県に属する尖閣諸島について、日本政府の立場は?
日本固有の領土であり、現に有効に支配している。解決すべき領有権の問題は存在しない
竹島・北方領土のような「残されている問題」とは扱いが違う。