国際法と国際連合
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「公共」B ア (イ) の「国際社会における我が国の役割」にかかわる部分です。内容の取扱いは、国家主権・領土と安全保障を
国際法と関連させて扱うよう求めています。
国連憲章の条文は 2026-09-26 に国連広報センターの日本語訳で、国際司法裁判所のしくみは国連広報センターの解説で確かめました。
0. 何を押さえるか
国際社会には、国家の上に立って法律をつくる議会も、法を強制する警察や政府もありません。
それでも国家どうしの関係を秩序づけるのが国際法で、その中心にある国際機構が国際連合です。
| 国内法 | 国際法 | |
|---|---|---|
| つくる者 | 議会(立法機関) | 国家どうしの合意(統一的な立法機関はない) |
| 裁判 | 訴えられれば裁判が始まる | 当事国の同意がなければ裁判できない |
| 強制 | 警察・裁判所が強制できる | 統一的な強制機関がない |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 国際司法裁判所(ICJ)は国家どうしの争い、国際刑事裁判所(ICC)は個人の重大な犯罪を裁く。ICC は国連の機関ではない
- 安全保障理事会の決定には加盟国を拘束する力がある(憲章 25 条)。総会の決議は勧告にとどまる
- 拒否権は実質事項(非手続事項)だけ。手続事項は 15 か国のうち 9 か国の賛成で決まる
1. 国際法
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
三十年戦争のさなかに『戦争と平和の法』(1625 年)を著し、戦争にも守るべききまりがあると説いたオランダのグロティウスは、「国際法の父」と呼ばれます。
国際法の 2 つの形式は?
条約と国際慣習法
条約=国家間の文書による合意(協定・議定書・憲章なども含む)。国際慣習法=国家の慣行が法として認められたもの(公海自由の原則など)。
条約は原則として結んだ国だけを拘束する。
「国際法の父」と呼ばれ、『戦争と平和の法』を著したのはだれ?
グロティウス(オランダ)
自然法の考え方に基づき、国家どうしの関係にも法があると説いた。
国家間の紛争を国際法に基づいて裁判する、国際連合の主要な司法機関は?
国際司法裁判所(ICJ)
オランダのハーグに置かれる。裁判官は 15 人で任期 9 年。紛争の当事国が同意しなければ裁判を始められない。
集団殺害(ジェノサイド)・人道に対する犯罪・戦争犯罪などを犯した個人を裁く常設の国際裁判所は?
国際刑事裁判所(ICC)
条約(ローマ規程)に基づき 2002 年に設立され、ハーグに置かれる。国連の機関ではない。日本は 2007 年に加盟した。
2. 国際連盟から国際連合へ
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
第一次世界大戦のあと、アメリカのウィルソン大統領の提唱で国際連盟(1920 年)がつくられました。
対立する国どうしが軍事同盟で力の均衡を保つ(勢力均衡)のではなく、加盟国すべてで侵略国に制裁を加える集団安全保障のしくみです。
しかし国際連盟は第二次世界大戦を防げず、その反省から 1945 年に国際連合が生まれました。
| 国際連盟 | 国際連合 | |
|---|---|---|
| 大国の参加 | アメリカが不参加、日本・ドイツなどが脱退 | 大国が常任理事国として加わる |
| 議決 | 総会・理事会とも原則として全会一致 | 多数決(安保理の常任理事国には拒否権) |
| 制裁 | 経済制裁が中心 | 経済制裁に加え、軍事的措置も憲章に定める |
対立する国を含めて多くの国が 1 つの組織に加わり、侵略した国に対して全体で制裁を加えて平和を保つ考え方を何という?
集団安全保障
国際連盟・国際連合がとる考え方。軍事同盟どうしの力のつり合いで戦争を防ぐ勢力均衡と対になる。
国際連盟が戦争を防げなかった理由として挙げられる、議決方法と制裁手段の弱点は?
議決が原則として全会一致で決めにくかった/制裁が経済制裁にとどまった
大国のアメリカが参加しなかったことも弱点とされる。国際連合はこれらを改め、多数決と軍事的措置を取り入れた。
3. 国際連合のしくみ
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
国際連合は、1945 年にサンフランシスコ会議で採択された国連憲章に基づき、同年 10 月に発足しました。本部はニューヨークにあります。
日本は 1956 年に加盟しました(加盟国の数は動くのでカードにしていません)。
主要機関は、総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・国際司法裁判所・事務局の 6 つです。
| 総会 | 安全保障理事会 | |
|---|---|---|
| 構成 | 全加盟国 | 15 か国(常任理事国 5 + 非常任理事国 10) |
| 投票 | 1 国 1 票。重要問題は出席し投票する国の 3 分の 2 | 実質事項は 9 か国の賛成(常任理事国すべての同意を含む) |
| 決定の効力 | 勧告(加盟国を法的に拘束しない) | 加盟国を拘束する(憲章 25 条) |
安全保障理事会の常任理事国 5 か国は?
アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国
非常任理事国は 10 か国で、任期は 2 年。総会で選ばれる。
安全保障理事会で、常任理事国が 1 か国でも反対すれば実質事項が決まらない権限を何という?
拒否権
実質事項の決定には、常任理事国すべての同意を含む 9 か国の賛成が要る(憲章 27 条)。手続事項は 9 か国の賛成だけで決まり、拒否権は及ばない。
安全保障理事会の決定と、総会の決議の、法的な効力の違いは?
安保理の決定は加盟国を拘束する(憲章 25 条)。総会の決議は勧告にとどまる
国際の平和と安全の維持について、主要な責任を負うのは安全保障理事会(憲章 24 条)。
安全保障理事会が拒否権で機能しないとき、総会が平和のための措置を勧告できるようにした 1950 年の決議は?
平和のための結集決議
これに基づき、緊急特別総会を開くことができる。
国連憲章に明文の規定はないが、停戦の監視や兵力の引き離しなどを行って紛争の再発を防ぐ国連の活動を何という?
国連平和維持活動(PKO)
憲章が予定した正規の国連軍(42 条・43 条)は、これまで一度も組織されていない。日本の参加は 我が国の安全保障と防衛 で扱う。