故事成語
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
故事成語は、中国の古い出来事(故事)や書物に書かれた話から生まれた言葉です。
意味だけを覚えるより、もとになった話を一場面で思い浮かべられるようにすると忘れにくくなります。
論語から出た言葉は 論語 で扱います。
| 故事成語 | もとの話の一場面 | 意味 |
|---|---|---|
| 矛盾 | どんな盾も突き通す矛と、どんな矛も防ぐ盾を一緒に売る | つじつまが合わない |
| 蛇足 | 蛇の絵に足を描き足して負ける | 余計なつけ足し |
| 漁夫の利 | 鳥と貝が争う間に、漁師が両方を捕る | 争いのすきに第三者が得をする |
| 塞翁が馬 | 馬が逃げたことが、次々に幸・不幸へと転じる | 幸不幸は予測できない |
分かれ目は次の 3 つ。
- ことわざとの違いは出どころ。 故事成語は中国の出来事や書物がもとになっている。
- 話の中の「失敗した人」「得をした人」が意味を決める。 蛇足なら、足を描いた人が負けた。
- 字を取り違えやすい。 画竜点「睛」(ひとみ)であって「晴」ではない。
1. 故事成語とは
根拠: 学習指導要領 国3-(3)-イ
故事成語は、長く親しまれてきた言葉のうち、由来がはっきり分かっているものです。
故事成語とはどんな言葉か?
中国の古い出来事(故事)や書物に書かれた話から生まれ、決まった意味で使われるようになった言葉。
2. 争いや戦いから生まれた故事成語
根拠: 学習指導要領 国3-(3)-イ
国どうしの争いが多かった古代中国では、戦いや駆け引きの場面から多くの故事成語が生まれました。
「矛盾」の意味と、そのもとになった話は?
つじつまが合わないこと。
楚の人が「どんな盾も突き通す矛」と「どんな矛も防ぐ盾」を売っていて、「その矛でその盾を突いたらどうなるか」と問われ答えられなかった話(韓非子)。
「五十歩百歩」の意味と、そのもとになった話は?
少しの違いはあっても、本質的には変わらないこと。
戦場で五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士を臆病だと笑ったが、逃げたことに変わりはないというたとえ(孟子)。
「漁夫の利」の意味と、そのもとになった話は?
両者が争っているすきに、第三者が苦労せずに利益を横取りすること。
しぎ(鳥)とはまぐり(貝)が互いに放さず争っているところを、通りかかった漁師が両方とも捕らえた話(戦国策)。
「背水の陣」の意味と、そのもとになった話は?
失敗したら後がない状況に身を置いて、全力で事に当たること。
漢の韓信がわざと川を背にして陣を構え、逃げ場のない兵に必死で戦わせて勝った話(史記)。
「四面楚歌」の意味と、そのもとになった話は?
周りが敵や反対する者ばかりで、助けがなく孤立していること。
楚の項羽が漢軍に囲まれたとき、四方から楚の歌が聞こえ、楚の人々まで敵に降ったと嘆いた話(史記)。
「呉越同舟」の意味と、そのもとになった話は?
仲の悪い者どうしが同じ場所に居合わせること。また、共通の困難に対して協力すること。
敵どうしだった呉の人と越の人も、同じ舟で嵐にあえば助け合うというたとえ(孫子)。
3. 人の振る舞いから生まれた故事成語
根拠: 学習指導要領 国3-(3)-イ
失敗や心配、ものづくりの工夫など、人の振る舞いを描いた話からも故事成語が生まれています。
「蛇足」の意味と、そのもとになった話は?
余計なつけ足し。なくてもよいもの。
蛇の絵を早く描く競争で、先に描き終えた人が足まで描き足したため、蛇ではなくなって負けた話(戦国策)。
「推敲」の意味と、そのもとになった話は?
詩や文章の字句を、何度も考えて練り直すこと。
唐の詩人賈島が、詩の一句を「僧は推す月下の門」にするか「僧は敲く月下の門」にするか迷い続けた話。
「杞憂」の意味と、そのもとになった話は?
心配する必要のないことを心配すること。取り越し苦労。
杞の国の人が、天が落ちてこないか、地が崩れないかと心配して夜も眠れなかった話(列子)。
「画竜点睛」の意味と、そのもとになった話は?
物事を完成させるための、最後の大切な仕上げ。「画竜点睛を欠く」は、肝心な仕上げが足りないこと。
竜の絵に最後に瞳(睛)を描き入れたところ、竜が天に昇っていった話。「晴」と書くのは誤り。
「塞翁が馬」の意味と、そのもとになった話は?
人生の幸不幸は変わりやすく、予測できないこと。
とりで(塞)の近くに住む老人の馬が逃げたが、よい馬を連れて戻り、その馬で息子が足を折ったが、そのため戦争に行かずに済んだ話(淮南子)。
「守株」の意味と、そのもとになった話は?
古いやり方にこだわって、融通がきかないこと。
宋の農夫が、切り株にうさぎがぶつかって死んだのを見て、畑仕事をやめて切り株を見張り続けた話(韓非子)。