AI倫理・AIガバナンス
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 2「AI倫理・AIガバナンス」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 27:情報倫理・AI倫理)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
AI は便利ですが、出力が正しいとは限らず、なぜそう答えたかも見えにくい道具です。
そこで「どう使えば安心か」を組織として決めて守らせる仕組みが AI ガバナンス です。
| 問い | 答えになる仕組み・考え方 |
|---|---|
| なぜその判断になったのか分からない | 説明可能な AI(XAI) |
| AI に任せきりにしてよいか | ヒューマンインザループ(HITL)=人が確認・介入する |
| 入力したデータは学習に使われるのか | AI サービスのオプトアウトポリシーを確かめる |
| 出力にどんな危険があるか | ハルシネーション、差別的表現、古い情報、出典不明 … |
取り違えやすい分かれ目は次の 2 つです。
- ハルシネーションとディープフェイク:前者は AI が意図せずもっともらしい誤りを出すこと、後者は人が AI で本物そっくりの偽物を作ること
- オプトアウトは「何もしなければ使われる(嫌なら申し出て止める)」。初期設定で学習に使われるサービスがある
AI を使う組織が守るべき原則(人間中心、公平性、透明性など)は、中分類 10 の「AI 利活用の原則及び指針」も合わせて見てください。
1. AI を信頼して使うための仕組み
根拠: シラバス 7-27-2
説明可能な AI(XAI)とは? なぜ必要か?
AI がなぜその結果を出したのか、根拠を人が理解できる形で示せるようにする技術・考え方
XAI は Explainable AI の略。ディープラーニングは中身が複雑で、判断の理由が見えない
(ブラックボックス)になりやすい。
融資の審査や医療診断のように理由の説明が求められる場面では、説明できなければ使えない。
ヒューマンインザループ(HITL)とは?
AI の処理の流れの中に人間を組み込み、人が確認・判断・修正する仕組み
AI の出力をそのまま使わず、最終的な判断や重要な場面で人が関与する。
誤りや偏りを人が止められるので、AI の判断の責任を人が持つことにもつながる。
AI サービスのオプトアウトポリシーとは? 業務で使う前に何を確かめるか?
利用者が入力したデータを、AI の学習などに使わせないよう申し出る(止める)ための方針・手続き
オプトアウト方式では、何もしなければ入力データが学習に使われることがある。
業務で使う前に:
- 入力データが学習に使われるか、止める設定があるか
- 機密情報や個人情報を入力してよいか(社内ルール)
を確かめる。入力した情報が他の利用者への回答に混ざるおそれがあるため。
2. AI のリスク・脅威
根拠: シラバス 7-27-2
シラバスは AI のリスクを 4 つの系統で挙げています。
| 系統 | 例 |
|---|---|
| セキュリティ・プライバシーへの懸念 | 入力した機密・個人情報の流出、AI への攻撃(プロンプトインジェクションなど) |
| 信頼性の課題 | ハルシネーション、古い出力情報、根拠・出典不明の出力情報、出力情報の再現性・一貫性の欠如 |
| 倫理・法的リスク | 差別的表現、著作権などの権利侵害、悪意ある情報、ディープフェイク |
| フロンティア AI によるリスクと脅威 | 最先端の高性能な AI が悪用・制御不能になるおそれ |
ハルシネーションとは?
生成 AI が、事実と異なる内容や存在しない情報を、もっともらしく出力すること(幻覚)
AI は「それらしい続き」を作るので、自信ありげな文体でも誤っていることがある。
存在しない論文・判例・URL を挙げる、が典型。
出力をそのまま使わず、一次情報で裏を取る。
生成 AI の「信頼性の課題」として挙がる出力の問題を 4 つ挙げよ。
| 問題 | 中身 |
|---|---|
| ハルシネーション | もっともらしい誤りを出す |
| 古い出力情報 | 学習したデータの時点より後のことを知らず、古い情報のまま答える |
| 根拠・出典不明の出力情報 | どこから得た情報か示されず、確かめようがない |
| 出力情報の再現性・一貫性の欠如 | 同じ質問でも毎回答えが変わることがある |
どれも「AI の答えを検証なしに使わない」ことが対策の基本。
生成 AI が差別的表現を出力してしまうのはなぜか?
学習データに含まれる偏り(バイアス)を、AI がそのまま学んでしまうから
特定の性別・人種などについての偏見がデータにあれば、出力にも表れる。
採用や評価に使うと不公平な扱いにつながるので、倫理・法的リスクになる。
AI のリスクとしての「悪意ある情報」とは?
AI を使って、人をだます・傷つける目的の情報が作られ、流されること
詐欺メールの文面、偽の口コミ、特定の人を攻撃する文章などを、
生成 AI で大量に・手軽に・自然な文で作れてしまう。
情報倫理でいう悪意ある情報・偽情報が、AI で量産しやすくなったのが問題。
ディープフェイクとは? ハルシネーションとの違いは?
AI(ディープラーニング)で作った、本物そっくりの偽の画像・動画・音声
| 誰の意図か | |
|---|---|
| ディープフェイク | 人が意図して偽物を作る(なりすまし・詐欺・世論操作に悪用) |
| ハルシネーション | AI が意図せず誤りを出す |
有名人の偽動画や、上司の声を真似た電話による送金詐欺などに使われる。
フロンティア AI によるリスクと脅威とは?
最先端の、非常に高性能な汎用 AI(フロンティア AI)がもたらしうる、深刻で広範囲なリスク
例:サイバー攻撃や危険物の開発への悪用、人が制御・理解しきれない振る舞い。
能力が高いぶん、一度悪用されたときの被害が大きいので、
開発段階からの安全性評価や国際的な協調が求められている。
AI のリスクとしての「セキュリティ・プライバシーへの懸念」の例は?
| 例 | 中身 |
|---|---|
| 入力情報の流出 | 機密情報や個人情報を入力し、学習や保存を通じて外に漏れる |
| AI への攻撃 | 細工した指示文で AI に本来しない動作をさせる(プロンプトインジェクション) |
| 個人の推定 | 公開情報を AI が組み合わせ、個人の私生活を推定してしまう |
対策は、入力してよい情報のルールを決め、オプトアウトポリシーを確かめること。