知的財産権
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 1「知的財産権」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 28:ビジネス関連法規)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
知的財産権は、登録しなくても生まれる著作権と、登録して初めて守られる産業財産権に分かれます。
| 法律 | 何を守るか | 権利が生まれる時 | 保護期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 著作権法 | 思想・感情の表現(文章・音楽・プログラムなど) | 創作した時(登録不要) | 原則、著作者の死後 70 年 |
| 特許法 | 高度な技術的アイデア(発明) | 登録された時 | 出願から 20 年 |
| 実用新案法 | 物の形状・構造の考案 | 登録された時 | 出願から 10 年 |
| 意匠法 | 物のデザイン | 登録された時 | 出願から 25 年 |
| 商標法 | 商品・サービスの目印 | 登録された時 | 10 年(更新できる) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つです。
- 著作権だけは届け出も登録も要らない(作った瞬間に発生する)
- 著作権が守るのは表現。プログラムのアルゴリズムやプログラム言語そのものは守られない
- 商標だけが更新で半永久的に持てる(守っているのが新しさではなく信用だから)
1. 著作権法
根拠: シラバス 7-28-1
著作権はいつ発生するか? 特許権との違いは?
著作物を創作した時点で、手続きなしに自動的に発生する(無方式主義)
| 権利が生まれる時 | |
|---|---|
| 著作権 | 創作した時(届出・登録は不要) |
| 特許権などの産業財産権 | 特許庁に出願し、登録された時 |
保護期間は原則、著作者の死後 70 年。
プログラムは著作権法で保護されるか? 保護されないものは?
プログラムは著作物として保護される。
ただし、プログラムを作るために使う次の 3 つには保護が及ばない(著作権法 10 条 3 項)。
| 保護されない | 例 |
|---|---|
| プログラム言語 | Python、Java など |
| 規約 | 通信プロトコルやインタフェースの取り決め |
| 解法 | アルゴリズム |
書かれたコード(表現)は守られるが、アイデアや手順は守られない。
会社の業務として社員が作ったプログラムの著作者は誰か?
原則として会社(法人)(職務著作。著作権法 15 条)
会社の発意にもとづき、社員が職務上作成したものは、
契約や就業規則で別の定めをしない限り、会社が著作者になる。
一方、外部に開発を委託した場合、契約で定めなければ
著作権は実際に作った委託先に残る。発注側は契約で権利の帰属を決めておく。
他人の著作物を「引用」として許可なく使えるのはどんなときか?
公表された著作物を、公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲内で使うとき(著作権法 32 条)
実務上の目安:
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 主従関係 | 自分の文章が「主」、引用部分が「従」 |
| 明瞭区別 | かぎ括弧などで、どこが引用か分かる |
| 必然性 | その部分を引く必要がある |
| 出所の明示 | 著作者名・書名などを示す |
条件を満たさずに丸ごと載せれば、引用ではなく無断転載になる。
AI の学習のために他人の著作物を使うことは、著作権法上どう扱われるか?
表現を味わうこと(享受)を目的としない利用として、原則として許諾なく使える(著作権法 30 条の 4)
ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。
また、学習とは別に、生成した物が既存の著作物に似ていて、それに依拠していると
判断されれば、生成物の利用が著作権侵害になりうる。
2. 産業財産権
根拠: シラバス 7-28-1
特許・実用新案・意匠・商標の 4 つです。何を守る法律かで選べれば足ります。
特許法が守るものは? 誰が権利を得るか?
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度なもの(発明)
出願から 20 年保護される。先に出願した人が権利を得る(先願主義)。
考えただけでは守られず、出願して登録されて初めて権利になる。
ビジネスモデル特許とは?
ビジネスの方法を、IT を使って実現する仕組みについて認められる特許
ビジネスのアイデアそのものは特許にならない。
コンピュータやネットワークによる技術的な実現手段と結び付いて初めて対象になる。
実用新案法は特許法とどう違うか?
| 対象 | 審査 | 期間 | |
|---|---|---|---|
| 特許法 | 高度な発明 | 実体審査あり | 出願から 20 年 |
| 実用新案法 | 物品の形状・構造・組合せの考案 | 実体審査なし(早く登録される) | 出願から 10 年 |
「高度」でなくてよい代わりに期間が短い。方法や物質は対象外。
意匠法と商標法は、それぞれ何を守るか?
| 法律 | 守るもの | 期間 |
|---|---|---|
| 意匠法 | 物品・画面・建築物などのデザイン(見た目) | 出願から 25 年 |
| 商標法 | 商品・サービスを区別する目印(文字・図形・記号・音など) | 10 年。更新すれば半永久 |
見た目を守るのが意匠、目印を守るのが商標。
商標だけが更新できるのは、守るのが新しさではなく、使い続けて積み上げた信用だから。
トレードマークとサービスマークの違いは?
| 何に付ける目印か | |
|---|---|
| トレードマーク | 商品(物)に使う商標 |
| サービスマーク | サービス(役務)に使う商標 |
どちらも商標法で保護される。対象が物かサービスかの違いだけ。