不正競争防止法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 2「不正競争防止法」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 28:ビジネス関連法規)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
不正競争防止法は、登録していない情報やブランドでも、ずるいやり方で奪われたら守る法律です。
特許や商標のように「登録して権利を得る」法律とは発想が違います。
| 守られる情報 | どういう情報か | 例 |
|---|---|---|
| 営業秘密 | 社内で秘密として管理している情報 | 顧客名簿、製造ノウハウ、ソースコード |
| 限定提供データ | 特定の相手に提供するため、電子的に大量に蓄積・管理しているデータ | 会員企業にだけ売る気象データ・走行データ |
取り違えやすい分かれ目は次の 2 つです。
- 営業秘密の 3 要件は全部そろって初めて守られる。とくに「秘密として管理していたか」で落ちやすい
- 限定提供データは「秘密」ではない(契約した相手には渡している)。営業秘密に当たるものは限定提供データから除かれる
1. 不正競争防止法とは
根拠: シラバス 7-28-2
不正競争防止法とは? 特許法・商標法との違いは?
事業者間の公正な競争を守るため、不正な手段による競争(不正競争)を禁じる法律
| 守り方 | |
|---|---|
| 特許法・商標法 | 登録した権利を守る |
| 不正競争防止法 | 登録が無くても、不正な行為そのものを禁じる |
代表的な不正競争: 営業秘密の不正取得・使用、有名な商品表示の無断使用、
他人の商品の形をまねた商品(デッドコピー)の販売、不正な目的でのドメイン名の取得など。
2. 営業秘密
根拠: シラバス 7-28-2
不正競争防止法における営業秘密の3要件をすべて満たした情報だけが、この法律で守られます。
不正競争防止法における営業秘密の 3 要件は?
| 要件 | 中身 |
|---|---|
| 秘密管理性 | 秘密として管理されている(アクセス制限や「社外秘」表示など) |
| 有用性 | 事業活動に役に立つ技術上・営業上の情報である |
| 非公知性 | 公然と知られていない |
3 つ全部を満たして初めて営業秘密として守られる。
誰でも見られる共有フォルダに置いていた顧客名簿を、退職者が持ち出した。営業秘密として守られるか?
守られない可能性が高い。「秘密管理性」を満たさないため。
会社が大事だと思っていても、秘密として管理していなければ営業秘密とは認められない。
アクセス権限を絞る、「秘密」と表示する、持ち出しを禁じる規程を置く、
といった管理の実態が必要。
有用性・非公知性を欠く例は?
| 欠ける要件 | 例 |
|---|---|
| 有用性 | 事業に役立たない情報(反社会的な行為・脱税などの情報も有用性なしとされる) |
| 非公知性 | すでに公表されている、書籍やWebで誰でも手に入る情報 |
秘密にしているだけでは足りず、役に立ち、かつ知られていないことが必要。
営業秘密の侵害に当たる行為の例は?
| 行為 | 例 |
|---|---|
| 不正な取得 | 盗み出す、だまし取る、不正アクセスで手に入れる |
| 不正な使用・開示 | 正当に知った社員が、図利加害目的(自分の利益・会社への加害)で使う・漏らす |
| 不正と知っての取得・使用 | 持ち出された情報だと知りながら、転職者から受け取って使う |
転職者が前の会社の顧客名簿や設計情報を持ち出し、転職先で使うのが典型。
受け取った転職先の会社も責任を問われうる。
3. 限定提供データ
根拠: シラバス 7-28-2
限定提供データとは? 営業秘密との違いは?
業として特定の者に提供するため、電磁的方法で相当量蓄積・管理されている技術上・営業上の情報
| 営業秘密 | 限定提供データ | |
|---|---|---|
| 前提 | 社外に出さない(秘密) | 契約した相手には提供する(秘密ではない) |
| 管理 | 秘密として管理 | ID・パスワードなどで提供先を限って管理 |
データを売る・共有するビジネスで、不正に取得・転売されたときに差止めなどを求められる。
営業秘密に当たるものは除かれる(二重には扱わない)。
営業秘密や限定提供データを不正に取得・使用されたとき、被害を受けた会社は何を求められるか?
| 手段 | 中身 |
|---|---|
| 差止請求 | 使用や開示をやめさせる |
| 損害賠償請求 | 受けた損害の賠償を求める |
営業秘密については、悪質な不正取得・使用・開示には刑事罰もある(営業秘密侵害罪)。
「不正競争」に当たる行為の例を、情報以外で 2 つ挙げよ。
| 行為 | 中身 |
|---|---|
| 著名な表示の冒用 | 他人の有名な商品名・ロゴと同じか似たものを使う |
| 形態模倣(デッドコピー) | 他人の商品の形をそのまままねた商品を売る |
| ドメイン名の不正取得 | 不正な利益や加害の目的で、他人の商品名などと同じか似たドメイン名を取る・使う |
商標登録が無くても、これらは不正競争防止法で止められる。