労働関連法規
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 3「労働関連法規」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 28:ビジネス関連法規)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
働く人を守る法律は、何を守るかで分けると混ざりません。
| 法律 | 何を定めるか |
|---|---|
| 労働基準法 | 労働時間・休日・賃金など、労働条件の最低ライン |
| 労働契約法 | 労働契約の結び方・変え方・終わらせ方(解雇など)のルール |
| 労働安全衛生法 | 職場の安全と健康(健康診断・ストレスチェックなど) |
| 労働者派遣法 | 派遣という働き方のルール |
| 労働施策総合推進法 | パワハラ防止の措置義務(パワハラ防止法) |
| 男女雇用機会均等法 | 性別による差別の禁止、セクハラ防止 |
| 育児・介護休業法 | 育児休業・介護休業などの両立支援 |
| 公益通報者保護法 | 不正を通報した人を不利益な扱いから守る |
この小分類で一番問われるのは、誰が指揮命令してよいかです。
| 契約 | 雇っている会社 | 指揮命令する会社 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | 雇い主 | 雇い主 |
| 派遣契約(労働者派遣) | 派遣元 | 派遣先 |
| 請負契約 | 請負会社 | 請負会社(発注者は指示できない) |
「発注した側が相手の労働者に直接指示してよいのは派遣だけ」。請負なのに発注者が指示すれば偽装請負です。
1. 労働基準法
根拠: シラバス 7-28-3
36 協定とは? 何のために必要か?
時間外労働・休日労働をさせるために、労使で結んで労働基準監督署に届け出る協定
労働基準法第 36 条にもとづくのでこの名で呼ばれる。
法定労働時間(原則 1 日 8 時間・週 40 時間)を超えて働かせるには、
この協定が無ければ違法になる。協定があっても時間外労働には上限がある。
フレックスタイム制と裁量労働制の違いは?
| 何が自由か | 労働時間の数え方 | |
|---|---|---|
| フレックスタイム制 | 始業・終業の時刻 | 実際に働いた時間で数える(一定期間の総労働時間は決まっている) |
| 裁量労働制 | 仕事の進め方・時間配分 | 実際の時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間働いたとみなす |
フレックスタイム制では、必ず勤務すべきコアタイムを置くこともできる。
裁量労働制は、研究開発など仕事の進め方を本人に委ねる業務に限って使える。
2. 労働者派遣法と契約の見分け
根拠: シラバス 7-28-3
雇用契約と派遣契約の違いは?
| 誰と契約し、誰の指示で働くか | |
|---|---|
| 雇用契約 | 雇い主と契約し、雇い主の指揮命令で働く |
| 派遣契約 | 派遣元と派遣先が結ぶ契約。労働者は派遣元に雇われ、派遣先の指揮命令で働く |
派遣は雇用する会社と指揮命令する会社が違うのが特徴。
派遣元(派遣会社)と労働者の間にあるのが雇用契約、派遣元と派遣先の間にあるのが派遣契約。
偽装請負とは?
契約は請負(や準委任)なのに、実態として発注者が請負側の労働者に直接指揮命令している状態
請負では、労働者への指示は請負会社が出す。発注者が直接指示してよいのは派遣だけ。
形式が請負でも実態が派遣なら、労働者派遣法の規制を逃れた違法な状態になる。
例:客先常駐の開発者に、発注元の社員が作業内容や勤務時間を直接指示する。
二重派遣とは? なぜ禁止されているか?
派遣先が、受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社へ派遣して指揮命令させること
雇い主(派遣元)が関わらないところで労働者が転々とし、
責任の所在があいまいになり、中間で賃金が抜かれるおそれがある。
法律上は、職業安定法が禁じる労働者供給に当たる(二重派遣の禁止)。
3. 労働契約・安全衛生・ハラスメント
根拠: シラバス 7-28-3
労働契約法と労働基準法の違いは?
| 法律 | 中身 | 守らせ方 |
|---|---|---|
| 労働基準法 | 労働条件の最低基準 | 労働基準監督署の監督、罰則あり |
| 労働契約法 | 労働契約の成立・変更・終了の基本ルール | 主に民事上のルール(裁判で争う基準) |
労働契約法の代表例:客観的に合理的な理由の無い解雇は無効、
有期契約が通算 5 年を超えると無期契約への転換を申し込める(無期転換ルール)。
労働安全衛生法とは?
職場の労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境をつくるための法律
事業者に、健康診断の実施、ストレスチェック、長時間労働者への医師による面接指導、
安全衛生の管理体制づくりなどを義務づける。
IT の職場では、VDT 作業(ディスプレイ作業)の健康管理やメンタルヘルス対策が関わる。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、パワーハラスメントをどう定め、事業主に何を求めるか?
職場のパワハラ=次の 3 つをすべて満たす言動
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
事業主には、相談体制の整備などの防止措置が義務づけられている。
適正な範囲の業務指示や指導はパワハラに当たらない。
2025 年の改正(令和 7 年法律第 63 号)で、2026 年 10 月 1 日から、顧客などからの著しい迷惑行為
(いわゆるカスタマーハラスメント)への対策と、就職活動中の学生など求職者へのセクシュアルハラスメント対策も、
事業主の雇用管理上の措置義務に加わりました。
2026 年 10 月から、事業主の措置義務としてハラスメント対策に新しく加わった 2 つは?
| 新しく加わった対策 | 誰からの・誰への言動か |
|---|---|
| カスタマーハラスメント(カスハラ)対策 | 顧客など(社外)から労働者への言動 |
| 求職者へのセクシュアルハラスメント対策 | 事業主側から就職活動中の学生などの求職者への言動 |
どちらも労働施策総合推進法などの改正(2025 年公布)による。
パワハラが「社内の優越的な関係」を前提にするのに対し、カスハラは社外の顧客などが加害側になる点が違う。
男女雇用機会均等法と育児・介護休業法は、それぞれ何を定めるか?
| 法律 | 中身 |
|---|---|
| 男女雇用機会均等法 | 募集・採用・昇進などでの性別による差別の禁止、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産に関するハラスメントの防止措置 |
| 育児・介護休業法 | 育児休業・介護休業、子の看護のための休暇などの制度、育児・介護休業に関するハラスメントの防止措置 |
均等法は「性別で扱いを変えない」、育介法は「育児・介護と仕事を両立させる」。
公益通報者保護法とは? 事業者には何が求められるか?
組織の法令違反などを通報した労働者などを、解雇・降格などの不利益な扱いから守る法律
内部告発をためらわせないことで、不正を早く表に出す狙い。
一定規模以上の事業者には、通報を受け付けて調査・是正する体制(内部通報窓口など)の整備が義務づけられている
(常時使用する労働者が 300 人を超える事業者。300 人以下は努力義務)。
通報者が誰かを漏らさないことも求められる。
2026 年 12 月施行の公益通報者保護法の改正で、通報者の守り方はどう強まったか?
| 変わった点 | 中身 |
|---|---|
| 刑事罰 | 公益通報をしたことを理由に解雇・懲戒した者に刑事罰を科す |
| 推定 | 通報から 1 年以内の解雇・懲戒は、通報を理由とするものと推定する(事業者の側が違うと示す) |
| 保護される人 | 労働者などに加え、フリーランス(特定受託業務従事者)も保護の対象になった |
| 体制整備 | 通報を受け付け・対応する体制づくりを徹底させる規定が強まった |
2025 年 6 月公布(令和 7 年法律第 62 号)、2026 年 12 月 1 日施行。