情報倫理・情報モラル
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 1「情報倫理・情報モラル」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 27:情報倫理・AI倫理)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
ここは法律で決まっていなくても守ることの話です。問われるのは大きく 3 つです。
| 系統 | 中身 |
|---|---|
| ふるまい | デジタルシティズンシップ、ネチケット、撮影・録音・配信時の同意、同報メールの使い方 |
| 情報の歪み | フェイクニュース、エコーチェンバー、フィルターバブル、3 種類の「問題のある情報」 |
| 不正と保護 | データのねつ造・改ざん・盗用、フィルタリング、ペアレンタルコントロール |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つです。
- CC と BCC:他の受信者にアドレスが見えるか見えないか。社外の複数人へ一斉に送るなら BCC
- エコーチェンバーとフィルターバブル:偏りの原因が人の集まり方か、アルゴリズムの選別か
- 誤情報・偽情報・悪意ある情報:本当か嘘かと、害する意図があるかの 2 軸で分ける
1. デジタル社会でのふるまい
根拠: シラバス 7-27-1
「やってはいけないことを覚える」だけでなく、デジタルを使って社会に参加する力を身に付ける、というのが最近の考え方です。
デジタルシティズンシップとは? 従来の「情報モラル教育」とどう違うか?
デジタル技術を使って、責任ある市民として社会に積極的に参加するための力
| 重心 | |
|---|---|
| 従来の情報モラル | 危険を避ける・してはいけないことを教える(抑制) |
| デジタルシティズンシップ | 良い使い手としてどう使うかを自分で考える(活用) |
禁止中心ではなく、主体的に正しく使うことに重きを置く。
ネチケット(ネットマナー)とは?
ネットワーク(ネット)上で守るべき礼儀・エチケット(ネットワーク+エチケット)
法律で罰せられるものではないが、相手が見えないことによる誤解や
トラブルを避けるための配慮。例:相手を不快にさせる表現を避ける、
大容量ファイルをいきなり送り付けない、など。
撮影時・録音時・配信時の同意が必要なのはなぜか?
写っている人・録音されている人の権利(肖像権・プライバシー)を守るため
会議や授業を録画・録音する、写真を SNS に載せる、ライブ配信するときは、
写る人・話す人に事前に知らせて同意を得る。
いったん公開すると取り消せない(→ デジタルタトゥー)ので、公開してから確認するのでは遅い。
2. メールの扱い
根拠: シラバス 7-27-1
同報メールの適切な利用(1 通を複数人に送るときの作法)と、メール誤送信の防止です。
同報メールで TO・CC・BCC はどう使い分けるか?
| 欄 | 誰に | 他の受信者から見えるか |
|---|---|---|
| TO | 本来の宛先(対応してほしい人) | 見える |
| CC | 参考までに知らせたい人 | 見える |
| BCC | 他の受信者に知らせずに送りたい人 | 見えない |
互いに面識の無い社外の人へ一斉に送るときは BCC。
CC に入れると全員のメールアドレスが互いに見え、個人情報の漏えいになる。
メーリングリストとは? BCC 一斉送信との違いは?
1 つの代表アドレスに送ると、登録されている全員に配信される仕組み
| 宛先の管理 | 返信したとき | |
|---|---|---|
| メーリングリスト | リストの管理者が登録・削除する | 設定によっては全員に届く |
| BCC 一斉送信 | 送る人が毎回宛先を入れる | 送った人にだけ届く |
メーリングリストでは「全員に返信」の誤操作で、私的な返信が全員に流れる事故が起きやすい。
メール誤送信を防ぐ対策の例は?
| 対策 | 中身 |
|---|---|
| 送信前の確認 | 宛先・添付ファイルをもう一度確かめる(確認画面を出す) |
| 送信の保留 | 送信ボタンの後、数分待ってから実際に送る(取り消せる時間を作る) |
| 宛先の自動 BCC 化 | 社外宛てが複数あると自動で BCC に変える |
| 上長の承認 | 社外宛てのメールは承認されてから送られる |
オートコンプリート(入力補完)で似た名前の人を選んでしまうのが典型的な原因。
3. 情報の歪みと向き合う
根拠: シラバス 7-27-1
ネットでは、情報そのものが間違っている場合と、正しい情報が偏って届く場合があります。
誤情報・偽情報・悪意ある情報の違いは?
| 用語 | 中身は | 害する意図 |
|---|---|---|
| 誤情報(ミスインフォメーション) | 誤り | 無い(勘違い・思い込みで広まる) |
| 偽情報(ディスインフォメーション) | 誤り | 有る(わざと作って流す) |
| 悪意ある情報(マルインフォメーション) | 事実 | 有る(本当のことを、傷つける目的で流す。私生活の暴露など) |
本当か嘘かと害意の有無の 2 軸で分ける。事実なのに問題になるのが悪意ある情報。
フェイクニュースとファクトチェックの関係は?
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| フェイクニュース | ニュースの体裁をとった、事実でない情報 |
| ファクトチェック | 発信された情報が事実かどうかを、根拠に当たって検証すること |
受け手としては、拡散する前に一次情報(発信元・公的機関の発表など)を確かめるのが基本。
エコーチェンバーとフィルターバブルの違いは?
| なぜ偏るか | |
|---|---|
| エコーチェンバー | 似た意見の人どうしで集まってやり取りするので、同じ意見が反響(エコー)して強まる |
| フィルターバブル | アルゴリズムが好みに合う情報だけを選んで見せるので、他の情報が泡(バブル)の外に追い出される |
人の集まり方のせいか、システムの選別のせいかが分かれ目。
どちらも「自分の見ている世界が世の中全体だ」と思い込む危険につながる。
デジタルタトゥーとヘイトスピーチとは?
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| デジタルタトゥー | ネットに一度出た情報は、消しても複製・保存されて残り続けること(入れ墨のように消えない) |
| ヘイトスピーチ | 人種・民族・国籍などの属性を理由に、特定の集団を攻撃・排除する言動 |
投稿する前に「ずっと残っても困らないか」「誰かを属性で傷つけないか」を考える。
4. 研究・業務の不正と、子どもを守る仕組み
根拠: シラバス 7-27-1
データのねつ造・データの改ざん・データの盗用の違いは?
| 何をすることか | |
|---|---|
| ねつ造 | 存在しないデータを作り出す |
| 改ざん | 実際のデータを、都合のよいように書き換える |
| 盗用 | 他人のデータ・成果を、了解も出典も示さず自分のものとして使う |
無い物を作る/有る物を変える/他人の物を取る。研究や報告書での代表的な不正。
フィルタリングとペアレンタルコントロールの違いは?
| 仕組み | 中身 |
|---|---|
| フィルタリング | 有害と判断されるサイトへの接続を遮断する(見せない) |
| ペアレンタルコントロール | 保護者が子どもの利用時間・使えるアプリ・課金などを管理する |
フィルタリングは「何を見せないか」、ペアレンタルコントロールは「どう使わせるか」まで広く管理する。
トロッコ問題とは? なぜ情報倫理で扱うのか?
「暴走するトロッコの先に 5 人、切り替えた先に 1 人。切り替えるべきか」という倫理の思考実験
どちらを選んでも誰かが犠牲になる、正解の無いジレンマを示す。
自動運転など、機械に判断を任せるときに「事故が避けられない場面でどう動くよう設計するか」
という問いとして取り上げられる。