内部統制・デジタルガバナンス
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 2「内部統制・デジタルガバナンス」(大分類 3:組織活動/中分類 12:ガバナンス・監査)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
内部統制は、組織が自分で不正やミスを防ぐために、業務の中に組み込む仕組みです。
コーポレートガバナンス が「経営者を外から律する」のに対し、内部統制は経営者が組織の中を律する側です。
デジタルガバナンスは、同じ考え方をIT・デジタルの活用に当てはめたものです。
仕組みを作る手順は 4 段で押さえます(シラバスの用語例の並び順どおり)。
| 手順 | 何をするか |
|---|---|
| ① 業務プロセスの明確化 | 業務の流れと、どこに誤りや不正のリスクがあるかを明らかにする |
| ② 職務分掌 | 1 人に権限を集めない(申請する人と承認する人を分ける) |
| ③ 実施ルールの設定 | 誰が何をどう行うかを規程・手順書として決める |
| ④ チェック体制の確立 | ルールどおりに行われているかを確かめる仕組みを作る |
取り違えやすいのは次の 2 組です。
- 誤謬と不正 … うっかりか、わざとか
- 内部統制と監査 … 組織が自分で回す仕組みか、独立した立場から確かめる行為か(→ 監査)
1. 内部統制の仕組み
根拠: シラバス 3-12-2
内部統制とは? 整備する責任は誰にあるか?
業務が適正に行われるよう、組織の内部に組み込む仕組み
4 つの目的: 業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全。
整備・運用する責任は経営者にある。 監査人が作るものではない。
内部統制報告制度(J-SOX)とは?
上場企業の経営者が、財務報告に係る内部統制の有効性を自ら評価して「内部統制報告書」を作り、それを公認会計士・監査法人が監査する制度
根拠は金融商品取引法。米国の SOX 法(企業改革法)にならったので J-SOX と呼ばれる。
評価するのは経営者、それを監査するのが外部の監査人という二段構え。
内部統制を作る 4 つの手順を順に挙げよ。
- 業務プロセスの明確化 … 業務の流れとリスクのありかを明らかにする
- 職務分掌 … 権限と責任を分ける
- 実施ルールの設定 … 規程や手順書で、誰が何をどう行うかを決める
- チェック体制の確立 … ルールどおりか確かめる(上長の承認、突合、定期的な点検)
流れが見えないとリスクも見えないので、明確化が最初に来る。
職務分掌とは? なぜ必要か?
1 人の担当者に権限が集中しないよう、業務と権限を分けること
例: 発注する人と検収する人、現金を扱う人と帳簿を付ける人を分ける。
1 人で完結できると、不正をしても誰にも気づかれない。
分けておけば、不正には複数人の共謀が要り、誤りも別の人の目で見つかる。
誤謬と不正の違いは?
| 意図 | 例 | |
|---|---|---|
| 誤謬(ごびゅう) | 意図しない誤り | 入力ミス、計算間違い、転記漏れ |
| 不正 | 意図的な行為 | 横領、帳簿の改ざん、架空取引 |
内部統制はどちらも防ぐが、手当てが違う。
誤謬には二重チェックや自動化、不正には職務分掌や記録の保全が効く。
2. 3 つのラインモデルとデジタルガバナンス
根拠: シラバス 3-12-2
3 つのラインモデル(Three Lines Model)とは?
組織のリスク管理の役割を、3 つの「ライン」に分けて整理した考え方(内部監査人協会(IIA)が 2020 年に、それまでの「3 つの防衛線(Three Lines of Defense)」を改訂して示したもの)
| ライン | 誰か | 役割 |
|---|---|---|
| 第 1 ライン | 業務を行う部門 | 日々の業務の中でリスクを管理する(リスクの持ち主) |
| 第 2 ライン | リスク管理・コンプライアンスなどの部門 | 第 1 ラインを専門的に支援・監視する |
| 第 3 ライン | 内部監査部門 | 第 1・第 2 ラインから独立して、有効かを評価し保証する |
3 つのラインの上に、経営を監督する統治機関(取締役会など)がいる。
3 つのラインモデルで、独立性が求められるのはどのラインか? なぜか?
第 3 ライン(内部監査)
第 1・第 2 ラインは業務やリスク管理の当事者なので、自分の仕事を自分で評価することになる。
内部監査は当事者から独立しているからこそ、客観的な評価ができる。
デジタルガバナンスとは?
デジタル技術の活用やデータの扱いについて、経営者が方針を定め、体制を整え、適切に運用・監督すること
経済産業省は、DX を進める企業に経営者が取り組んでほしい事項をデジタルガバナンス・コードとして示している。
内部統制と同じく、経営者が責任を持ち、仕組みで守るという考え方をデジタルに広げたもの。