会計・財務
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 3「会計・財務」(大分類 3:組織活動/中分類 11:経営・組織論)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
この分野だけは計算が出ます。といっても問われるのは 2 種類です。
- 損益分岐点(いくら売れば赤字を脱するか)
- 利益率・回転率・流動比率などの割り算
計算より先に、費用を変動費と固定費に分けるという考え方を頭に入れてください。
ここが分かれば損益分岐点の式は導けます。
もう 1 つの柱は財務諸表のどれで何を見るかです。
| 財務諸表 | 何が分かるか | 表しているもの |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 財産と借金の状態 | ある一時点の残高 |
| 損益計算書 | もうけの中身 | 一定期間の成績 |
| キャッシュフロー計算書 | 現金の増減 | 一定期間の現金の流れ |
貸借対照表だけが「時点」で、あとの 2 つは「期間」です。
財務指標は、分子と分母に何を置くかで見分けます。ROA と ROE の違いは分母だけです。
1. 売上と利益の関係
根拠: シラバス 3-11-3
利益 = 売上 − 費用が出発点です。どこまでの費用を引いたかで利益の名前が変わります。
売上高・粗利益・営業利益の関係は?
| 何を引いたあとか | |
|---|---|
| 売上高 | 商品やサービスを売って得た金額(何も引かない) |
| 粗利益(売上総利益) | 売上高 − 売上原価(商品の仕入れや製造にかかった原価) |
| 営業利益 | 粗利益 − 販売費及び一般管理費(広告費・事務所の家賃・営業部門の給与など) |
粗利益は商品そのもののもうけ、営業利益は本業のもうけ。
変動費と固定費の違いは?
| 販売量が増えると | 例 | |
|---|---|---|
| 変動費 | 比例して増える | 材料費・仕入れの原価 |
| 固定費 | 変わらない | 家賃・正社員の給与・設備の減価償却費 |
販売量に応じて動くかどうかで分ける。この区別が損益分岐点の計算の前提になる。
損益分岐点とは? 損益分岐点売上高の求め方は?
損益分岐点 = 利益がちょうど 0 になる売上高(それを超えると黒字)
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高。
(1 − 変動費率)は売上 1 円あたり手元に残る割合で、
これで固定費を割れば「固定費をちょうど回収しきる売上」が出る。
固定費 300 万円、変動費率 0.4 のとき、損益分岐点売上高は?
500 万円
300 ÷(1 − 0.4)= 300 ÷ 0.6 = 500(万円)
売上 500 万円のうち変動費が 200 万円、残る 300 万円が固定費とちょうど同じ。
販売価格 1,000 円、1 個あたり変動費 600 円、固定費 200 万円。何個売れば損益分岐点か?
5,000 個
1 個売るごとに手元に残るのは 1,000 − 600 = 400 円。
固定費 200 万円 ÷ 400 円 = 5,000 個。
個数で問われたら「1 個あたりの残り(価格 − 変動費)」で固定費を割る。
2. 決算の仕組み
根拠: シラバス 3-11-3
決算は、一定の期間(事業年度)の成績と、期末の財産の状態を確定させる手続です。
上場企業は、その結果を投資家に開示します。
有価証券報告書と決算短信の違いは?
| 何か | |
|---|---|
| 決算短信 | 証券取引所の規則に基づき、決算の内容を速報としてまとめたもの。決算後いち早く出す |
| 有価証券報告書 | 金融商品取引法に基づき、事業年度ごとに提出する詳細な報告書。財務諸表のほか事業の状況・リスク・役員・人材などを含む |
速さの決算短信、詳しさの有価証券報告書。 有価証券報告書の財務諸表は公認会計士または監査法人の監査を受ける。
3. 財務諸表
根拠: シラバス 3-11-3
貸借対照表は何を表すか。3 つの区分は?
ある一時点の財政状態(何を持ち、そのお金をどこから調達したか)
| 区分 | 意味 |
|---|---|
| 資産 | 持っている財産 |
| 負債 | 返さなければならないもの(他人資本) |
| 純資産 | 返さなくてよいもの(自己資本。株主が出したお金と、ためてきた利益) |
資産 = 負債 + 純資産(左右が必ず一致するのでバランスシートという)。
流動資産・固定資産・繰延資産の違いは?
| 区分 | 何か |
|---|---|
| 流動資産 | 1 年以内に現金化される見込みのもの(現金・預金、売掛金、商品の在庫) |
| 固定資産 | 1 年を超えて長く使うもの(建物・機械、特許権・ソフトウェア) |
| 繰延資産 | すでに支払ったが、効果が将来にも及ぶため資産として繰り延べた費用(創立費・開業費など) |
流動負債と固定負債の違いは?
| 区分 | 何か |
|---|---|
| 流動負債 | 1 年以内に支払うもの(買掛金、短期借入金) |
| 固定負債 | 支払いが 1 年を超えるもの(長期借入金、社債) |
資産と同じく 1 年が境目。
損益計算書とキャッシュフロー計算書の違いは? なぜ両方必要か?
| 何を表すか | |
|---|---|
| 損益計算書 | 一定期間の収益と費用、その差の利益(もうけ) |
| キャッシュフロー計算書 | 一定期間の現金の増減を、営業・投資・財務の 3 つの活動に分けて表す |
利益が出ていても現金が無ければ倒産する(売上が売掛金のままだと利益は立つが現金は入っていない)。
これを黒字倒産といい、損益計算書だけでは見抜けない。
4. 代表的な財務指標
根拠: シラバス 3-11-3
割り算で会社の状態を測ります。 何を見たいか(もうけ・効率・安全)で指標が変わります。
売上高利益率と資本回転率は、それぞれ何を見るか?
| 指標 | 式 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 売上高利益率 | 利益 ÷ 売上高 × 100(%) | 売上のうちどれだけがもうけになったか(収益性) |
| 資本回転率 | 売上高 ÷ 資本(回) | 元手を何回転させて売上を生んだか(効率性) |
回転率は高いほど、少ない資本で多く売っている。
ROA・ROE・ROI の違いは?
| 指標 | 式 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 総資産利益率(ROA) | 利益 ÷ 総資産 × 100 | 会社の全財産でどれだけ稼いだか |
| 自己資本利益率(ROE) | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 株主が出したお金でどれだけ稼いだか(株主が重視) |
| 投資利益率(ROI) | 利益 ÷ 投資額 × 100 | 個々の投資がどれだけの利益を生んだか |
分母が違うだけ。 総資産か、自己資本か、投資額か。
流動比率と自己資本比率は、それぞれ何を見るか?
| 指標 | 式 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%) | 1 年以内の支払いを、1 年以内に入るお金でまかなえるか(短期の安全性) |
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資本(負債+純資産)× 100(%) | 元手のうち返さなくてよいお金の割合(長期の安全性) |
どちらも高いほど安全。 流動比率は 100% を下回ると資金繰りが苦しい。
総資産 1,000 万円、自己資本 400 万円、当期純利益 40 万円のとき、ROA・ROE・自己資本比率は?
| 指標 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| ROA | 40 ÷ 1,000 × 100 | 4% |
| ROE | 40 ÷ 400 × 100 | 10% |
| 自己資本比率 | 400 ÷ 1,000 × 100 | 40% |
同じ利益でも、分母が小さい ROE のほうが大きく出る。
借入れが多い(自己資本比率が低い)会社ほど ROE は高く見えやすい。