データマネジメント
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 1「データマネジメント」(大分類 2:データ・AIの利活用/中分類 8:データマネジメント)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
2027 年度に新しく立った分野です。問われるのはデータを「使える状態」に保つための考え方で、
計算はありません。
いちばん取り違えやすいのは、マネジメントとガバナンスの向きです。
シラバスは国の三権にたとえて並べています。
| 機能 | たとえ | 何をするか |
|---|---|---|
| ガバナンス | 司法・立法 | データの扱いのルールを決め、守られているかを監視する |
| マネジメント | 行政 | 決まったルールに沿って、データを実際に管理・運用する |
| アーキテクチャ | (設計図) | データの全体の構造と流れを設計する |
もう 1 つの柱は DIKW モデルで、データ → 情報 → 知識 → 知恵 と意味が付くほど上に上がる、
という順番を覚えてください。
1. データマネジメントの目的と考え方
根拠: シラバス 2-8-1
データは集めただけでは使えません。誰が・いつ・何のために使っても信頼できる状態に
保ち続ける活動が、データマネジメントです。
データドリブン経営とは?
勘や経験だけに頼らず、データの分析結果にもとづいて意思決定する経営
対になるのが「KKD(勘・経験・度胸)」による判断。
データドリブン経営を支える土台として、データマネジメントが要る
(データが信頼できなければ、データにもとづく判断も信頼できない)。
データマネジメントとは? 何を目的とするか?
データを組織の資産として扱い、必要な人が必要なときに、信頼できる形で使えるように管理し続ける活動
| 目的 | 中身 |
|---|---|
| 使える | 探せる・読める・意味が分かる |
| 信頼できる | 正確で、最新で、矛盾がない |
| 守られている | 権限のない人が見られない・漏れない |
一度整えて終わりではなく、データが生まれてから捨てられるまで続く。
データマネジメントとデータガバナンスの違いは?
| 何をするか | たとえ | |
|---|---|---|
| データガバナンス | データの扱いの方針・ルール・責任を決め、守られているか監視する | 司法・立法 |
| データマネジメント(狭義の管理) | そのルールに沿って実際に管理・運用する | 行政 |
ガバナンスは「決める・見張る」、マネジメントは「実行する」。
データガバナンスは、広い意味のデータマネジメントの中心に置かれる機能。
データライフサイクルとは?
データが生まれてから捨てられるまでの一連の段階
生成 → 保管 → 処理 → 活用 → 廃棄
データマネジメントは、この全段階を通してデータを管理する。
使う場面(活用)だけでなく、捨てる場面(廃棄)まで含むのが要点。
DIKW モデルの 4 段階とは?
| 段階 | 何か | 例 |
|---|---|---|
| Data(データ) | 意味づけ前の事実・数値 | 「32」 |
| Information(情報) | 文脈を付けて意味を持たせたもの | 「今日の最高気温は 32 度」 |
| Knowledge(知識) | 情報を整理し、規則として使えるようにしたもの | 「30 度を超えると飲料が売れる」 |
| Wisdom(知恵) | 知識をもとにどう行動するか判断できること | 「明日は飲料を多めに仕入れる」 |
下から順に意味が付き、上に行くほど行動に近づく。
データを集めるだけでは Data 止まりで、価値は上の段で生まれる。
DIKW モデルで「情報」と「知識」の分かれ目は?
| 何が言えるか | |
|---|---|
| 情報 | その時その場で何が起きたか(今日の売上は 120 万円) |
| 知識 | いつでも使える規則・傾向(雨の日は売上が 2 割落ちる) |
1 回の事実か、繰り返し使える規則かで分ける。
知識を実際の判断・行動に結び付けたものが知恵。
2. データマネジメントの機能
根拠: シラバス 2-8-1
データマネジメントは 1 つの作業ではなく、役割の違う機能の束です。
シラバスはデータマネジメント機能(マネジメント(行政),ガバナンス(司法・立法),アーキテクチャなど)と
名指ししています。
データマネジメント機能のうち、マネジメント・ガバナンス・アーキテクチャはそれぞれ何を担うか?
| 機能 | たとえ | 担うこと |
|---|---|---|
| マネジメント | 行政 | ルールに沿って日々データを管理・運用する |
| ガバナンス | 司法・立法 | ルールを定め(立法)、守られているかを判定する(司法) |
| アーキテクチャ | 都市計画・設計図 | どんなデータを、どこに、どうつないで持つかを設計する |
「ルールを作る側」と「ルールで動く側」を分けるのが三権のたとえの意味。
データマネジメントにおけるアーキテクチャとは?
組織のデータ全体の構造と流れを設計したもの(データの設計図)
- どんなデータがあるか(データモデル)
- どのシステムに置くか
- どこからどこへ流れるか
設計図が無いまま各部署がシステムを作ると、同じデータがばらばらに持たれ、
数字が合わない(サイロ化)という問題が起きる。
データ品質をどんな観点(品質特性・品質次元)で見るかは、出典によって数も名前も違います。
たとえば国際規格 ISO/IEC 25012 はデータ品質特性を 15 個に分け(「一意性」という名前の特性は無い)、
DAMA(データマネジメントの国際団体)の DMBOK などはもっと少ない「品質次元」で説明します。
よく挙がる観点の例は次のとおりです(覚えるのは数ではなく「何を問うか」)。
| 観点の例 | 問うこと |
|---|---|
| 正確性 | 事実と合っているか |
| 完全性 | 欠けていないか |
| 一貫性 | システム間で矛盾していないか |
| 適時性 | 必要なときに最新か |
| 一意性 | 同じものが重複していないか |
データ品質管理とは? なぜ必要か?
データが目的に使えるだけの品質を保っているかを、観点を決めて測り、改善し続けること
品質の悪いデータで分析しても結果は信頼できない
(ゴミを入れればゴミが出る)。
見る観点は「事実と合っているか」「欠けていないか」「矛盾していないか」「新しいか」「重複していないか」など
(観点の数や名前は出典ごとに違う)。
次のデータの問題は、それぞれ品質の何が損なわれているか?
「同じ顧客が 2 件登録されている」「必須の電話番号が空欄」「在庫数が半年前のまま更新されていない」
「同じ顧客が 2 件登録されている」「必須の電話番号が空欄」「在庫数が半年前のまま更新されていない」
| 問題 | 損なわれているもの |
|---|---|
| 同じ顧客が 2 件 | 重複が無いこと(一意性) |
| 必須項目が空欄 | 欠けが無いこと(完全性) |
| 半年前のまま | 新しさ(適時性) |
名前より「何が問題か」で見分ける。観点の名前は出典によって違うことがある。
メタデータ管理とは? メタデータの例は?
メタデータ(データについてのデータ)を整備し、データを探せて意味が分かる状態にしておくこと
| メタデータの例 | 分かること |
|---|---|
| 項目名・定義・単位 | 「売上」が税込か税抜か |
| 作成者・作成日時・更新日時 | いつ誰が作った、どれだけ新しいか |
| 出どころ・加工の履歴 | どこから来て、どう加工されたか |
メタデータが無いと、データがあっても誰も使えない。
データそのものを管理するデータ品質管理とは対象が違う。