デジタル戦略
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 1-2-2「デジタル戦略」(大分類 1:ビジネス変革/中分類 2:経営戦略・デジタル戦略)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
DX(デジタルトランスフォーメーション)を会社としてどう進めるかの話です。シラバスは 2 つに分けています。
| 項目 | 何の話か | 用語 |
|---|---|---|
| デジタル戦略の策定 | 会社の DX を経営としてどう組み立てるか | DX の推進による企業価値向上・DX 戦略・DX ビジョン・デジタルガバナンス・コード・デジタルスキル標準(DSS) |
| デジタル活用促進 | 働く人・社会の側でデジタルを使える状態をどう作るか | BYOD・デジタルリテラシー・デジタルディバイド |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つです。
- DX ビジョンと DX 戦略。 ビジョンは「DX でどうなりたいか」、戦略は「どうやってそこへ行くか」。
- デジタルガバナンス・コードとデジタルスキル標準。 前者は経営者向け(会社として何をすべきか)、後者は人材向け(一人ひとりが何を身につけるか)。どちらも経済産業省が関わる。
- デジタルリテラシーとデジタルディバイド。 リテラシーは「使いこなす力」、ディバイドはその力や環境の格差。
1. デジタル戦略の策定
根拠: シラバス 1-2-2
DX は IT 部門だけの仕事ではなく、経営そのものです。
経営ビジョンと切り離した「デジタル化のためのデジタル化」は、企業価値につながりません。
DX の推進による企業価値向上とは、どういう考え方か?
DX を単なる業務効率化の手段ではなく、新しい価値を生み、
売上・利益や将来の成長期待を高めて企業価値を上げるための経営の取組と位置づける考え方
そのためには、DX を経営ビジョン・経営戦略と一体で進め、
その成果を投資家などの利害関係者に説明することが求められる。
DX ビジョンと DX 戦略の違いは?
| 問い | |
|---|---|
| DX ビジョン | デジタル技術を使って、将来どんな会社・価値を実現したいか(目指す姿) |
| DX 戦略 | そのビジョンを実現するために、何を・どの順で・どんな資源で進めるか(道筋) |
ビジョンが先、戦略が後。 戦略は経営ビジョンと表裏一体で作る。
デジタルガバナンス・コードは経済産業省が定めた、経営者が DX を進めるうえで押さえるべき事項の指針です。
2024 年 9 月に改訂された版(3.0)は、次の 5 つの柱で構成されています。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定 |
| 2 | DX 戦略の策定 |
| 3 | DX 戦略の推進(組織づくり/デジタル人材の育成・確保/IT システム・サイバーセキュリティ) |
| 4 | 成果指標の設定・DX 戦略の見直し |
| 5 | ステークホルダーとの対話 |
デジタルガバナンス・コードとは? 誰に向けたものか?
経済産業省が定めた、企業の経営者が DX を推進するうえで実践すべき事項をまとめた指針
対象は経営者。経営ビジョンと DX 戦略の策定から、推進体制・人材・IT システム・セキュリティ、
成果指標による見直し、ステークホルダーとの対話までを扱う。
この基本的事項に対応した企業を国が認定するDX 認定制度の基準にもなっている。
デジタルスキル標準(DSS)とは? 何で構成されるか?
経済産業省と IPA が定めた、DX の時代に働く人が身につけるべき知識・スキルの標準
| 構成 | 対象 |
|---|---|
| DX リテラシー標準(DSS-L) | すべてのビジネスパーソンが身につけるべき DX の基礎知識・考え方 |
| DX 推進スキル標準(DSS-P) | DX を推進する人材の役割(人材類型)と、必要なスキル |
デジタルガバナンス・コードが「会社(経営者)」向けなら、DSS は「人(働き手)」向け。
デジタルスキル標準は 2026 年 4 月に ver.2.0 が公表され、DX 推進スキル標準の人材類型が見直されています
(類型の数や名前は版で変わるので、ここでは覚える対象にしていません)。
デジタルガバナンス・コードが示す「DX 経営に求められる 3 つの視点」とは?
- 経営ビジョンと DX 戦略の連動(ビジョンと表裏一体で DX 戦略を作る)
- As-is と To-be のギャップの定量把握・見直し(現状と目指す姿の差を数値でつかむ)
- 企業文化への定着(DX 戦略の実行を通じて、変革し続ける文化を育てる)
「つなげる・測る・根付かせる」の 3 つ。
DX を一度きりの計画でなく、継続的な経営の営みとして扱う、という考え方。
2. デジタル活用促進
根拠: シラバス 1-2-2
BYOD とは? 利点と注意点は?
BYOD(Bring Your Own Device)= 従業員が私物のスマートフォンやパソコンを業務に使うこと
| 利点 | 注意点 |
|---|---|
| 端末の購入費が減る。使い慣れた端末で働ける | 紛失・盗難・マルウェア感染による情報漏えい。私的データと業務データが混ざる |
注意点への対策として、端末の一元管理(MDM)や業務領域の分離などのルールを決めて運用する。
会社が認めずに私物端末やサービスを業務に使うこと(シャドー IT)とは区別する。
デジタルリテラシーとデジタルディバイドの違いは?
| 何か | |
|---|---|
| デジタルリテラシー | デジタル技術や情報を理解し、適切に使いこなす能力 |
| デジタルディバイド | デジタル技術を使える人と使えない人の間に生じる格差(情報格差)。年齢・地域・所得などで生じる |
リテラシーは個人の力、ディバイドは社会の格差。
リテラシーを底上げすることが、ディバイドを縮める手段になる。
デジタル活用促進のために、組織は何をするか?
- 全社員のデジタルリテラシーを底上げする教育(DX リテラシー標準などを目安にする)
- BYOD やクラウドなど、働き方に合った利用環境をルールとともに整える
- デジタルを使いにくい人を取り残さないよう、デジタルディバイドに配慮した支援をする
DX は一部の専門家だけでは進まない。全員が使える状態を作ることが前提になる。