デジタルサービスの活用
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 4-13-1「デジタルサービスの活用」(大分類 4:デジタル技術/中分類 13:デジタルサービス・デジタルツール)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
この小分類は用語の数が最多クラス(37 語)です。ただし問われるのは理屈ではなく、
略語と「何を管理する仕組みか」の対応です。4 つの塊に分けて覚えます。
| 塊 | 中身 |
|---|---|
| ビジネスシステム | 企業の業務を支える仕組み(ERP・CRM・SFA・SCM・POS など) |
| 行政・公共のシステム | ガバメントクラウド・e-Gov・マイナポータル・GNSS・GIS |
| エンジニアリングシステム | ものづくりの仕組み(JIT・かんばん・セル生産・FA・MES・CAD) |
| EC システム | ネットでの売買とお金(電子決済・フィンテック・暗号資産・NFT・EDI) |
いちばん取り違えやすいのは、「何を 1 つにまとめるか」が違う管理の仕組みです。
| 略語 | 何をまとめて管理するか |
|---|---|
| ERP | 社内の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)全体 |
| SCM | 調達から販売までの企業をまたぐモノの流れ |
| CRM | 顧客との関係 |
| SFA | 営業活動そのもの |
| HCM | 人材(人的資本) |
ERP は社内、SCM は社外まで——ここが最初の分かれ目です。
1. 業務を支えるシステム
根拠: シラバス 4-13-1
業務ごとに専用のシステムがあります。名前がそのまま役割を表しているので、
どの業務の話かを読み取れれば答えられます。
流通・物流・販売管理・購買管理・顧客情報の各システムは、それぞれ何を扱うか?
| システム | 扱うもの |
|---|---|
| 流通情報システム | 商品が生産者から消費者へ届くまでの商取引の情報(受発注・在庫・売上) |
| 物流情報システム | モノの移動(輸送・保管・配送の追跡) |
| 販売管理システム | 売る側の業務(受注・出荷・請求・入金) |
| 購買管理システム | 買う側の業務(発注・検収・支払) |
| 顧客情報システム | 顧客の属性や取引履歴 |
販売管理と購買管理は、同じ取引を反対側から見たもの。
POS システムとは? 何に役立つか?
POS(Point of Sales:販売時点情報管理)システム
= 商品が売れたその時点で、品目・数量・時刻などを記録する仕組み
売れ筋・死に筋がすぐ分かるので、仕入や品ぞろえに反映できる。
流通情報システムの中核。
ERP・SCM・CRM・SFA の違いは?
| 何をまとめて管理するか | |
|---|---|
| 企業資源計画(ERP) | 社内の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理する |
| サプライチェーンマネジメント(SCM) | 調達・生産・物流・販売を企業の枠を越えて最適化する |
| 顧客関係管理(CRM) | 顧客との関係を長期的に深める |
| 営業支援システム(SFA) | 商談の進捗・訪問履歴など営業活動を支援する |
ERP は社内、SCM は社外まで。
CRM が顧客との関係全体を扱うのに対し、SFA は営業活動そのものを扱う。
バリューチェーンマネジメント(VCM)とサプライチェーンマネジメント(SCM)の違いは?
| 何の流れを見るか | |
|---|---|
| SCM | 原材料から顧客に届くまでのモノの流れ(在庫・物流) |
| VCM | 各活動がどれだけ価値(付加価値)を生んでいるかの連鎖 |
SCM はモノを滞りなく流す、VCM は価値を生む活動を最適化する。
VCM は、購買・製造・販売・サービスといった活動を価値の連鎖(バリューチェーン)として捉え、
全体で付加価値を最大にしようとする。
人的資本管理(HCM)とは?
HCM(Human Capital Management)
= 従業員を「コスト」ではなく「投資して価値を高める資本」と捉え、
スキル・経歴・評価などを一元管理して活用する仕組み
採用・育成・配置・評価を、データにもとづいて行う。
従来の人事管理(給与・勤怠の処理)より、人材の活用に重心がある。
エンタープライズサーチとは?
企業内に散らばる文書・データを、横断して検索できる仕組み
ファイルサーバ・メール・グループウェア・業務システムなど、
置き場所が違う情報を 1 回の検索で探せるようにする。
インターネット全体を探す検索エンジンとは違い、社内の情報が対象。
CDN とは?
CDN(Content Delivery Network)
= 動画や画像などを、利用者に近いサーバから配信する仕組み
同じ内容を各地のサーバに複製しておくことで、
配信元の負荷を下げ、表示を速くする。
アクセスが集中しても配信元が落ちにくい。
2. 行政・公共のシステム
根拠: シラバス 4-13-1
ガバメントクラウド・e-Gov・電子調達システムの違いは?
| 何か | |
|---|---|
| ガバメントクラウド | 国と地方公共団体が共通で使う、政府が整備したクラウド基盤 |
| e-Gov | 国の行政手続や法令検索などをオンラインで行える総合窓口 |
| 電子調達システム | 行政機関の物品・役務の調達(入札・契約)を電子化する仕組み |
基盤(ガバメントクラウド)・窓口(e-Gov)・調達(電子調達)の 3 つ。
マイナポータルとは? マイナンバーとの違いは?
マイナポータル = 自分の情報の確認や、行政手続をオンラインで行える政府の窓口サイト
| 何か | |
|---|---|
| マイナンバー | 個人に付番される 12 桁の番号 |
| マイナポータル | 手続や自分の情報の確認ができるオンライン窓口 |
子育てや引越しなどの手続、行政機関が持つ自分の情報の確認ができる。
J アラートとは?
Jアラート(全国瞬時警報システム)
= 弾道ミサイル情報や緊急地震速報など、対処に時間の余裕がない情報を
国から地方公共団体・住民へ瞬時に伝える仕組み
ミサイル情報は内閣官房、地震・津波・気象の情報は気象庁が出し、消防庁の設備から人工衛星と地上回線で送る。
市町村の防災行政無線などを人手を介さず自動で起動して住民に知らせ、
これとは別に、携帯電話会社を通じて緊急速報メールでも届く。
仕組みが J アラート、携帯への緊急速報はその出口の 1 つ。
GNSS 応用システムと GIS システムの違いは?
| 何をするか | |
|---|---|
| GNSS(全球測位衛星システム)応用システム | 衛星からの電波で現在位置を測り、それを使う(カーナビ・物流の追跡・農機の自動走行) |
| GIS(地理情報システム)システム | 位置に紐づく情報を地図上で管理・分析する(防災マップ・出店計画) |
測るのが GNSS、地図で扱うのが GIS。
GNSS は衛星測位システムの総称で、米国の GPS や日本の準天頂衛星システム(みちびき)もこれに含まれる。
3. エンジニアリングシステム
根拠: シラバス 4-13-1
ものづくりの仕組みは、在庫をどう扱うかとどこを自動化するかで整理できます。
JIT とかんばん方式の関係は?
JIT(ジャストインタイム)
= 必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る(運ぶ)考え方
これを現場で実現する道具がかんばん方式——
後工程が「かんばん」(部品の品名・数量を書いた票)を持って前工程に部品を取りに行き、
前工程はその分だけ作る。
需要に引っ張られて作る(引っ張り型)ので、在庫を極小化できる。
リーン生産方式とセル生産方式の違いは?
| 何か | |
|---|---|
| リーン生産方式 | ムダ(作りすぎ・在庫・手待ち・運搬など)を徹底的に省く生産思想全体。JIT はその中心的な手法 |
| セル生産方式 | 1 人〜少人数が、部品の取付けから完成まで複数の工程を受け持つ生産方式 |
セル生産方式は、ベルトコンベアで分業するライン生産方式と対比される。
段取り替えが容易なので、多品種少量生産に向く。
FA・MES・CAD の違いは?
| 何か | |
|---|---|
| FA(ファクトリーオートメーション) | 工場の生産工程を、ロボットや制御機器で自動化すること |
| MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム) | 工場の現場で、作業指示・進捗・品質などをリアルタイムに管理するシステム |
| CAD(Computer Aided Design) | コンピュータを使って設計を行うこと |
設計が CAD、現場の管理が MES、現場の自動化が FA。
MES は、計画を立てる ERP と、機械を動かす制御機器の間をつなぐ位置にある。
4. EC システム
根拠: シラバス 4-13-1
電子受発注システムには、どんなものがあるか? EDI とは?
電子受発注システム = 商品やサービスの注文と受注をネット上で行う仕組み
| 例 | 何か |
|---|---|
| オンラインモール | 複数の店舗が出店する仮想商店街 |
| オンラインショッピング | ネット上で商品を購入すること |
| 電子入札 | 入札をオンラインで行うこと |
EDI(電子データ交換) は、企業間で注文書・請求書などの取引データを、
決められた形式でコンピュータどうしがやり取りすること。
形式をそろえるので、受け取った側が手入力し直さずに済む。
電子決済システム・インターネットバンキング・キャッシュレス決済の違いは?
| 何か | |
|---|---|
| 電子決済システム | 代金の支払いを電子的に行う仕組みの総称 |
| インターネットバンキング | 残高照会・振込などの銀行取引をオンラインで行う |
| キャッシュレス決済 | 現金を使わない支払い。非接触IC決済(カードやスマートフォンをかざす)や QRコード決済(コードを読み取る)など |
非接触 IC 決済は端末にかざす、QR コード決済はコードを読み取る、が区別の要点。
フィンテックとアカウントアグリゲーションとは?
フィンテック(FinTech)= 金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた新しい金融サービス
(スマートフォン決済、家計簿アプリ、ネット融資など)
その代表例がアカウントアグリゲーション——
複数の金融機関の口座情報を 1 つの画面にまとめて表示するサービス。
銀行・証券・クレジットカードの残高や明細を横断して見られる。
暗号資産(仮想通貨)と NFT の違いは?
| 何か | 代わりがきくか | |
|---|---|---|
| 暗号資産(仮想通貨) | ブロックチェーン上で取引される財産的価値。法定通貨の裏付けがなく、価格が変動する | 1 単位どうしは同じ価値で交換できる |
| NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン) | デジタルデータに唯一性を証明する情報を付けたもの(デジタルアート・ゲームのアイテム) | 1 つ 1 つが別物で、代わりがきかない |
Non-Fungible = 代替できない。 ここが暗号資産との違い。