デザインのアプローチ
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 1「デザインのアプローチ」(大分類 1:ビジネス変革/中分類 6:デザインのアプローチ)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
ここでいう「デザイン」は見た目を整えることではなく、
顧客・利用者の視点で課題を捉え、仮説を立て、試して、評価しながら価値を作る進め方です。
2027 年度の改定で新しく独立した分野です。
5 つの語は、何を中心に置くかで分かれます。
| 語 | 何か | 中心に置くもの |
|---|---|---|
| UX | 利用者が製品・サービスを通じて得る体験全体 | 目指す結果 |
| 人間中心設計 | 利用者を設計の中心に置き、評価と改善を繰り返す設計の進め方(国際規格がある) | 設計の手順 |
| サービスデザイン | 利用者の体験と、それを裏で支える組織・仕組みまでまとめて設計する | 提供の仕組み全体 |
| デザイン思考 | 共感から始めて、試作と検証を繰り返して解を作る考え方 | 課題解決の思考法 |
| ペルソナ | 典型的な利用者を具体的な 1 人の人物として描いたもの | 考える対象 |
UX は目指すもの、残りの 4 つはそこへ近づく方法や道具、と押さえると混ざりません。
1. 考え方
根拠: シラバス 1-6-1
UX とは? 使いやすさ(ユーザビリティ)との違いは?
UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)= 利用者が製品やサービスを知り、使い、使い終えるまでに得る体験の全体
| 範囲 | |
|---|---|
| ユーザビリティ | 操作が分かりやすく、効率よく、迷わないか(使っている最中) |
| UX | 使う前の期待から、使った後の満足・愛着まで含む体験全体 |
使いやすくても楽しくなければ UX は良くならない。UX のほうが広い。
人間中心設計とは? どういう手順で進むか?
利用者(人間)を設計の中心に置き、利用者の状況と要求を理解して設計し、評価して改善を繰り返す進め方
- 利用状況を把握する(誰が・どこで・何のために使うか)
- 利用者の要求を明らかにする
- 解決策を設計する(試作する)
- 利用者の立場で評価する → 要求を満たすまで 1〜3 に戻る
評価して戻る「繰り返し」が本質。 作り手の思い込みで一度に作り切らない。
国際規格(ISO 9241-210、日本では JIS Z 8530)で定められている。
サービスデザインとは? UX デザインとの違いは?
サービスデザイン = 利用者の体験と、それを実現する組織・業務・仕組みを一体として設計する考え方
| 設計する範囲 | |
|---|---|
| UX デザイン | 主に利用者から見える体験(画面・接点) |
| サービスデザイン | 見える体験に加え、裏側の業務・人・システムまで |
窓口の対応がどれだけ良くても、裏の手続が遅ければ体験は悪くなる。だから裏まで設計する。
デザイン思考とは? 代表的な 5 つの段階は?
利用者への共感から出発し、課題を捉え直し、試作と検証を繰り返して解決策を作る考え方
共感 → 問題定義 → 発想 → 試作(プロトタイプ)→ テスト
段階は一方通行ではなく、テストの結果から問題定義に戻ることもある。
いきなり解決策から入らず、「本当の課題は何か」を利用者の側から見直すのが特徴。
デザイン思考が向いているのはどんな課題か?
正解が決まっておらず、利用者自身もニーズをはっきり言葉にできない課題
要件がはっきりしていて手順どおりに作ればよい課題なら、従来の進め方で足りる。
不確実で、作って見せないと分からないときに、試作と検証の繰り返しが効く。
人間中心設計とデザイン思考の違いは?
| 何か | |
|---|---|
| 人間中心設計 | 利用者の要求を満たすまで設計と評価を繰り返す手順。国際規格として定められている |
| デザイン思考 | 共感から入り、課題そのものを捉え直して新しい解を生む考え方 |
どちらも利用者を中心に置き、試作と評価を繰り返す点は同じ。
人間中心設計は決めた要求を確実に満たす側、デザイン思考は何を解くべきかから問い直す側に重心がある。
ペルソナとは? 「ターゲット層」との違いは?
ペルソナ = 典型的な利用者を、名前・年齢・職業・生活・悩みまで持つ具体的な 1 人の人物として描いたもの
| 描き方 | |
|---|---|
| ターゲット層 | 「30 代の会社員」のような属性の集団 |
| ペルソナ | 「平日は残業が多く、昼休みにスマホで買い物をする〇〇さん」のような1 人の人物 |
1 人に絞るのは、関係者の思い描く利用者像をそろえるため。
「この人ならどう感じるか」で判断できるようになる。
UX を良くしようとして、人間中心設計・デザイン思考・ペルソナはどう組み合わさるか?
| 役割 | |
|---|---|
| ペルソナ | 誰のために作るかを具体的な 1 人に定める |
| デザイン思考 | その人に共感し、課題を捉え直して発想する |
| 人間中心設計 | 試作を利用者の立場で評価し、繰り返し改善する |
どれも利用者の側から考え、試して確かめるという点で共通している。
目指す結果が UX。