労働関連・取引関連法規
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス Ver.6.5 の小分類 6「労働関連・取引関連法規」(大分類 1:企業と法務/中分類 2:法務)。
2026-08-05 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
出題の中心は契約類型の見分けです。IT の現場で「誰が誰に指示できるか」が
契約によって変わり、ここを誤ると偽装請負という違法状態になります。
| 契約 | 完成させる義務 | 指揮命令をするのは |
|---|---|---|
| 請負契約 | ある(仕事の完成に責任) | 請負側(発注者は指示できない) |
| (準)委任契約 | ない(善良な管理者としての注意義務) | 受任側 |
| 派遣契約 | ない | 派遣先(=発注者側が指示できる) |
| 雇用契約 | ない | 雇用主 |
「発注者が直接指示してよいのは派遣だけ」——これが一番問われます。
1. 労働基準法
根拠: シラバス 1-2-6
労働条件の最低ラインを定める法律です。これを下回る契約は無効になります。
36 協定とは? 何のために必要か?
時間外労働・休日労働をさせるために、労使で結んで労働基準監督署に届け出る協定
労働基準法第 36 条にもとづくのでこの名で呼ばれる。
法定労働時間(原則 1 日 8 時間・週 40 時間)を超えて働かせるには、
この協定が無ければ違法になる。
フレックスタイム制とは?
一定期間の総労働時間を決めたうえで、始業・終業の時刻を労働者が決められる制度
必ず勤務すべきコアタイムを設けることもできる。
総労働時間そのものは決まっている(働く長さが自由なのではなく、時間帯が自由)。
裁量労働制とは? フレックスタイム制との違いは?
実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間を働いたとみなす制度
| 何が決まっているか | |
|---|---|
| フレックスタイム制 | 総労働時間は実績で数える(時間帯だけ自由) |
| 裁量労働制 | みなし時間で数える(実際に何時間働いたかを問わない) |
裁量労働制は、研究開発など仕事の進め方を本人に委ねる業務に限って使える。
最低賃金とは? 下回る契約はどうなるか?
国が定める、これ以上支払わなければならない賃金の下限(地域別・特定産業別)。
下回る取り決めをしても、その部分は無効となり、
最低賃金額で契約したものとみなされる。労使が合意していても無効。
2. 契約類型
根拠: シラバス 1-2-6
誰が指揮命令するのかで見分けます。
請負契約と(準)委任契約の違いは?
| 何に責任を負うか | |
|---|---|
| 請負契約 | 仕事の完成(完成しなければ報酬を請求できない) |
| (準)委任契約 | 業務の遂行(善良な管理者としての注意義務。完成義務は無い) |
法律行為を委託するのが委任、事務処理など法律行為でないものを委託するのが準委任。
システム開発では、要件定義や運用支援が準委任、
成果物を納める開発が請負になることが多い。
雇用契約と派遣契約の違いは?
| 誰と契約し、誰の指示で働くか | |
|---|---|
| 雇用契約 | 雇い主と契約し、雇い主の指揮命令で働く |
| 派遣契約 | 派遣元と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令で働く |
派遣は雇用する会社と指揮命令する会社が違うのが特徴。
偽装請負とは?
請負契約なのに、発注者が請負側の労働者へ直接指揮命令している状態
請負では発注者は指示できない(できるのは派遣だけ)。
形式が請負でも実態が派遣なら違法になる。
労働者派遣法は派遣事業に認可を要求し、こうした逸脱を規制している。
守秘義務契約とは?
職務上知り得た秘密を外部に漏らさないことを約束する契約
NDA とも呼ばれる。退職後も効力が続くように定めることが多い。
3. 取引関連法規
根拠: シラバス 1-2-6
中小受託取引適正化法とは?
発注者による代金の支払遅延などを防ぎ、中小受託事業者の利益を守る法律
略して取適法。下請法が改称・改正されたもので、
シラバス Ver.6.5 で「下請法」に代わって収録された。
特定商取引法とは?
訪問販売・通信販売など、トラブルが生じやすい取引を規制する法律
広告表示の義務やクーリングオフを定める。
通信販売にはクーリングオフの制度が無い点が問われる
(返品の可否は事業者の表示による)。
独占禁止法とは? 関連する法律は?
公正で自由な競争を妨げる行為を禁じる法律(カルテル・談合・不当廉売など)。
関連して、大規模なプラットフォーム事業者に取引条件の開示などを求めるのが
特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律。
運用は公正取引委員会などが担う。
資金決済法と金融商品取引法の違いは?
| 何を規制するか | |
|---|---|
| 資金決済法 | 支払・送金の手段(前払式支払手段、資金移動業、暗号資産の交換業) |
| 金融商品取引法 | 投資の対象(有価証券の取引、開示義務、インサイダー取引の禁止) |
払うための仕組みか、増やすための商品かで分ける。
PL 法とは?
製造物責任法。製造物の欠陥で生命・身体・財産に損害が生じたとき、
製造業者に賠償責任を負わせる法律
製造業者の過失を証明しなくても、欠陥の存在を示せば足りるのが要点。
なお、単体のソフトウェアは「製造物」に当たらないとされるが、
ソフトウェアを組み込んだ機器は対象になりうる。
景品表示法とは?
実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示や、過大な景品類を規制する法律
「他社より安い」と根拠なく表示するような不当表示が典型。
消費者庁が所管する。