証ひょうと伝票
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第一 5「証ひょうと伝票」ア・イ・ウ。
第 2 問の常連です。とくに一部現金取引の起票(2 通りの書き方)と、
伝票からの集計は、知っていれば取れて、知らないと手が出ません。
0. どういう処理か
ここで扱うのは「仕訳の前に何があるか」です。
| 何か | 役割 | |
|---|---|---|
| 証ひょう | 領収書・請求書・納品書・通帳の写しなど | 取引が実際にあったことの証拠 |
| 伝票 | 入金伝票・出金伝票・振替伝票 | 仕訳帳の代わりに使う1 取引 1 枚の紙 |
証ひょうは会社の外から来る(または外へ出す)紙で、これを見て仕訳を起こします。
伝票は会社の中で作る紙で、仕訳帳を分担して書くための道具です。
なぜ伝票を使うかというと、仕訳帳は 1 冊しかないので、
取引が多い会社では書き手が 1 人に絞られてしまうからです。
伝票なら複数人が同時に起票でき、担当ごとに分けて回せます。
3 級で扱うのは 3 伝票制です。
| 伝票 | 使う取引 | 仕訳の形 |
|---|---|---|
| 入金伝票 | 現金が増える | 借方が必ず現金 |
| 出金伝票 | 現金が減る | 貸方が必ず現金 |
| 振替伝票 | 現金が動かない | 現金以外どうし |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 入金伝票・出金伝票の科目欄に書くのは「相手科目」(現金とは書かない)
- 一部現金取引の起票は 2 通りあり、答案では入金伝票の科目でどちらか判別する
- 仕訳日計表からは合計で転記する(1 件ずつではない)
1. 証ひょう
根拠: 出題区分表 一-5-ア
証ひょうとは何か?
取引があったことを証明する書類
領収書、請求書、納品書、注文書、当座勘定照合表、レシートなど。
仕訳はこれを見て起こす。証ひょうが無い記録は根拠がない。
商品を仕入れたとき、仕入先から受け取る「納品書」と「請求書」は何が違う?
- 納品書 … 品物を納めたときに添える。何をいくつ納めたかの明細
- 請求書 … 代金の支払いを求める。金額と支払期限
納品と請求のタイミングがずれる(月まとめ請求など)ため、別々の紙になる。
銀行から届く「当座勘定照合表」から何が分かる?
銀行側が記録している当座預金の入出金
自社の帳簿と突き合わせて、振込手数料の引き落としや
未記帳の入金などを発見する。証ひょうから仕訳を起こす問題でよく出る。
【証ひょうから起票】次の領収書を受け取った。仕訳は?
領収書
金額 ¥55,000
但し 事務用パソコン代として(うち消費税 ¥5,000)
領収書
金額 ¥55,000
但し 事務用パソコン代として(うち消費税 ¥5,000)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 備品 50,000 | 現金 55,000 |
| 仮払消費税 5,000 |
税抜方式では、消費税を本体価格に含めない。
領収書に内訳が書いてあるので、そのまま分ける。
【証ひょうから起票】従業員が立て替えた旅費の精算書を受け取り、
現金 ¥8,400 を支払った。仕訳は?
現金 ¥8,400 を支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 旅費交通費 8,400 | 現金 8,400 |
出張前に仮払いしていた場合は、仮払金を取り崩す形になる点に注意。
2. 3 伝票制
根拠: 出題区分表 一-5-イ
3 伝票制の 3 つの伝票と、それぞれ使う取引は?
- 入金伝票 … 現金が増える取引(借方が必ず現金)
- 出金伝票 … 現金が減る取引(貸方が必ず現金)
- 振替伝票 … 現金が動かない取引
現金が絡むかどうかで、まずどの伝票かが決まる。
入金伝票の「科目」欄に書くのは何?
相手科目(現金の反対側に来る勘定)
借方が現金なのは決まりきっているので書かない。
売掛金を現金で回収したなら、科目欄は 売掛金。
商品 ¥20,000 を仕入れ、代金を現金で支払った。どの伝票にどう書く?
出金伝票に 仕入 20,000
現金が減る取引なので出金伝票。貸方の現金は書かず、相手科目だけを書く。
入金伝票に 売上 30,000 と書いてあった。仕訳に直すと?
売上 30,000 と書いてあった。仕訳に直すと?| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金 30,000 | 売上 30,000 |
入金伝票 → 借方は現金。科目欄は貸方に来る。
伝票から仕訳を復元する問題ではこの向きを間違えない。
3. 一部現金取引の起票
根拠: 出題区分表 一-5-イ
代金の一部だけを現金で受け取った(払った)取引は、3 伝票制では 1 枚に収まりません。
書き方が 2 通りあり、どちらを使ったかは入金伝票の科目で分かります。
商品 ¥10,000 を売り上げ、¥3,000 を現金で受け取り、残額は掛けとした。
3 伝票制の起票方法は何通りある?
3 伝票制の起票方法は何通りある?
2 通り
- 取引を分解する方法 … 現金部分と掛け部分を別の取引として書く
- いったん全額を掛けとする方法 … 全額を掛け売上にしてから、現金回収を書く
どちらでも最終的な勘定残高は同じになる。
上の取引を取引を分解する方法で起票すると?
- 入金伝票 …
売上 3,000 - 振替伝票 …
売掛金 7,000 / 売上 7,000
現金で売った分と、掛けで売った分を別の取引として扱う。
入金伝票の科目が 売上 になるのが目印。
上の取引をいったん全額を掛けとする方法で起票すると?
- 振替伝票 …
売掛金 10,000 / 売上 10,000 - 入金伝票 …
売掛金 3,000
全額を掛けで売ったことにしてから、そのうち ¥3,000 をすぐ回収した、と考える。
入金伝票の科目が 売掛金 になるのが目印。
答案で、2 つの起票方法のどちらが使われたかをどう見分ける?
入金伝票(出金伝票)の科目を見る
- 科目が
売上→ 取引を分解する方法 - 科目が
売掛金→ いったん全額を掛けとする方法
問題では片方の伝票だけが与えられ、もう 1 枚を答えさせる形が多い。
先に与えられた伝票の科目から、どちらの方法かを決めてから書く。
4. 伝票の集計と管理
根拠: 出題区分表 一-5-ウ
仕訳日計表とは何か?
1 日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表
伝票 1 枚ずつを総勘定元帳へ転記すると手間も間違いも増えるので、
いったん日ごとにまとめる。仕訳週計表なら 1 週間分。
仕訳日計表から総勘定元帳へは、どう転記する?
勘定ごとの合計額を 1 行で転記する(合計転記)
1 件ずつ転記するのではない。
元帳の摘要欄には相手科目ではなく 仕訳日計表 と書く。
仕訳日計表の借方合計と貸方合計はどうなる?
必ず一致する
各伝票が貸借の釣り合った仕訳になっているので、
それを集計した表も釣り合う。一致しなければ集計ミス。
仕訳日計表を作っても、売掛金元帳・買掛金元帳へはどう転記する?
伝票から 1 枚ずつ個別に転記する(個別転記)
補助元帳は「どの得意先にいくら」を持つのが目的なので、
合計してしまうと意味が無くなる。
総勘定元帳へは合計転記、補助元帳へは個別転記。