三分法と返品
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 第二 7「商品の売買」ア・エ。
0. どういう処理か
商品売買は 3 級の中心です。難しいのは、商品を売った時点では
「いくら儲かったか」が分からないという点にあります。
売値は分かりますが、その商品をいくらで仕入れたか(原価)を売るたびに調べるのは大変です。
そこで期中は仕入額と売上額だけを記録しておき、期末にまとめて儲けを計算する。
これが三分法です。
「三分」は、商品売買を次の 3 つの勘定に分けて記録することを指します。
| 勘定 | 区分 | 何を記録するか |
|---|---|---|
| 仕入 | 費用 | 期中に仕入れた額(原価) |
| 売上 | 収益 | 期中に売った額(売価) |
| 繰越商品 | 資産 | 期首と期末に残っている在庫(原価) |
期中は仕入・売上だけが動き、繰越商品は期首の残高のまま動きません。
決算で在庫を数え、売上原価 = 期首商品 + 当期仕入 − 期末商品 として初めて儲けが確定します。
(決算の処理は「3 決算」で扱います。)
もう 1 つ、返品があります。品違いなどで商品を返す・返されるとき、
仕入・売上を取り消す方向の仕訳をします。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 仕入は費用、繰越商品は資産(同じ商品でも勘定が違う)
- 仕入時の引取運賃(付随費用)は仕入に含める
- 返品は元の仕訳の逆(値引きではなく取消し)
1. 三分法の期中処理
根拠: 出題区分表 二-7-ア
期中は「いくらで仕入れたか」「いくらで売ったか」だけを記録します。
原価と売価を突き合わせるのは期末まで先送りします。
三分法で用いる 3 つの勘定と、その区分は?
- 仕入 … 費用
- 売上 … 収益
- 繰越商品 … 資産
商品売買をこの 3 つに分けて記録するので三分法という。
商品 ¥100,000 を仕入れ、代金は掛けとした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 100,000 | 買掛金 100,000 |
三分法では、仕入れた時点で費用(仕入)として計上する。
資産(商品)にはしない。
商品を ¥150,000 で売り上げ、代金は掛けとした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売掛金 150,000 | 売上 150,000 |
売価で売上を計上するだけ。 このとき原価は出てこない(期末にまとめて計算する)。
三分法で、期中に繰越商品勘定は動く?
動かない
期首の在庫額が入ったまま、期末の決算整理まで残る。
期中に在庫が増減しても記帳しない。
商品 ¥100,000 を仕入れ、引取運賃 ¥3,000 を現金で支払った(代金は掛け)。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 103,000 | 買掛金 100,000 |
| 現金 3,000 |
引取運賃は仕入原価に含める。 その商品を使える状態にするまでにかかった費用なので、
発送費のような別の費用にはしない。
商品を売り上げ、当社負担の発送費 ¥2,000 を現金で支払った。発送費の勘定は?
発送費(費用)
売るためにかかった費用なので、売上から差し引かず費用として別に計上する。
仕入時の引取運賃が仕入に含まれるのと対照的。
仕入時の引取運賃は仕入に含めるのに、売上時の発送費は売上から引かないのはなぜ?
仕入は「取得原価」を作る処理、売上は「販売価格」を記録する処理だから
引取運賃は商品を手に入れるためのコストなので原価の一部。
発送費は売ったあとの販売活動のコストなので、独立した費用にする。
2. 返品
根拠: 出題区分表 二-7-エ
品違いや破損で商品を返す場合です。取引そのものが無かったことになるので、
元の仕訳を逆に書いて取り消します。
掛けで仕入れた商品のうち ¥10,000 分を、品違いのため返品した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 10,000 | 仕入 10,000 |
仕入時の仕訳(仕入/買掛金)を逆に書いて取り消す。
掛けで売り上げた商品のうち ¥15,000 分が、品違いのため返品されてきた。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上 15,000 | 売掛金 15,000 |
売上時の仕訳(売掛金/売上)を逆に書く。
返品の処理で、返品専用の勘定(仕入返品・売上返品など)を使う?
使わない。仕入・売上を直接減らす
3 級では返品は元の勘定を取り消す形で処理する。
結果として、仕入勘定・売上勘定には返品控除後の純額が残る。
仕入戻し・売上戻りとは、それぞれ何のこと?
- 仕入戻し … こちらが仕入れた商品を返品すること(仕入が減る)
- 売上戻り … 売った商品が返品されてくること(売上が減る)
「戻し」は自分から出ていく、「戻り」は自分に戻ってくる、と向きで覚える。
返品したとき、その商品の引取運賃(仕入時に仕入へ算入済み)はどうする?
3 級では問われない
返品額そのものを仕入から控除するだけでよい。
付随費用の按分は上級の論点。