みならいノート

簿記 3 級 2027年度版

その他の債権と債務

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

出題区分表 第二 4「その他の債権と債務等」ア・イ・ウ・オ・カ・キ・ク。

0. どういう処理か

商品売買以外で生じる「あとでもらう/あとで払う」の集まりです。
数が多く名前も似ていますが、分ける基準は 3 つしかありません。

  1. 商品売買から生じたか(売掛金・買掛金 ↔ 未収入金・未払金)
  2. お金を貸し借りしたのか、モノの代金なのか(貸付金・借入金 ↔ 未収入金・未払金)
  3. 自分のお金なのか、他人のぶんを一時的に持っているだけか(立替金・預り金)
状況 資産(あとでもらう) 負債(あとで払う)
お金の貸し借り 貸付金 借入金
商品以外の代金 未収入金 未払金
商品代金の前払い・前受け 前払金 前受金
他人のぶんを立て替えた・預かった 立替金 預り金
金額や内容が未確定 仮払金 仮受金

前払金と未収入金の向きを取り違えるのが最頻出の失点です。
前払金は「先に払ったから、あとで商品をもらえる権利」なので資産です。
お金が出ていったのに資産、という点が直感に反します。

引っかけの分かれ目は次の 3 つ。

1. 貸付金と借入金

根拠: 出題区分表 二-4-ア

お金そのものを貸し借りしたのか、モノの代金が残っているのかで分けます。
貸付金・借入金には利息が付くのが普通で、そこが未収入金・未払金との実質的な差です。

取引先へ現金 ¥500,000 を貸し付けた。仕訳は?

借方 貸方
貸付金 500,000 現金 500,000

返してもらう権利=資産の増加。

銀行から ¥1,000,000 を借り入れ、普通預金に入金された。仕訳は?

借方 貸方
普通預金 1,000,000 借入金 1,000,000

返す義務=負債の増加。

貸付金 ¥500,000 が返済され、利息 ¥10,000 とともに普通預金に入金された。仕訳は?

借方 貸方
普通預金 510,000 貸付金 500,000
受取利息 10,000

元本の回収と利息の受取は別の勘定。利息は収益。

借入金 ¥1,000,000 を利息 ¥20,000 とともに小切手を振り出して返済した。仕訳は?

借方 貸方
借入金 1,000,000 当座預金 1,020,000
支払利息 20,000

利息は費用(支払利息)。

2. 未収入金と未払金

根拠: 出題区分表 二-4-イ

商品以外のモノを売買した代金です。貸し借りではないので利息が付きません。

不用になった備品を売却し、代金 ¥50,000 は翌月受け取ることにした。代金部分の勘定は?

未収入金

商品以外を売った代金なので売掛金ではない。お金を貸したわけでもないので貸付金でもない。

事務用机を ¥80,000 で購入し、代金は翌月末払いとした。代金部分の勘定は?

未払金

商品以外の購入代金。買掛金でも借入金でもない。

3. 前払金と前受金

根拠: 出題区分表 二-4-ウ

商品の受け渡し前に代金の一部(手付金・内金)をやりとりする場合です。
お金は動いたが、商品はまだ動いていないので、売上・仕入は計上しません。

商品 ¥200,000 を注文し、手付金として ¥50,000 を現金で支払った。仕訳は?

借方 貸方
前払金 50,000 現金 50,000

まだ商品を受け取っていないので仕入にしない。
先に払ったぶん、あとで商品を受け取れる権利=資産。

上の商品 ¥200,000 を受け取り、手付金 ¥50,000 を差し引いた残額を掛けとした。仕訳は?

借方 貸方
仕入 200,000 前払金 50,000
買掛金 150,000

商品を受け取った時点で仕入を総額で計上し、前払金を取り崩す。

商品の注文を受け、手付金 ¥50,000 を現金で受け取った。仕訳は?

借方 貸方
現金 50,000 前受金 50,000

まだ商品を渡していないので売上にしない。
あとで商品を渡す義務=負債。

前払金が資産、前受金が負債になるのはなぜ?

払った側には「商品を受け取る権利」、受け取った側には「商品を渡す義務」が残るから

お金が出ていったのに資産、入ってきたのに負債という、直感に反する向きになる。
お金ではなく「これから何が起きるか」で判断する。

4. 立替金・預り金

根拠: 出題区分表 二-4-オ

自分のお金ではないものを一時的に動かしたときに使います。
費用でも収益でもありません。ここを費用にしてしまうのがよくある間違いです。

従業員が負担すべき生命保険料 ¥8,000 を、会社が現金で立て替えた。仕訳は?

借方 貸方
従業員立替金 8,000 現金 8,000

会社の費用ではない。 あとで従業員から回収する権利なので資産。

給料 ¥300,000 から所得税の源泉徴収額 ¥15,000 を差し引き、残額を現金で支払った。仕訳は?

借方 貸方
給料 300,000 所得税預り金 15,000
現金 285,000

費用になるのは給料の総額 ¥300,000。
天引きした所得税は従業員に代わって国へ納めるだけなので、預り金(負債)。

預かっていた所得税 ¥15,000 を現金で納付した。仕訳は?

借方 貸方
所得税預り金 15,000 現金 15,000

預かっていた義務を果たすので負債が減る。このとき費用は発生しない。

社会保険料のうち会社負担分を支払ったときの勘定は?

法定福利費(費用)

従業員負担分は預り金(給料から天引き済み)だが、会社負担分は会社自身の費用。
同じ納付でも、どちらのぶんかで勘定が変わる。

5. 仮払金・仮受金

根拠: 出題区分表 二-4-カ

金額や内容がまだ確定していないお金の一時置き場です。
現金過不足と同じく、確定したら必ず振り替えて消します。

従業員の出張にあたり、旅費概算額 ¥50,000 を現金で前渡しした。仕訳は?

借方 貸方
仮払金 50,000 現金 50,000

いくら使うか分からないので、勘定を決められない。一時的に仮払金へ置く。

出張から戻り、旅費 ¥43,000 を使ったと報告を受け、残金 ¥7,000 を現金で受け取った。仕訳は?

借方 貸方
旅費交通費 43,000 仮払金 50,000
現金 7,000

確定した時点で正しい勘定へ振り替え、仮払金を全額消す。

内容不明の入金 ¥30,000 が当座預金にあった。仕訳は?

借方 貸方
当座預金 30,000 仮受金 30,000

何のお金か分からないので売上にも売掛金の回収にもできない。仮受金(負債)に置く。

上の入金 ¥30,000 は、得意先からの売掛金の回収と判明した。仕訳は?

借方 貸方
仮受金 30,000 売掛金 30,000

判明した時点で振り替える。仮受金を決算に残してはいけない。

6. 受取商品券

根拠: 出題区分表 二-4-キ

他社や自治体が発行した商品券を、代金として受け取った場合です。
あとで発行者に換金してもらえる権利なので資産になります。

商品 ¥30,000 を売り上げ、代金は他店発行の商品券で受け取った。仕訳は?

借方 貸方
受取商品券 30,000 売上 30,000

発行者に精算を請求できる権利=資産。現金ではない(そのままでは通貨に換わらない)。

受取商品券 ¥30,000 を発行者に引き渡し、現金を受け取った。仕訳は?

借方 貸方
現金 30,000 受取商品券 30,000

権利が現金に変わる。

7. 差入保証金

根拠: 出題区分表 二-4-ク

店舗などを借りるときに差し入れる敷金・保証金です。
退去時に返ってくるので費用ではなく資産です。区分表では ※ が付いており、
本来は上級の範囲で、3 級では簡易な内容しか出ません。

店舗の賃借にあたり、敷金 ¥300,000 を現金で差し入れた。仕訳は?

借方 貸方
差入保証金 300,000 現金 300,000

退去時に返還されるので費用ではない。 返してもらう権利=資産。

差入保証金と支払家賃の違いは?

差入保証金は返ってくる(資産)、支払家賃は返ってこない(費用)

同じ賃借に伴う支出でも、返還されるかどうかで扱いが分かれる。

このノートの 22 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 電子記録債権とクレジット売掛金
貸倒引当金 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。