CVP分析
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十三「原価・営業量・利益関係の分析」1(損益分岐図表)・2(損益分岐分析の計算方法)。
0. どういう処理か
CVP は Cost(原価)・Volume(営業量)・Profit(利益) の頭文字です。
「いくら売れば黒字になるか」「目標利益を出すには何個売ればいいか」を計算します。
出発点は 2 行だけです。
売上高 − 変動費 = 貢献利益
貢献利益 − 固定費 = 営業利益
損益分岐点は、営業利益がちょうどゼロになる点です。
つまり 貢献利益 = 固定費 になる売上高(または販売量)。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率
損益分岐点販売量 = 固定費 ÷ 1 個あたりの貢献利益
貢献利益率は「売上 1 円のうち、何円が固定費の回収に回るか」です。
貢献利益率 = 貢献利益 ÷ 売上高 = 1 − 変動費率
目標利益を出したいなら、固定費に目標利益を足すだけです。
目標利益達成売上高 = (固定費 + 目標営業利益) ÷ 貢献利益率
公式を何本も覚えないでください。 冒頭の 2 行から全部導けます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 割るのは貢献利益率(売上高利益率ではない)
- 目標「営業利益率」で問われたら、目標利益が売上高の関数になるので式を立て直す
- 安全余裕率の分母は実際(予想)売上高
1. 損益分岐点
根拠: 出題区分表 工-十三-1、工-十三-2
「貢献利益で固定費をちょうど回収した点」——この一文が定義です。
損益分岐点とは?
営業利益がちょうどゼロになる売上高(または販売量)
貢献利益が固定費と同額になった点。
これを超えれば黒字、下回れば赤字。
貢献利益率の式は?
貢献利益 ÷ 売上高(= 1 − 変動費率)
売上 1 円あたり、何円が固定費の回収と利益に回るかを示す。
損益分岐点売上高の式は?
固定費 ÷ 貢献利益率
貢献利益 = 固定費 となる売上高を求めている。
売上高 × 貢献利益率 = 固定費 を変形しただけ。
売上高 ¥1,000,000、変動費 ¥600,000、固定費 ¥300,000。損益分岐点売上高は?
¥750,000
貢献利益 = 400,000、貢献利益率 = 400,000 ÷ 1,000,000 = 0.4
損益分岐点売上高 = 300,000 ÷ 0.4 = ¥750,000
販売単価 @¥500、1 個あたり変動費 @¥300、固定費 ¥300,000。損益分岐点販売量は?
1,500 個
1 個あたり貢献利益 = 500 − 300 = @¥200
300,000 ÷ 200 = 1,500 個。
損益分岐図表では、損益分岐点はどこに現れるか?
売上高線と総原価線の交点
横軸に営業量(売上高または販売量)、縦軸に金額を取る。
交点より右が利益、左が損失の領域。
2. 目標利益と安全余裕率
根拠: 出題区分表 工-十三-2
固定費に目標利益を足すだけ——ただし「利益率」で聞かれたら式を立て直します。
目標営業利益 ¥100,000 を達成する売上高の式は?
(固定費 + 目標営業利益)÷ 貢献利益率
「固定費に加えて目標利益ぶんも貢献利益で稼ぐ」と考える。
貢献利益率 0.4、固定費 ¥300,000、目標営業利益 ¥100,000。必要な売上高は?
¥1,000,000
(300,000 + 100,000) ÷ 0.4 = ¥1,000,000。
「売上高営業利益率 10% を達成する売上高」はどう求める?
目標利益が売上高に比例するので、式を立て直す
売上高を S とすると、
0.4S − 300,000 = 0.1S → 0.3S = 300,000 → S = ¥1,000,000
(固定費 + 目標利益)÷ 貢献利益率 の形では解けない(目標利益が未知だから)。
安全余裕率とは何か。式は?
実際(予想)売上高が、損益分岐点をどれだけ上回っているかの割合
(実際売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 実際売上高
高いほど、売上が落ちても赤字になりにくい。
実際売上高 ¥1,000,000、損益分岐点売上高 ¥750,000。安全余裕率は?
25%
(1,000,000 − 750,000) ÷ 1,000,000 = 0.25。
分母は実際売上高(損益分岐点売上高で割らない)。
損益分岐点比率と安全余裕率の関係は?
損益分岐点比率 + 安全余裕率 = 100%
損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高。
どちらか一方が出れば、もう一方は引き算で出る。
固定費が増えると、損益分岐点はどう動くか?
上がる(より多く売らないと黒字にならない)
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率 なので、分子が増えれば結果も増える。
逆に、変動費率が下がる(=貢献利益率が上がる)と損益分岐点は下がる。