固定費調整
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十五 3「固定費調整」。
0. どういう処理か
直接原価計算の営業利益は、外部報告には使えません。
そこで、全部原価計算の営業利益に直す必要があります。これが固定費調整です。
全部原価計算の営業利益
= 直接原価計算の営業利益 + 期末在庫の固定製造原価 − 期首在庫の固定製造原価
なぜこの式になるのか。
全部原価計算では、固定製造原価が製品原価に含まれるので、
売れ残ったぶんは在庫として資産に残り、当期の費用になりません。
一方、直接原価計算では全額が当期の費用です。
つまり、
- 期末在庫にある固定費 … 全部では費用にならないが、直接では費用になっている → 足す
- 期首在庫にある固定費 … 全部では当期の費用になるが、直接では前期に費用済み → 引く
分かれ目は生産量と販売量の関係だけです。
| 状況 | 在庫 | どちらの利益が大きいか |
|---|---|---|
| 生産量 > 販売量 | 増える | 全部原価計算が大きい |
| 生産量 = 販売量 | 変わらない | 一致する |
| 生産量 < 販売量 | 減る | 直接原価計算が大きい |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 期末を足して、期首を引く(向きを逆にしない)
- 在庫が増減しなければ両者の利益は一致する
- 調整するのは固定製造原価だけ(固定販売費は在庫に入らない)
1. 固定費調整の計算
根拠: 出題区分表 工-十五-3
式を覚えるより、「在庫に固定費が何円眠っているか」を数えるほうが確実です。
固定費調整の式は?
全部原価計算の営業利益 = 直接原価計算の営業利益 + 期末在庫の固定製造原価 − 期首在庫の固定製造原価
期末は足す、期首は引く。
なぜ期末在庫の固定製造原価を足すのか?
全部原価計算ではその分が資産(在庫)に残って費用にならないのに、直接原価計算では費用にしているから
直接原価計算のほうが費用が多い=利益が小さい。その差を足し戻す。
生産量が販売量を上回った期は、どちらの営業利益が大きいか?
全部原価計算
在庫が増える=固定費の一部が資産として繰り越される=当期の費用が少なくなる。
生産量と販売量が等しい期は、両者の営業利益はどうなるか?
一致する
期首在庫と期末在庫の固定費が同額なら、調整額がゼロになる。
(単価が同じであることが前提。)
直接原価計算の営業利益 ¥80,000。期首製品に含まれる固定製造原価 ¥20,000、期末製品に含まれる固定製造原価 ¥35,000。全部原価計算の営業利益は?
¥95,000
80,000 + 35,000 − 20,000 = 95,000。
在庫が増えているので全部原価計算のほうが大きくなる、と方向でも検算できる。
期末製品 200 個、固定製造原価の配賦率が @¥150。期末在庫に含まれる固定製造原価は?
¥30,000
@¥150 × 200 個。
配賦率は「固定製造原価 ÷ 生産量」で求める(問題文で与えられることも多い)。
固定販売費及び一般管理費は固定費調整の対象か?
対象外
在庫(仕掛品・製品)に含まれるのは製造原価だけ。
販売費は全部原価計算でも当期の費用なので、両者で扱いが変わらない。
仕掛品にも固定製造原価が含まれる場合、調整はどうなる?
製品と同じように、期末を足して期首を引く
調整の対象は「在庫として残っている固定製造原価」全部なので、
仕掛品も製品も両方数える。