直接原価計算の損益計算書
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十五 1「直接原価計算の意義と目的」・2「直接原価計算の方法と記帳」。
0. どういう処理か
全部原価計算と直接原価計算では、損益計算書の形が違います。
| 全部原価計算 | 直接原価計算 |
|---|---|
| 売上高 | 売上高 |
| − 売上原価(変動費+固定費) | − 変動売上原価 |
| = 売上総利益 | − 変動販売費 |
| − 販売費及び一般管理費 | = 貢献利益 |
| = 営業利益 | − 固定製造原価 |
| − 固定販売費及び一般管理費 | |
| = 営業利益 |
分ける軸が違います。
- 全部原価計算 … 製造か販売かで分ける
- 直接原価計算 … 変動費か固定費かで分ける
直接原価計算では、固定製造原価が製品原価に入りません。
作った量に関係なく、その期に発生した全額が費用になります。
そのため、期首と期末の在庫が同じでない限り、両者の営業利益は一致しません。
その差を埋めるのが固定費調整です(→ 固定費調整)。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 直接原価計算では、固定製造原価は期末仕掛品・製品に含まれない
- 変動販売費は貢献利益より上(製造原価ではないが変動費だから)
- 直接原価計算の損益計算書は外部報告には使えない(社内用)
1. 直接原価計算の目的
根拠: 出題区分表 工-十五-1
「作れば利益が出る」を消すため、と理解すれば全部つながります。
直接原価計算の目的は?
経営管理(利益計画・意思決定)に役立つ利益を示すこと
全部原価計算では、売れなくても作れば固定費が在庫に残り、
生産量を増やすだけで利益が増えたように見える。
直接原価計算なら利益は販売量だけで決まる。
直接原価計算で製品原価に含めるものは?
変動製造原価だけ(直接材料費・直接労務費・変動製造間接費)
固定製造原価は期間原価として、発生した期に全額を費用にする。
貢献利益とは何か?
売上高 − 変動費(変動売上原価 + 変動販売費)
「固定費の回収に貢献する利益」という意味。
これが固定費を上回れば黒字になる。
直接原価計算の損益計算書は、外部報告に使えるか?
使えない
制度としての財務諸表は全部原価計算で作らなければならない。
直接原価計算は社内の意思決定用。
2. 損益計算書の作成
根拠: 出題区分表 工-十五-2
変動費と固定費に仕分けるのが作業のすべてです。
次の資料から直接原価計算の営業利益を求めよ。売上高 ¥1,000,000、変動売上原価 ¥400,000、変動販売費 ¥100,000、固定製造原価 ¥300,000、固定販売費及び一般管理費 ¥120,000。
貢献利益 ¥500,000、営業利益 ¥80,000
- 貢献利益 = 1,000,000 − 400,000 − 100,000 = ¥500,000
- 営業利益 = 500,000 − 300,000 − 120,000 = ¥80,000
変動販売費は貢献利益より上か下か?
上(貢献利益を出す前に差し引く)
貢献利益は「売上高 − 全部の変動費」。
製造原価かどうかではなく、変動するかどうかで位置が決まる。
固定製造原価は、直接原価計算の損益計算書のどこに出るか?
貢献利益の下(期間原価として一括で差し引く)
製品原価に含めないので、期末在庫があっても繰り越されない。
直接原価計算での期末製品原価には、固定製造原価が含まれるか?
含まれない
変動製造原価だけで評価する。
全部原価計算より期末在庫の金額は小さくなる。
仕掛品・製品勘定は、直接原価計算ではどうなるか?
変動製造原価だけが流れる
固定製造原価は仕掛品を通らず、発生時に直接、当期の費用となる。