標準原価差異の会計処理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十二 4「標準原価差額の会計処理」ア(売上原価加減法)。
0. どういう処理か
分析した差異を、帳簿の上でどう始末するかという話です。
標準原価計算では、製品も売上原価も標準原価で載っています。
ですが実際にかかったのは実際原価です。財務諸表は実際原価で作るのが原則なので、
差異のぶんを最後に調整します。
2 級で使うのは売上原価加減法だけです。
| 差異 | 勘定の残高 | 処理 |
|---|---|---|
| 不利差異 | 借方 | 売上原価に加算 |
| 有利差異 | 貸方 | 売上原価から減算 |
なぜ売上原価に入れるのか。 差異のほとんどは当期に売れた製品から生じており、
少額なら期末在庫に配分するまでもないからです。
(金額が多額なら在庫にも配分しますが、それは 1 級の範囲です。)
タイミングは会計年度末です。原価計算期間は 1 か月ですが、
月ごとに売上原価へ入れてしまうと、月々のブレがそのまま出てしまいます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 不利差異は借方残高。売上原価に足す(利益は減る)
- 処理は会計年度末。月末では差異勘定に繰り越すだけ
- 差異は損益計算書の売上原価の内訳に「原価差異」として表示する
1. 差異の勘定と符号
根拠: 出題区分表 工-十二-4-ア
「借方=不利」を体に入れてください。 全部の差異に共通します。
不利差異は借方・貸方どちらに出るか。利益への影響は?
借方。利益は減る
実際が標準より多くかかった=費用が増えた、ということ。
費用は借方なので借方に出る、と理屈で結びつけると忘れない。
有利差異は借方・貸方どちらに出るか。利益への影響は?
貸方。利益は増える
実際が標準より少なくて済んだ=費用が減った。
価格差異が借方に ¥16,000 出た。仕訳(パーシャル・プラン、月末)は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 価格差異 16,000 | 仕掛品 16,000 |
仕掛品勘定に出ている差額を、原因別の差異勘定へ振り分ける。
月末時点で差異勘定に残った金額は、どうなるか?
次月へ繰り越す(会計年度末までためる)
原価計算期間(1 か月)ごとに売上原価へ入れると、
月々のブレがそのまま損益に出てしまう。
2. 年度末の処理
根拠: 出題区分表 工-十二-4-ア
売上原価加減法。 2 級ではこれだけです。
会計年度末に、借方残高 ¥80,000 の原価差異を処理する仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上原価 80,000 | 原価差異 80,000 |
不利差異なので売上原価に加算する。差異勘定はゼロになる。
会計年度末に、貸方残高 ¥30,000 の原価差異を処理する仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 原価差異 30,000 | 売上原価 30,000 |
有利差異なので売上原価から減算する。
原価差異は損益計算書のどこに表示するか?
売上原価の内訳として、「原価差異」の行で加減する
| 損益計算書 |
|---|
| 売上高 |
| 売上原価: 期首製品棚卸高 |
| 当期製品製造原価 |
| 期末製品棚卸高 |
| 原価差異 ← ここで加減 |
| 売上総利益 |
営業外費用にはしない(原価の一部だから)。
標準原価計算での売上原価は、標準と実際のどちらで載るか?
最終的には実際原価に近い額になる
期中は標準原価で計上し、年度末に原価差異を加減する。
結果として、財務諸表上は実際原価に修正された金額になる。
2 級で扱わない差異の処理方法は?
営業外損益法・補充率法・繰延法(いずれも 1 級)
また、差異が多額のときに期末在庫にも配分する処理も 1 級。
2 級は売上原価加減法だけ。