みならいノート

簿記 2 級 2027年度版

標準原価差異の分析

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

出題区分表 工業簿記 第十二 3「標準原価差額の原因分析」。

0. どういう処理か

原価差異を原因ごとに分けます。分けないと、誰の責任なのか分からないからです。

費目 分ける先 責任の所在
直接材料費 価格差異 / 数量差異 購買部門 / 製造現場
直接労務費 賃率差異 / 時間差異 人事・購買 / 製造現場
製造間接費 予算差異 / 能率差異 / 操業度差異 費用管理 / 作業能率 / 設備の稼働

直接材料費と直接労務費はまったく同じ形です。

価格差異(賃率差異) = (標準単価 − 実際単価)× 実際数量
数量差異(時間差異) = (標準数量 − 実際数量)× 標準単価

掛ける相手が違うことに注意してください。価格の差には実際数量、
数量の差には標準単価。両方に実際を使うと差異が二重に出ます。

そして 標準数量 = 1 個あたりの標準消費量 × 実際生産量。
予定生産量ではありません。 ここが最頻出の間違いです。

符号の見方は 1 つだけ覚えれば足ります。
上の式はどちらも「標準 − 実際」の形なので、プラスなら有利、マイナスなら不利です。

引っかけの分かれ目は次の 3 つ。

1. 直接材料費差異

根拠: 出題区分表 工-十二-3

面積図を書くのが確実です。横軸に数量、縦軸に単価を取ると、
2 つの差異が長方形として見えます。

直接材料費差異の総額はどう求める?

標準直接材料費 − 実際直接材料費

標準直接材料費 = 1 個あたりの標準材料費 × 実際生産量。
これを価格差異と数量差異に分ける。

価格差異の式は?

(標準単価 − 実際単価)× 実際消費量

価格の差に実際消費量を掛ける。
プラスなら有利(安く買えた)、マイナスなら不利。

数量差異の式は?

(標準消費量 − 実際消費量)× 標準単価

数量の差に標準単価を掛ける。
標準消費量 = 1 個あたりの標準消費量 × 実際生産量。

標準単価 @¥200・標準消費量 3kg/個。当月の実際生産量 500 個、実際消費量 1,600kg、実際単価 @¥210。価格差異と数量差異は?

  • 標準消費量 = 3kg × 500 個 = 1,500kg
  • 価格差異 = (200 − 210) × 1,600kg = △¥16,000(不利)
  • 数量差異 = (1,500 − 1,600) × @¥200 = △¥20,000(不利)
  • 合計 △¥36,000(= 標準 300,000 − 実際 336,000)

標準消費量を計算するとき、掛けるのは予定生産量か実際生産量か?

実際生産量

「実際に作った数に対して、本来これだけで済んだはず」を求めている。
予定生産量で計算すると差異がまるごとずれる。最頻出の間違い。

なぜ価格差異には実際数量、数量差異には標準単価を掛けるのか?

両方に実際を使うと、価格と数量の両方がずれた部分を二重に数えてしまうから

その重なりの部分をどちらか一方に寄せる決まりで、
慣行として価格差異のほうに含める(=価格差異に実際数量を掛ける)。

2. 直接労務費差異

根拠: 出題区分表 工-十二-3

材料費と同じ式です。名前が変わるだけなので、新しく覚えることはありません。

賃率差異の式は?

(標準賃率 − 実際賃率)× 実際作業時間

材料費の価格差異とまったく同じ形。

時間差異の式は?

(標準作業時間 − 実際作業時間)× 標準賃率

標準作業時間 = 1 個あたりの標準時間 × 実際生産量。
材料費の数量差異と同じ形。

標準賃率 @¥1,000・標準時間 2 時間/個。実際生産量 500 個、実際作業時間 1,050 時間、実際賃率 @¥980。賃率差異と時間差異は?

  • 標準作業時間 = 2h × 500 個 = 1,000h
  • 賃率差異 = (1,000 − 980) × 1,050h = +¥21,000(有利)
  • 時間差異 = (1,000 − 1,050) × @¥1,000 = △¥50,000(不利)
  • 合計 △¥29,000(= 標準 1,000,000 − 実際 1,029,000)

賃率差異が有利で時間差異が不利、というのはどういう状態か?

安い賃率の作業者を使ったが、そのぶん時間がかかった

差異を分けることで初めて見える。合計だけでは分からない。
これが差異分析の意義そのもの。

3. 製造間接費差異

根拠: 出題区分表 工-十二-3

3 つ(または 4 つ)に分けます。 予算差異・能率差異・操業度差異の 3 分法が基本です。

製造間接費差異の総額はどう求める?

標準配賦額 − 実際発生額

標準配賦額 = 標準配賦率 × 標準操業度(1 個あたりの標準時間 × 実際生産量)。

三分法における 3 つの差異は?

差異 式
予算差異 予算許容額 − 実際発生額
能率差異 標準配賦率 ×(標準操業度 − 実際操業度)
操業度差異 固定費率 ×(実際操業度 − 基準操業度)

予算許容額 = 変動費率 × 実際操業度 + 固定費予算額。

能率差異は何を意味するか?

標準より多く(少なく)時間がかかったことによる、製造間接費のずれ

直接労務費の時間差異と原因は同じ(作業能率)。
時間がかかれば、そのぶん間接費も余計にかかったとみなす。

能率差異を「変動費のみ」で計算する場合と「変動費+固定費」で計算する場合の違いは?

能率差異 操業度差異
変動費のみ(四分法に近い) 変動費率 ×(標準 − 実際操業度) 固定費のずれを全部引き受ける
変動費+固定費(三分法) 標準配賦率 ×(標準 − 実際操業度) 固定費率 ×(実際 − 基準操業度)

問題文の指示に従う。 指示がなければ三分法(標準配賦率で計算)が一般的。

四分法における 4 つの差異は?

予算差異/変動費能率差異/固定費能率差異/操業度差異

能率差異を変動費分と固定費分に分けたもの。
三分法では、この 2 つを合わせて 1 つの能率差異とする。

標準配賦率 @¥800(変動費率 @¥300・固定費率 @¥500)、基準操業度 1,200h/月、固定費予算 ¥600,000。実際生産量 500 個(標準 2h/個)、実際操業度 1,050h、実際発生額 ¥880,000。3 つの差異は?

  • 標準操業度 = 2h × 500 個 = 1,000h
  • 予算許容額 = @¥300 × 1,050h + ¥600,000 = ¥915,000
  • 予算差異 = 915,000 − 880,000 = +¥35,000(有利)
  • 能率差異 = @¥800 ×(1,000 − 1,050)= △¥40,000(不利)
  • 操業度差異 = @¥500 ×(1,050 − 1,200)= △¥75,000(不利)
  • 合計 △¥80,000(= 標準配賦額 800,000 − 実際 880,000)

差異の合計が総差異と一致しないときは、どこを疑うか?

  1. 標準操業度に実際生産量を使ったか(予定生産量になっていないか)
  2. 予算許容額に実際操業度を使ったか(標準操業度になっていないか)
  3. 符号の向き(すべて「標準 − 実際」または「有利がプラス」で揃っているか)

検算は必ずする。合計が合えば個々の式も合っている可能性が高い。

このノートの 17 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 標準原価計算の目的と記帳
標準原価差異の会計処理 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。