原価の固変分解と営業費
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十四「原価予測の方法」1(費目別精査法)・2(高低点法)、
第十七「営業費計算」1(営業費の意義)・2(営業費の分類と記帳)。
0. どういう処理か
CVP 分析も直接原価計算も、原価が変動費と固定費に分かれていることを前提にしています。
ですが現実の原価は、基本料金 + 従量料金のように両方が混ざっています(準変動費)。
これを 2 つに割るのが固変分解で、2 級では 2 つの方法を扱います。
| 方法 | やり方 |
|---|---|
| 費目別精査法 | 費目ごとに「これは変動費」「これは固定費」と人が判断する |
| 高低点法 | 過去のデータのうち最高と最低の 2 点を結んで直線を引く |
高低点法の式は 1 本だけです。
変動費率 = (最高操業度の原価 − 最低操業度の原価) ÷ (最高操業度 − 最低操業度)
固定費 = 最高操業度の原価 − 変動費率 × 最高操業度
選ぶのは「原価が最高/最低の月」ではなく「操業度が最高/最低の月」です。
ここが最頻出の引っかけです。
そしてもう 1 つ、正常操業圏の外にあるデータは使いません。
異常に生産量が少なかった月などは、直線から外れるので除きます。
営業費は販売費と一般管理費のことです。製造原価ではありませんが、
総原価には含まれ、CVP 分析では変動販売費と固定販売費に分けて使います。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 高低点法で選ぶのは操業度の最高・最低(原価ではない)
- 正常操業圏外のデータは除く
- 営業費は製造原価ではないが総原価には含まれる
1. 高低点法
根拠: 出題区分表 工-十四-1、工-十四-2
2 点を通る直線の傾きを出すだけです。中学校の一次関数と同じ計算です。
費目別精査法とは?
費目ごとに、その原価が変動費か固定費かを人が判断して分類する方法
「材料費は変動費、賃借料は固定費」というように過去の経験から決める。
判断が主観的になりやすい。
高低点法の変動費率の式は?
(最高操業度の原価 − 最低操業度の原価)÷(最高操業度 − 最低操業度)
2 点を結んだ直線の傾き。
高低点法で固定費はどう求める?
最高操業度の原価 − 変動費率 × 最高操業度
(最低操業度の点で計算しても同じ値になる。検算に使える。)
高低点法で選ぶ 2 点は、原価が最高・最低の月か?
違う。操業度が最高・最低の月
原価で選ぶと、直線の傾きが操業度との関係を表さなくなる。
最頻出の引っかけ。
最高操業度 1,200 時間で原価 ¥860,000、最低操業度 800 時間で原価 ¥700,000。変動費率と固定費は?
- 変動費率 = (860,000 − 700,000) ÷ (1,200 − 800) = @¥400
- 固定費 = 860,000 − @¥400 × 1,200h = ¥380,000
検算:700,000 − 400 × 800 = 380,000。一致するので正しい。
正常操業圏とは何か。なぜ気にするのか?
通常の生産活動が行われる操業度の範囲
その外側(異常に少ない月・多すぎる月)のデータは直線から外れるので、
高低点法の 2 点として使わない。問題文で範囲が示されたら必ず確認する。
準変動費と準固定費の違いは?
| 動き方 | |
|---|---|
| 準変動費(混合費) | 固定部分 + 操業度に比例する部分(例:電力料) |
| 準固定費 | 一定範囲では固定、超えると段階的に増える(例:監督者の給料) |
高低点法で分解できるのは準変動費。
2. 営業費計算
根拠: 出題区分表 工-十七-1、工-十七-2
製造原価ではないが、総原価には入る。この位置づけを押さえます。
営業費とは何か?
販売費および一般管理費
製品を作るのにかかった原価(製造原価)ではないが、
総原価には含まれる(製造原価 + 営業費 = 総原価)。
営業費はどう分類されるか?
| 分類の軸 | 分け方 |
|---|---|
| 機能別 | 販売費 / 一般管理費 |
| 操業度との関連 | 変動販売費 / 固定販売費および一般管理費 |
CVP 分析で使うのは下の軸。
発送費や販売手数料は変動販売費、事務所の家賃は固定になる。
営業費は製品原価に含まれるか?
含まれない(期間原価)
発生した期の費用として、そのまま損益計算書に載る。
在庫として繰り越されることはない。
直接原価計算の損益計算書で、変動販売費はどこに置くか?
貢献利益を出す前(売上高から差し引く変動費の一部)
製造原価ではないが変動費なので、貢献利益より上に来る。
固定販売費および一般管理費は貢献利益の下。