工場会計の独立
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十八「工場会計の独立※」。
0. どういう処理か
工場が本社と離れているとき、工場にも帳簿を置いて自分で記帳させることがあります。
製造に関する勘定を工場へ移し、それ以外は本社に残すという分け方です。
| どこにあるか | 勘定の例 |
|---|---|
| 工場 | 材料、賃金・給料、製造間接費、仕掛品、製品 |
| 本社 | 現金、当座預金、買掛金、売掛金、売上、売上原価、固定資産 |
そうすると困ることが起きます。
材料を掛けで買ったとき、材料(工場)と買掛金(本社)が別の帳簿にあるのです。
1 つの仕訳が 2 つの帳簿にまたがってしまいます。
そこで、照合勘定を置きます。
| 帳簿 | 使う勘定 |
|---|---|
| 工場の帳簿 | 本社(勘定) |
| 本社の帳簿 | 工場(勘定) |
工場から見て「本社に立て替えてもらった」なら貸方に本社、
本社から見て「工場に払ってやった」なら借方に工場。
この 2 つは必ず貸借逆で同額になり、合算すると消えます。
商業簿記の本店勘定・支店勘定とまったく同じ仕組みです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 工場の帳簿に無い勘定が出てきたら、そこを「本社」に置き換える
- 本社勘定と工場勘定は常に貸借逆で同額(残高が合わなければどこか間違い)
- 製品を本社へ送ったら、工場側では製品が減り、本社側では製品が増える
1. 勘定の分け方と照合勘定
根拠: 出題区分表 工-十八
問題文の「工場に置かれている勘定」一覧が答えの半分です。まずそこを読みます。
工場会計を独立させたとき、工場の帳簿に置かれる勘定は?
製造に関する勘定(材料、賃金・給料、製造間接費、仕掛品、製品など)
現金・当座預金・買掛金・売掛金・売上などは本社に残る。
問題文に一覧が示されるので、必ずそれに従う。
本社勘定と工場勘定は、それぞれどちらの帳簿にあるか?
| 帳簿 | 勘定 |
|---|---|
| 工場の帳簿 | 本社勘定 |
| 本社の帳簿 | 工場勘定 |
「相手の名前の勘定を持つ」と覚える。
本社勘定と工場勘定の残高の関係は?
常に貸借逆で同額(照合勘定)
工場の帳簿で本社勘定が貸方 ¥500,000 なら、
本社の帳簿では工場勘定が借方 ¥500,000。
合わなければどこかで記帳漏れがある。
仕訳を書くときに、工場の帳簿に無い勘定が出てきたらどうする?
その勘定を「本社」に置き換える
工場は本社の帳簿にある勘定を動かせないので、
「本社にやってもらった」という形で受ける。これが解法の中心。
2. 取引ごとの仕訳
根拠: 出題区分表 工-十八
工場側と本社側を必ず 2 本セットで書く練習をしてください。
本社が材料 ¥300,000 を掛けで仕入れ、工場に直接納入された。工場側の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 材料 300,000 | 本社 300,000 |
買掛金は本社の勘定なので工場では使えない。相手勘定を「本社」にする。
上の取引の本社側の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 工場 300,000 | 買掛金 300,000 |
材料は工場の勘定なので本社では使えない。相手勘定を「工場」にする。
工場側と貸借が逆になっていることを確認する。
本社が工場の従業員に賃金 ¥400,000 を当座預金から支払った。工場側の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 賃金・給料 400,000 | 本社 400,000 |
当座預金は本社の勘定。工場は「本社に払ってもらった」と記録する。
工場で材料 ¥250,000 を消費した(直接材料費 ¥200,000、間接材料費 ¥50,000)。工場側の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 200,000 | 材料 250,000 |
| 製造間接費 50,000 |
どちらも工場の勘定なので、本社勘定は出てこない。
本社側は仕訳なし。
工場で完成した製品 ¥800,000 を本社へ送った。工場側と本社側の仕訳は?
工場側
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 本社 800,000 | 製品 800,000 |
本社側
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 製品 800,000 | 工場 800,000 |
製品勘定が工場にも本社にも置かれている場合の形。
(製品を工場だけに置く設定なら、販売時に振り替える。)
本社が製品を ¥1,000,000 で掛け販売した(原価 ¥800,000、製品は本社にある)。本社側の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売掛金 1,000,000 | 売上 1,000,000 |
| 売上原価 800,000 | 製品 800,000 |
売上・売掛金・売上原価はすべて本社の勘定なので、工場側は仕訳なし。
本社工場会計と、商業簿記の本支店会計の関係は?
照合勘定の仕組みは同じ(本店勘定・支店勘定 ↔ 本社勘定・工場勘定)
違うのは、工場の帳簿には製造に関する勘定しか無いこと。
本支店会計では支店も売上や売掛金を持つ。