部門別計算の目的と手続
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第九「部門費計算」1〜4。
0. どういう処理か
部門別計算は、製造間接費を部門という中間地点を通してから製品に配る手続です。
部門は 2 種類あります。
| 部門 | 何をするところか | 例 |
|---|---|---|
| 製造部門 | 製品に直接手を加える | 切削部門、組立部門、仕上部門 |
| 補助部門 | 製造部門を助ける | 動力部門、修繕部門、工場事務部門 |
補助部門は製品を作りません。 だから補助部門に集まった原価は、
製品に配る前に製造部門へ渡す必要があります。
集めるときの分け方も 2 種類です。
| 意味 | 集め方 | |
|---|---|---|
| 部門個別費 | どの部門で発生したか分かる | その部門に賦課する |
| 部門共通費 | 複数部門にまたがる | 適切な基準で配賦する |
賦課(直課)と配賦の違いは、直接費と間接費の関係とまったく同じです。
分かっているものはそのまま置く、分からないものは基準で割る。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 補助部門費は製造部門を経由してから製品へ。直接製品に配らない
- 部門共通費の配賦基準は費目ごとに違う(建物減価償却費なら占有面積、電力料なら電力消費量)
- 部門別計算をしても、直接費は相変わらず仕掛品へ直行する(部門を通らない)
1. 部門別計算の目的
根拠: 出題区分表 工-九-1、工-九-2
なぜ手間をかけて部門を挟むのかが分かっていれば、
どの部門にどの基準を使うかも自然に決まります。
部門別計算の目的は?
- 製品原価をより正確に計算する(部門ごとに適した配賦基準を使えるため)
- 原価管理に役立てる(どの部門で原価が発生したかが分かるため)
工場全体で 1 つの配賦率を使うと、作業の性質が違う部門の差が消えてしまう。
製造部門と補助部門の違いは?
| 役割 | |
|---|---|
| 製造部門 | 製品の製造に直接従事する(切削・組立・仕上など) |
| 補助部門 | 製造部門に用役を提供する(動力・修繕・工場事務など) |
補助部門は製品を作らないので、その原価は製造部門を経由して製品に届く。
原価部門を設定するときの考え方は?
作業の性質・責任の所在・原価の発生の仕方が同質なまとまりで区切る
同じ部門にまったく性質の違う作業を入れると、
部門別に分けた意味(=適した配賦基準を選ぶこと)が失われる。
2. 部門個別費と部門共通費
根拠: 出題区分表 工-九-3、工-九-4
第 1 次集計の中身です。製造間接費を全部門に降ろします。
部門個別費と部門共通費の違いは?
| 意味 | 処理 | |
|---|---|---|
| 部門個別費 | どの部門で発生したか特定できる | その部門に賦課する |
| 部門共通費 | 複数部門に共通して発生する | 基準で配賦する |
直接費・間接費の関係と同じ構図。特定できるかどうかで分かれる。
部門共通費の配賦基準の例を挙げよ。
| 費目 | 配賦基準 |
|---|---|
| 建物減価償却費・建物保険料 | 占有面積 |
| 電力料 | 電力消費量(またはキロワット時) |
| 福利厚生費 | 従業員数 |
| 機械保険料 | 機械帳簿価額 |
発生と因果関係が強いものを選ぶのは、製品への配賦と同じ考え方。
第 1 次集計が終わった時点で、原価は何部門に集まっているか?
製造部門と補助部門の全部
補助部門にも原価が集まっているので、まだ製品に配れない。
これを製造部門へ移すのが第 2 次集計。
部門費振替のための集計表を何というか?
部門費配分表(第 1 次集計)と部門費振替表(第 2 次集計)
第 4 問ではこの表を埋めさせる出題が多い。
縦に費目、横に部門を並べ、右へ集計していく形。
部門別計算をしている場合、直接材料費はどう流れる?
部門を通らず、仕掛品へ直行する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 ××× | 材料 ××× |
部門別計算の対象は製造間接費だけ。直接費は最初から製品が分かっているので
中間地点を通す必要がない。部門別計算になると全部が部門を通ると思わない。