みならいノート

簿記 2 級 2027年度版

製造間接費の配賦

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

出題区分表 工業簿記 第八「製造間接費計算」1〜6。

0. どういう処理か

製造間接費は、どの製品にいくらかかったか分からない原価です。
分からないものを製品に割り当てるのが配賦で、そのために基準を決めます。

配賦率 = 製造間接費 ÷ 配賦基準の総量
配賦額 = 配賦率 × その製品の配賦基準

配賦基準には直接作業時間・機械運転時間・直接労務費などを使います。
「間接費の発生と関係が深いもの」を選びます(機械が動くほど電気代がかかるなら機械運転時間)。

ここで実際発生額を使うと、月末まで配賦できません。
そこで年度のはじめに予定配賦率を決めておき、月中はそれで配賦します。

予定配賦率 = 製造間接費予算額(年間) ÷ 基準操業度(年間)

予定で配賦すると、当然実際発生額とずれます。このずれが製造間接費配賦差異で、
2 級ではこれを予算差異と操業度差異の 2 つに分解させます。

差異 何を意味するか
予算差異 使いすぎ・節約(金額の管理の良し悪し)
操業度差異 設備を予定どおり使えたか(固定費の配賦もれ)

引っかけの分かれ目は次の 3 つ。

1. 製造間接費の分類と集計

根拠: 出題区分表 工-八-1、工-八-2

まず「何が製造間接費に入るか」です。費目別計算の 6 分類のうち、間接の 3 つが集まります。

製造間接費に集まるものを挙げよ。

間接材料費・間接労務費・間接経費

費目別計算で「間接」に分類されたものが、費目を問わずここに集まる。
直接費は仕掛品へ直行するので入らない。

製造間接費の管理に使う帳簿は?

製造間接費元帳(部門費集計表を含む)

費目ごと・部門ごとの内訳を持つ。
総勘定元帳の製造間接費勘定は合計しか持たないので、内訳は補助簿で追う。

配賦基準を選ぶときの考え方は?

製造間接費の発生と、因果関係が強いものを選ぶ

基準 向いている場面
直接作業時間 人手中心の工場
機械運転時間 機械中心の工場
直接労務費 作業時間の記録が取りにくい場合

恣意的に選ぶと製品原価が歪む。

2. 実際配賦と予定配賦

根拠: 出題区分表 工-八-3、工-八-4

実際配賦の欠点を理解すると、予定配賦を使う理由が腑に落ちます。
理由が分かっていれば、差異の意味も自然に分かります。

実際配賦の欠点を 2 つ挙げよ。

  1. 月末に実際発生額が確定するまで配賦できない(製品原価がいつまでも出せない)
  2. 月ごとの生産量の変動で、製品原価が上下してしまう(固定費は総額が一定なので、
    作った数が少ない月ほど 1 個あたりが高くなる)

どちらも予定配賦で解決する。

予定配賦率はどう求める?

年間の製造間接費予算額 ÷ 年間の基準操業度

年度のはじめに決め、1 年間これを使う。
月ごとに計算し直さない(それでは実際配賦と同じことになる)。

年間予算 ¥6,000,000、基準操業度 12,000 時間。当月の直接作業時間が 900 時間のとき、予定配賦額は?

¥450,000

予定配賦率 = ¥6,000,000 ÷ 12,000h = @¥500。
@¥500 × 900h = ¥450,000。

予定配賦したときの仕訳は?

借方 貸方
仕掛品 450,000 製造間接費 450,000

製造間接費の貸方に予定配賦額、借方に実際発生額が入る。
この差額が配賦差異になる。

基準操業度とは何か。どんな種類があるか?

予定配賦率を計算するための、1 年間に見込む操業度

種類 意味
実際的生産能力 最大能力から不可避の休止を差し引いた水準
期待実際操業度 次期に実際に達成が見込まれる水準
平均操業度 数年間の平均的な水準

どれを採るかで操業度差異の大きさが変わる。

3. 配賦差異の分析

根拠: 出題区分表 工-八-5

第 4 問で必ず問われるところです。1 つの差異を 2 つに割ります。

製造間接費配賦差異はどう求める?

予定配賦額 − 実際発生額

結果 呼び方 勘定の位置
プラス(予定 > 実際) 有利差異 貸方
マイナス(予定 < 実際) 不利差異 借方

予定より実際が少なく済んだなら有利。

予定配賦額 ¥450,000、実際発生額 ¥470,000。配賦差異の仕訳は?

借方 貸方
製造間接費配賦差異 20,000 製造間接費 20,000

¥450,000 − ¥470,000 = △¥20,000(不利差異・借方)。

公式法変動予算における「予算許容額」の式は?

変動費率 × 実際操業度 + 固定費予算額(月額)

「その操業度なら、これだけは使ってよかったはず」という金額。
実際操業度で計算するのがポイント(基準操業度ではない)。

予算差異はどう求める?何を意味するか?

予算許容額 − 実際発生額

意味は金額の使い方の良し悪し(使いすぎ/節約)。
マイナスなら使いすぎ=不利差異。

操業度差異はどう求める?何を意味するか?

予定配賦額 − 予算許容額、または 固定費率 × (実際操業度 − 基準操業度)

意味は設備を予定どおり使えたかどうか。
予定より操業度が低ければ固定費を配賦しきれず、不利差異になる。

操業度差異が変動費からは生じないのはなぜか?

変動費は操業度に比例して配賦されるので、操業度が変わってもずれないから

固定費は総額が決まっているのに、配賦は操業度に比例して行う。
作る量が減れば配賦額だけが減り、固定費は残る——この取り残しが操業度差異。

月間予算:変動費率 @¥300、固定費 ¥200,000、基準操業度 1,000 時間。実際操業度 900 時間、実際発生額 ¥480,000。予算差異と操業度差異は?

  • 予定配賦率 = @¥300 + ¥200,000 ÷ 1,000h = @¥500
  • 予定配賦額 = @¥500 × 900h = ¥450,000
  • 予算許容額 = @¥300 × 900h + ¥200,000 = ¥470,000

予算差異 = 470,000 − 480,000 = △¥10,000(不利)
操業度差異 = 450,000 − 470,000 = △¥20,000(不利)
合計 △¥30,000 が配賦差異。

固定予算と変動予算の違いは?

予算許容額
固定予算 操業度に関係なく一定(=予算額そのもの)
変動予算 操業度に応じて変わる(変動費率 × 実際操業度 + 固定費)

固定予算では、操業度が動いたぶんがすべて操業度差異に出てしまう。
2 級では公式法変動予算が中心。

4. 配賦差額の処理

根拠: 出題区分表 工-八-6-ア

差異は勘定に残したままにできません。年度末に売上原価へ入れます。

会計年度末に残った製造間接費配賦差異は、どう処理する?

売上原価に加減する(売上原価加減法)

差異 処理
不利差異(借方残高) 売上原価に加算
有利差異(貸方残高) 売上原価から減算

2 級で使うのはこの方法だけ(営業外損益法・補充率法・繰延法は 1 級)。

不利差異を売上原価に加算する仕訳は?

借方 貸方
売上原価 ××× 製造間接費配賦差異 ×××

予定で少なく計算していた原価を、実際まで引き上げる調整。

月末時点で残った配賦差異は、貸借対照表にどう載るか?

会計年度の途中なら、次月へ繰り越す(年度末にまとめて売上原価へ)

原価計算期間は 1 か月だが、差異の最終処理は会計年度末に行う。
月ごとに売上原価へ入れてしまわない。

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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