経費
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第七「経費計算」1〜3。
0. どういう処理か
経費は材料費でも労務費でもないもの全部です。定義が消去法なので中身は雑多ですが、
消費額の求め方で 4 つの型に分かれます。ここさえ押さえれば計算は機械的です。
| 型 | 消費額の求め方 | 例 |
|---|---|---|
| 支払経費 | その月に支払った額(前払・未払を調整) | 修繕費、外注加工賃、旅費交通費 |
| 測定経費 | メーターで測った消費量 × 単価 | 電力料、ガス代、水道料 |
| 月割経費 | 年額 ÷ 12 か月 | 減価償却費、保険料、賃借料 |
| 発生経費 | 実際に発生した額 | 棚卸減耗費、仕損費 |
間違えやすいのは電力料です。 請求書が来た額(支払額)ではなく、
当月に測定した使用量で計算します。請求は締日基準なので月とずれるからです。
そして経費のうち直接経費になるのは外注加工賃と特許権使用料くらいで、
残りはほぼ間接経費です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 電力料は測定経費(支払額ではなく測定量で計算する)
- 減価償却費は月割経費(年額の 1/12)
- 直接経費はほぼ外注加工賃だけ。それ以外は間接経費
1. 経費の分類
根拠: 出題区分表 工-七-1、工-七-2
まず「経費とは何でないか」を確認します。材料費・労務費に入るものを経費に入れない、
という消去法の順番が大事です。
経費とは何か?
材料費・労務費以外の原価要素すべて
物品の消費でも労働力の消費でもないものが経費。
定義が消去法なので、先に材料費・労務費を確定させてから残りを経費にする。
直接経費になるものを挙げよ。
外注加工賃・特許権使用料
特定の製品のためにかかったと分かるので直接費。
経費のほとんどは間接経費なので、この 2 つは例外として覚える。
次のうち経費はどれか。①工場長の給料 ②工場建物の減価償却費 ③工場消耗品費
②工場建物の減価償却費
①は労務費(労働力の消費)、③は材料費(物品の消費)。
②だけが物品でも労働力でもない。
経費の把握にはどんな証ひょうを使うか?
請求書・領収書・メーターの検針票・固定資産台帳など
型によって拠りどころが違う。測定経費なら検針票、
月割経費なら固定資産台帳や契約書(年額が書いてある)を見る。
2. 経費の計算(4 つの型)
根拠: 出題区分表 工-七-3
どの型かを決めてから計算する、という順番を守ってください。
型さえ決まれば式は 1 つしかありません。
支払経費の消費額はどう求める?
当月支払額 − 前月未払額 + 当月未払額(前払があれば逆に調整)
労務費の消費額と同じ形。「払った月」でなく「使った月」に直す。
当月の電力料の請求額は ¥85,000 だが、当月の測定使用量による金額は ¥92,000 だった。当月の消費額は?
¥92,000
電力料は測定経費。請求は締日基準で月とずれるので、
当月に実際に使ったぶん(測定量)を消費額とする。請求額に引きずられない。
機械の年間減価償却費が ¥1,200,000。当月の消費額は?
¥100,000
減価償却費は月割経費。¥1,200,000 ÷ 12 か月 = ¥100,000。
当月に支払いが無くても消費額は発生する。
発生経費とは何か。例を挙げよ。
支払いを伴わず、実際に発生した事実だけで計上する経費
例:棚卸減耗費・仕損費。
材料が減った、失敗品が出た、という事実そのものが原価になる。
経費を消費したときの仕訳は?(間接経費 ¥150,000)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 製造間接費 150,000 | 経費 150,000 |
(経費勘定を設けず、減価償却費・電力料などから直接振り替えることもある。)
直接経費なら借方は仕掛品になる。
外注加工賃 ¥80,000(特定の製品のための加工)を当座預金で支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 80,000 | 当座預金 80,000 |
直接経費なので仕掛品へ直行する。製造間接費を経由しない。