部門別予定配賦率
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第九 5「補助部門費の製造部門への配賦」オ(実際配賦と予定配賦)。
0. どういう処理か
部門別計算をしても、予定配賦を使う理由は変わりません——月末を待たずに計算したい、
操業度の変動を製品原価に持ち込みたくない。
違うのは、配賦率を部門ごとに持つことです。
部門別予定配賦率 = その部門の製造間接費予算額 ÷ その部門の基準操業度
これが部門別計算のいちばんの狙いです。切削部門は機械運転時間、組立部門は直接作業時間、
と部門ごとに違う配賦基準を使えるようになります。
そして差異も部門ごとに出ます。
| 出るもの | 意味 |
|---|---|
| 切削部門費配賦差異 | 切削部門での予定と実際のずれ |
| 組立部門費配賦差異 | 組立部門での予定と実際のずれ |
工場全体で 1 つの差異を出すより、どの部門に問題があるかが分かります。
これが「原価管理に役立てる」という部門別計算の目的そのものです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 部門ごとに配賦基準が違ってよい(統一しなくてよい)
- 予定配賦率の分子は補助部門費を配賦した後の製造部門費予算額
- 差異は部門ごとに出るが、年度末の処理(売上原価加減法)は同じ
1. 部門別予定配賦率の計算
根拠: 出題区分表 工-九-5-オ
「補助部門費を配り終わった後の製造部門費」が分子です。
ここを配賦前の金額でやると全部ずれます。
部門別予定配賦率はどう求める?
その製造部門の製造間接費予算額(補助部門費配賦後) ÷ その部門の基準操業度
分子は補助部門費を配賦した後の金額。
配賦前の金額を使うと、補助部門費が製品に届かない。
切削部門の予算額 ¥4,800,000、基準操業度 8,000 機械運転時間。組立部門の予算額 ¥3,600,000、基準操業度 12,000 直接作業時間。それぞれの予定配賦率は?
- 切削部門 = ¥4,800,000 ÷ 8,000h = @¥600(機械運転時間あたり)
- 組立部門 = ¥3,600,000 ÷ 12,000h = @¥300(直接作業時間あたり)
基準が違ってよいのが部門別計算の利点。単位を書き添えておくと取り違えない。
製造指図書 #101 が、切削部門で 20 機械運転時間、組立部門で 35 直接作業時間を要した。上の配賦率での配賦額は?
¥16,500
- 切削 = @¥600 × 20h = ¥12,000
- 組立 = @¥300 × 35h = ¥10,500
部門ごとに計算して足す。片方の配賦率で全部を計算しない。
部門別に予定配賦したときの仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 ××× | 切削部門費 ××× |
| 組立部門費 ××× |
製造間接費勘定でなく、部門費の勘定から仕掛品へ振り替える。
2. 部門費配賦差異
根拠: 出題区分表 工-九-5-オ
差異の求め方は工場全体のときと同じです。部門ごとに 1 本ずつ出るだけです。
部門費配賦差異はどう求める?
その部門の予定配賦額 − その部門の実際発生額(補助部門費配賦後の実際額)
| 結果 | 呼び方 | 勘定の位置 |
|---|---|---|
| プラス | 有利差異 | 貸方 |
| マイナス | 不利差異 | 借方 |
工場全体のときと同じ形。出る本数が部門の数だけになる。
切削部門の予定配賦額 ¥390,000、実際発生額(補助部門費配賦後)¥405,000。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 切削部門費配賦差異 15,000 | 切削部門費 15,000 |
¥390,000 − ¥405,000 = △¥15,000(不利差異)。
部門ごとに差異を出す利点は?
どの部門で予定とずれたかが分かる(原価管理に直結する)
工場全体で 1 つにまとめると、切削部門の節約と組立部門の浪費が相殺されて見えなくなる。
部門別に出した配賦差異は、年度末にどう処理する?
部門を問わず、まとめて売上原価に加減する(売上原価加減法)
差異を出す粒度は細かくてよいが、最終的な処理は工場全体のときと同じ。
実際配賦と予定配賦で、製品原価の計算のタイミングはどう違う?
| いつ製品原価が出せるか | |
|---|---|
| 実際配賦 | 月末(実際発生額が確定してから) |
| 予定配賦 | そのつど(指図書が完成した時点で) |
個別原価計算では、月中に完成した製品の原価をすぐ計算したいので、
予定配賦のほうが実務に合う。