個別原価計算の流れと原価計算表
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十「個別原価計算」1〜3。
0. どういう処理か
製造指図書 1 枚 = 製品 1 ロット = 原価計算表 1 行です。
客から注文が来ると製造指図書(#101、#102 …)を発行し、
その番号ごとに直接材料費・直接労務費・製造間接費を積み上げます。
積み上げた合計が、その指図書の製造原価です。
原価計算表はこんな形になります。
| #101 | #102 | #103 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 月初仕掛品原価 | 80,000 | — | — | 80,000 |
| 直接材料費 | 50,000 | 120,000 | 90,000 | 260,000 |
| 直接労務費 | 40,000 | 96,000 | 60,000 | 196,000 |
| 製造間接費 | 30,000 | 72,000 | 45,000 | 147,000 |
| 合計 | 200,000 | 288,000 | 195,000 | 683,000 |
| 備考 | 完成・引渡済 | 完成・未引渡 | 仕掛中 |
備考欄がすべてを決めます。
| 備考 | 月末にいる勘定 |
|---|---|
| 仕掛中 | 仕掛品 |
| 完成・未引渡 | 製品 |
| 完成・引渡済 | 売上原価 |
上の表なら、月末仕掛品 ¥195,000、月末製品 ¥288,000、売上原価 ¥200,000 です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 「完成」と「引渡」は別。完成しただけでは売上原価にならない
- 月初仕掛品原価は、その指図書の前月までの積み上げ(当月分に足す)
- 当月完成品原価 = 完成した指図書の合計(引渡の有無は関係ない)
1. 指図書ごとの集計
根拠: 出題区分表 工-十-1、工-十-2
直接費は賦課、間接費は配賦。この 2 語の使い分けを最初に固めます。
個別原価計算はどんな生産形態に使うか?
受注生産(客の注文ごとに異なるものを作る)
造船・建設・特注機械・印刷など。
同じものを作り続ける大量見込生産には総合原価計算を使う。
製造指図書とは何か?
特定の製品(ロット)を製造するよう指示する伝票
これに番号が振られ、原価集計の単位になる。
指図書 1 枚 = 原価計算表 1 行。
直接材料費 ¥50,000 を製造指図書 #101 に賦課した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 50,000 | 材料 50,000 |
どの指図書のものか分かっているので配賦計算は要らない(賦課=直課)。
勘定上は仕掛品にまとめて入り、内訳は原価計算表で追う。
製造間接費を予定配賦率 @¥300、#101 の直接作業時間 100 時間で配賦した。#101 への配賦額は?
¥30,000
@¥300 × 100h。指図書ごとの作業時間を使う。
仕訳は 仕掛品 / 製造間接費 で、全指図書分をまとめて振り替える。
2. 完成・引渡と勘定への振り分け
根拠: 出題区分表 工-十-3
ここが第 4 問の得点源です。原価計算表の備考欄から 3 つの勘定を埋めます。
月末に「仕掛中」の指図書の原価は、どの勘定に残るか?
仕掛品
まだ完成していないので製品にはできない。
月末仕掛品原価 = 仕掛中の指図書の合計。
月末に「完成・未引渡」の指図書の原価は、どの勘定に残るか?
製品
完成したので仕掛品からは出るが、売っていないので費用にはならない(資産のまま)。
「完成 = 売上原価」ではない。
月末に「完成・引渡済」の指図書の原価は、どの勘定にあるか?
売上原価
引き渡して初めて費用になる。
当月完成品原価には、当月に引き渡していない指図書も含まれるか?
含まれる
完成品原価は「仕掛品 → 製品」への振替額なので、引渡の有無は関係ない。
完成した指図書の合計がそのまま当月完成品原価。
月初仕掛品原価は原価計算表のどこに入るか?
その指図書の行の一番上(前月から繰り越してきた積み上げ額)
前月に着手して当月に完成した指図書は、
月初仕掛品原価 + 当月発生額 = 完成品原価となる。足し忘れが多い。
仕掛品勘定の貸方に出るものは何か?
当月完成品原価と月末仕掛品原価
借方は 月初仕掛品原価 + 当月の直接材料費・直接労務費・製造間接費配賦額。
貸借が一致することを検算に使える。