仕損費の計算と処理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十 4「仕損費の計算」ア(補修指図書を発行する場合)・
第十 5「仕損費の処理」ア(当該指図書に賦課する方法)。
0. どういう処理か
仕損(しそんじ) とは、製造の途中で失敗して不良品ができてしまうことです。
失敗を直すのにかかった原価が仕損費です。
失敗への対応は 2 通りありますが、2 級で扱うのは補修だけです。
| 対応 | 何をするか | 級 |
|---|---|---|
| 補修 | 直して使える状態にする | 2 級 |
| 代品製造 | 作り直す | 1 級 |
補修するときは、補修指図書という別の指図書を発行します。
そこに補修の材料費・労務費・間接費を集め、集まった金額がそのまま仕損費です。
そして仕損費は、失敗した指図書に賦課します(当該指図書に賦課する方法)。
#101 の製造中に出た失敗なら、#101 の原価に上乗せするということです。
なぜ上乗せするのか。 その注文を仕上げるためにかかった原価だからです。
別の製品に負担させると、#101 の本当の原価が分からなくなります。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 補修指図書に集まった原価の合計が仕損費(一部ではない)
- 仕損費は元の指図書に振り替える。補修指図書は最後にゼロになる
- 異常な仕損は非原価項目(原価に入れず特別損失などにする)
1. 補修指図書による仕損費の計算
根拠: 出題区分表 工-十-4-ア
補修指図書を「原価を集めるための一時的な箱」だと考えてください。
集め終わったら中身を元の指図書へ移し、箱は空になります。
仕損とは何か?
製造の途中で失敗し、不良品や不合格品ができること
そこから生じる原価が仕損費。
(製造中に材料が目減りする「減損」とは別のもの。)
2 級で扱う仕損費の計算方法は?
補修指図書を発行する場合だけ
補修指図書に集まった製造原価が仕損費になる。
代品の製造指図書を発行する場合・補修も代品も発行しない場合は 1 級。
補修指図書 #101-1 に、直接材料費 ¥8,000、直接労務費 ¥6,000、製造間接費 ¥4,000 が集計された。仕損費はいくらか?
¥18,000
補修指図書に集計された原価の合計が仕損費。
一部だけを取り出すのではない。
補修指図書を発行するのはなぜか。元の指図書に直接付けてはいけないのか?
仕損費がいくらかを把握するため
元の指図書に混ぜてしまうと、
「この注文にいくら余計にかかったか」が見えなくなり、原価管理に使えない。
いったん分けて集め、あとで振り替える。
2. 仕損費の処理
根拠: 出題区分表 工-十-5-ア
集めた仕損費を元の指図書に賦課します。仕訳は仕掛品どうしの振替なので、
勘定の総額は動きません。動くのは原価計算表の内訳だけです。
仕損費 ¥18,000 を、元の製造指図書 #101 に賦課する。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品(#101) 18,000 | 仕掛品(#101-1) 18,000 |
どちらも仕掛品勘定なので、総勘定元帳上は仕訳なしとすることもある。
原価計算表の上では #101-1 の行がゼロになり、#101 の行に仕損費として加わる。
仕損費を賦課した後、補修指図書の残高はどうなる?
ゼロになる
一時的に原価を集めるための箱なので、必ず空にする。
残っていたら振替を忘れている。
仕損費を元の指図書に賦課すると、その指図書の製造原価はどうなる?
仕損費のぶんだけ増える
失敗を直すのにかかった原価も、その注文を仕上げるために必要だった原価だから。
異常な仕損が生じた場合はどう処理する?
非原価項目とし、製品原価に含めない
特別損失などとして処理する。
「正常なもの」という原価の条件を外れるため。問題文に「異常な」とあれば外す。
仕損品に売却価値(評価額)がある場合はどう扱う?
仕損費から評価額を差し引く
仕損費 = 補修等にかかった原価 − 仕損品評価額。
売れるぶんは損失ではないので、その分だけ負担が軽くなる。