総合原価計算の基本と完成品換算量
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十一「総合原価計算」1〜3。
0. どういう処理か
総合原価計算では、当月にかかった原価を完成品と月末仕掛品に分けます。
分け方の基礎になるのが数量ですが、原価の種類によって数え方が違います。
| 原価 | 投入のされ方 | 数える数量 |
|---|---|---|
| 直接材料費 | ふつう工程の始点で全部投入する | 数量そのまま |
| 加工費(直接労務費 + 製造間接費) | 加工が進むにつれて少しずつかかる | 完成品換算量 |
なぜ分けるのか。
進捗度 50% の仕掛品が 100 個あるとします。
- 材料は最初に全部入れているので、100 個ぶん入っている
- 加工は半分しか終わっていないので、50 個ぶんしか手がかかっていない
同じ 100 個でも、材料費なら 100、加工費なら 50 として計算しないと、
仕掛品に原価を持たせすぎることになります。
完成品換算量 = 数量 × 進捗度(加工進捗度)
この一行がこの章のすべての土台です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 直接材料費は始点投入なら換算しない(進捗度を掛けない)
- 加工費は必ず換算する(月初仕掛品にも月末仕掛品にも)
- 材料が「工程を通じて平均的に投入」なら、材料費も換算量で計算する
1. ボックス図と 2 本立ての計算
根拠: 出題区分表 工-十一-1、工-十一-2
直接材料費と加工費でボックス図を 2 つ書く——これを毎回やってください。
1 つで済ませようとすると、必ずどこかで数量が混ざります。
総合原価計算はどんな生産形態に使うか?
大量見込生産(同じ規格の製品を作り続ける)
食品・化学製品・部品など。1 個ずつ原価を追う意味がないので、
一定期間(1 か月)でまとめて計算し、完成品数量で割る。
完成品単位原価はどう求める?
完成品総合原価 ÷ 完成品数量
計算の中心は完成品総合原価の求め方であって、この割り算ではない。
総合原価計算の基本等式を書け。
月初仕掛品原価 + 当月製造費用 = 完成品総合原価 + 月末仕掛品原価
左辺は与えられる。右辺の分け方を決めるのが計算の中身。
月末仕掛品原価を先に出し、完成品総合原価は差額で求めると速い。
なぜ直接材料費と加工費を分けて計算するのか?
投入のされ方が違うので、仕掛品が「何個分」持っているかが違うから
材料は始点で全部入るが、加工は進捗に応じて少しずつかかる。
同じ数量で計算すると、仕掛品に加工費を持たせすぎる。
加工費とは何を合わせたものか?
直接労務費 + 製造間接費(直接経費があればそれも)
総合原価計算では、直接材料費以外をまとめて「加工費」として扱うことが多い。
2. 完成品換算量
根拠: 出題区分表 工-十一-3
数量 × 進捗度。式は単純ですが、どこに掛けてどこに掛けないかで差が付きます。
完成品換算量はどう求める?
数量 × 加工進捗度
進捗度 50% の仕掛品 100 個 → 換算量 50 個。
「50 個ぶんの手がかかっている」という意味。
月末仕掛品 200 個(進捗度 40%)。直接材料費と加工費、それぞれの計算に使う数量は?
| 数量 | |
|---|---|
| 直接材料費(始点投入) | 200 個 |
| 加工費 | 80 個(200 × 40%) |
材料は始点で全部入っているので換算しない。
直接材料費を完成品換算量で計算するのはどんなときか?
材料が工程を通じて平均的に投入される場合
問題文に「材料は工程の進行に応じて平均的に投入する」とあれば、
材料費も加工費と同じく換算量を使う。始点投入と決めつけない。
材料が工程の終点で投入される場合、月末仕掛品はその材料費を負担するか?
負担しない(まだ投入されていない)
終点投入の材料費は全額が完成品負担になる。
月末仕掛品の数量を 0 として計算する。
月初仕掛品の加工費についても完成品換算量を使うか?
使う
月初仕掛品 100 個・進捗度 30% なら、加工費の換算量は 30 個。
先入先出法では「当月に加工した分」を出すのにこの数字が要る。
完成品の完成品換算量はいくつか?
完成品数量そのもの(進捗度 100%)
完成しているので換算の必要がない。当たり前に見えるが、
ボックス図で右側を埋めるときに迷わないよう確認しておく。