平均法と先入先出法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十一 6「総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価の計算」
ア(平均法)・イ((修正)先入先出法)。
0. どういう処理か
月末仕掛品にいくら持たせるかは、月初仕掛品原価をどう扱うかで決まります。
| 方法 | 考え方 | 月末仕掛品が持つ単価 |
|---|---|---|
| 平均法 | 月初と当月投入を混ぜてしまう | 月初と当月の平均単価 |
| 先入先出法 | 月初から先に完成させる | 当月投入分の単価 |
式にすると次のようになります。
平均法
単価 = (月初仕掛品原価 + 当月製造費用) ÷ (完成品数量 + 月末仕掛品数量)
月末仕掛品原価 = 単価 × 月末仕掛品数量
先入先出法
単価 = 当月製造費用 ÷ (完成品数量 − 月初仕掛品数量 + 月末仕掛品数量)
月末仕掛品原価 = 単価 × 月末仕掛品数量
先入先出法の分母が「当月に投入した数量」である点が違いのすべてです。
月初仕掛品は先に完成してしまったので、月末仕掛品には残っていない、という考え方です。
2 級で使う先入先出法は「修正先入先出法」です。
月初仕掛品からできた完成品と、当月投入からできた完成品を区別せず、
完成品総合原価を 1 つにまとめます。区別する純粋先入先出法は 1 級です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 先入先出法の分母は 完成品 − 月初 + 月末(月初を引き忘れない)
- 加工費の計算ではすべて完成品換算量を使う(月初も月末も)
- どちらの方法でも、完成品総合原価は差額で出すのが速い
1. 平均法
根拠: 出題区分表 工-十一-6-ア
月初と当月を混ぜて 1 つの単価にするだけなので、計算は素直です。
分母に月初仕掛品数量を足さないよう注意してください(右辺で数える)。
平均法の月末仕掛品原価の式は?
(月初仕掛品原価 + 当月製造費用) ÷ (完成品数量 + 月末仕掛品数量) × 月末仕掛品数量
分母は右辺の数量(完成品 + 月末仕掛品)。
月初仕掛品数量を分母に足さない——それは左辺(投入側)の数字。
月初仕掛品の直接材料費 ¥60,000(200 個)、当月投入 ¥340,000(800 個)。完成品 850 個、月末仕掛品 150 個。平均法での月末仕掛品の材料費は?
¥60,000
単価 = (60,000 + 340,000) ÷ (850 + 150) = @¥400
月末仕掛品 = @¥400 × 150 個 = ¥60,000
完成品 = 400,000 − 60,000 = ¥340,000(差額で出す)
平均法で加工費を計算するとき、分母に使う数量は?
完成品数量 + 月末仕掛品の完成品換算量
加工費は必ず換算量で計算する。
月末仕掛品 150 個・進捗度 40% なら、分母は 850 + 60 = 910。
平均法の考え方を一言でいうと?
月初にあったものと当月に投入したものを区別せず、まぜて平均単価を出す
実際には区別できない(同じタンクの中の液体など)生産形態に合う。
2. 先入先出法(修正先入先出法)
根拠: 出題区分表 工-十一-6-イ
月初仕掛品は先に完成したと考えます。だから月末仕掛品に残っているのは
すべて当月投入分——ここから分母の形が決まります。
先入先出法の月末仕掛品原価の式は?
当月製造費用 ÷ (完成品数量 − 月初仕掛品数量 + 月末仕掛品数量) × 月末仕掛品数量
分母は当月に投入した数量。
月初仕掛品は先に完成しているので、当月投入からは除く。
月初仕掛品の直接材料費 ¥60,000(200 個)、当月投入 ¥340,000(800 個)。完成品 850 個、月末仕掛品 150 個。先入先出法での月末仕掛品の材料費は?
¥63,750
当月投入数量 = 850 − 200 + 150 = 800 個
単価 = 340,000 ÷ 800 = @¥425
月末仕掛品 = @¥425 × 150 = ¥63,750
完成品 = 60,000 + 340,000 − 63,750 = ¥336,250
先入先出法で加工費を計算するとき、分母(当月投入の換算量)はどう出す?
完成品数量 − 月初仕掛品の換算量 + 月末仕掛品の換算量
月初仕掛品 200 個・進捗度 30% なら換算量 60。
月末仕掛品 150 個・進捗度 40% なら換算量 60。
完成品 850 なら、分母は 850 − 60 + 60 = 850。
月初も換算するのを忘れない。
修正先入先出法と純粋先入先出法の違いは?
| 完成品総合原価 | |
|---|---|
| 修正先入先出法(2 級) | 月初からの完成分と当月投入からの完成分を区別せず 1 つにまとめる |
| 純粋先入先出法(1 級) | 2 つに分けて、それぞれの単価を示す |
2 級では完成品単位原価が 1 つ出れば足りる。
平均法と先入先出法で、完成品総合原価が違ってくるのはなぜか?
月末仕掛品が背負う単価が違うから
平均法は月初と当月の平均単価、先入先出法は当月投入の単価。
月初と当月で単価が同じなら両者の結果は一致する。
どちらの方法でも共通する、計算を速くする手順は?
月末仕掛品原価を先に出し、完成品総合原価は差額で求める
完成品総合原価 = 月初仕掛品原価 + 当月製造費用 − 月末仕掛品原価。
完成品側から計算すると、数量も原価も両方追うことになり手間が倍になる。